介護用の防水シーツの選び方とおすすめ 6選

一般的なシーツと同じように、介護用の防水シーツにも様々な種類があります。例えば、防水シーツの素材や生地、防水の有効範囲などです。用途に合わせて防水シーツを選ばなければ漏れてしまったり、寝心地が悪かったりなど逆に煩わしくなる場合があります。そこで、ここでは介護用の防水シーツの選び方とおすすめの防水シーツを6つ紹介したいと思います。

介護用の防水シーツとは

介護用の防水シーツは、尿や便による失禁から布団やマットレスへの汚染を防ぐ目的で使用されます。

「オムツや尿取りパッドを付けていれば大丈夫でしょ?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際には夜間帯などオムツ交換が頻回にできない時間帯、薬や体調不良などで通常よりも排泄量が多くなる時など、いつも付けているオムツの容量を超えてしまうことはよくあります。そうした時の保険として敷くのが防水シーツです。

ただ、防水シーツにも様々な種類があり、使用目的に適した防水シーツを選ばなければ十分な効果を発揮しません。必ず購入する前に、防水シーツの使用用途を明確にしておきましょう。

防水シーツの主なタイプ

防水シーツには、大きく分けて撥水タイプと防水タイプの2つのタイプがあります。どちらも汚染から守ってくれることには変わりはありませんが、守り方に違いがあります。ここでは、その違いについてお伝えします。

撥水タイプ

撥水タイプは、シーツの表面にフッ素やシリコンなどでコーティングすることで、水が玉状になり、表面上でコロコロと弾いてくれます。素材はナイロンやポリエステルで作られているため、通気性が保たれやすく蒸れにくくのが特徴です。

しかし、撥水タイプは表面だけにコーテイングされているため、体重などの圧力で水分が潰れ浸透してしまうことがあります。失禁量が多い方が使うと交換の頻度が高くなり、介護の負担も増すため家庭での使用はあまりおすすめできません。

撥水タイプは弾く能力には長けていますが、水分の浸透を防ぐ観点では不安が残ります。失禁量が多い方が使う際は注意が必要です。

防水タイプ

防水タイプは、シーツの裏面にポリウレタンフィルムやラミネートなどで加工されているため、表面で吸収した水分を裏面で防いでくれます。そのため、布団やマットレスに水分が浸透することはないので、安心して使うことができます。

防水タイプの表面は撥水タイプとは違い、パイル生地で作られているものが多いため吸水性や速乾性に優れています。また、肌触りもよいのも魅力の一つです。

これらのことから、防水シーツを選ぶのであれば防水タイプがおすすめです。

防水タイプの加工の種類

上記でお伝えした通り、吸水性や速乾性、肌触りといった点から家庭用で使う防水シーツは防水タイプがおすすめです。ただ、防水タイプの中にはコーティング加工とラミネート加工の2種類の加工があります。ここでは、その違いについてお伝えしたいと思います。自身の環境にあった加工を選ぶと良いでしょう。

コーティング加工

コーティング加工は、ゲル状の樹脂材を生地に塗布する加工のことを指します。その中でも防水シーツでよく使われているコーティングがポリウレタンコーティングです。

使用環境や取り扱いによって異なりますが、ポリウレタンの耐久年数は基本的には2~3年ほどです。劣化すると、ヨレヨレになったりひび割れを起こして防水機能を失いますが、耐久年数内であれば防水性能に問題はありません。また、ポリウレタンコーティング自体は比較的安価なので、お財布に優しいのが特徴です。

お手入れ方法ですが、洗濯機で洗う際は洗濯ネットに入れ、低温モードで洗うことをおすすめします。脱水機の使用は、洗濯ネットに入れれば使用できるものが多いです。乾燥機に関しては、商品によって乾燥機の使用の有無や温度制限などがあるため、洗濯表示に従って使用してください。

ラミネート加工

ポリ塩化ビニルを貼り合わせたものがラミネートです。ラミネートは、ポリウレタンとは違い劣化でヨレたり、ひび割れが起こりにくいので防水性能としては優秀です。さらに伸縮性や透湿性もあるため蒸れにくく、寝心地もポリウレタンより良いですが価格は割高になっています。

お手入れ方法ですが、最近ではラミネート加工がされている防水シーツでも洗濯機に入れて洗うことができます。ただし、脱水機や乾燥機の使用はおすすめしません。ラミネート加工の特性上、強い力や熱などに弱いため、裂けや剥がれの原因になるからです。そのため、洗濯後は手絞りをおすすめします。

表生地の種類

防水性能も大事ですが、直接肌に触れる表生地を選ぶのも重要です。特にベッドにいる時間が長い人にとっては、防水性能と同様に気を使うところだと思います。主に防水シーツに使われている生地は、パイル生地、コットン生地、ポリエステル生地の3つです。ここではそれぞれの生地の特徴を見ていきたいと思います。

パイル生地

パイルとは、丸いループ状の糸が織りだしている生地のことを指します。パイル生地は、タオルのように包み込むような柔らかい肌ざわりなのが特徴です。また、肌感以外にも弾力性や吸水性にも優れているため、介護の用途で使う人からはとても人気のある生地でもあります。

ただし、パイル生地は爪や突起物に引っかかってしまうと糸が飛び出してしまうため、洗濯機などで他の物と一緒に洗う際は、洗濯ネットなどに入れる必要があります。正しく洗濯をすれば、ふんわり感などは失われないので長く使うことができます。

コットン生地

コットンの最大の特徴は、吸水性と通気性です。特にコットンは、ポリエステルなどの化学繊維よりも遥かに優れた吸水性を持っています。さらに、吸水した水分を外に発散させるので、通気性に優れているのもコットンの特徴でもあります。肌触りに関しても、ザラザラやチクチクした感じはほとんどありません。

ただ、コットンは吸水性が優れている反面、繊維が縮みやすくしわになりやすいのが難点です。それは、洗濯時に吸った水分が乾燥時に繊維も一緒に縮んでしまうからです。乾燥機などで急速に水分を蒸発させると、よりしわになる原因になるので注意が必要です。

ポリエステル生地

ポリエステル生地は、お手入れがしやすく、速乾性に優れ、軽くて丈夫なのが特徴です。

植物繊維とは違い、縮みやしわになりづらく、熱にも強いので洗濯機や乾燥機に入れても大丈夫です。植物繊維と違い少々雑に使っても問題ないので、あまり洗濯に手間をかけたくない人におすすめです。そして、こうした良いとこ取りにも関わらず、他の生地より比較的価格が安いのも魅力の一つでもあります。

吸水性に関しては、パイル生地やコットン生地より多少は劣りますが、そこまで気にする必要はありません。

失禁が多い方は丈夫でお手入れがしやすく、速乾性に優れているポリエステル生地が良いと思います。

防水シーツの形状、範囲

防水シーツには、部分タイプ、全身タイプ、ボックスタイプの3つがあります。ここでは3つの形状と防水の範囲について、詳しく見ていきたいと思います。

部分タイプ

部分タイプの防水シーツは、横に長い長方形型の形状をしているシーツです。主に腰周辺をカバーすることを目的に使用するため、胸より上、膝より下を覆うことはできませんが、体動が激しい方でなければ、腰周辺部以外に尿などが広がることはあまりないので、部分タイプの防水シーツで十分です。

応用として、吐き気がある時は腰周辺ではなく、頭部周辺に敷くことで嘔吐対策にもなります。

全身タイプ

布団やマットレスを全てカバーすることができるのが全身タイプです。文字通り全身タイプなので、どの場所で漏らしても下に浸透することはないので、体動が激しい方でも安心して使うことができます。

全身タイプは四つ角にゴムバンドがついており、そのゴムバンドをマットレスの端っこに噛ませて装着するだけで簡単に装着できます。

全身タイプの防水シーツはどんな状況でも適応でき、脱着も簡単なので万能型の防水シーツと言えます。

ボックスタイプ

ボックスタイプは、すっぽりとマットレスごと覆って使う防水シーツです。

例えば、布団端で漏らしてしまっても、側面まで防水仕様になっているためマットレスの側面を汚すことはありません。そのため、3タイプの防水シーツの中では最も防御力のある防水シーツと言えます。

ただ、1つ難点なのが洗濯後の乾燥です。ボックスタイプのシーツの角がポケット状になっているため、平らな部分は乾いていても角だけが濡れているということはよくあります。乾燥機にかけて一気に乾かしたいところですが、防水シーツの特性上、乾燥機の使用ができないものも多いため、日常的に使うのはあまりおすすめできません。

もしボックスタイプの防水シーツを使いたい方は、洗い替え用にいくつか持つことをおすすめします。

防水シーツによくある質問 Q&A

初めての介護で防水シーツについて疑問がある方もいると思います。ここでは、防水シーツを使ったことがない方からよくある質問を紹介したいと思います。

洗濯の仕方はどうすればよいですか?

基本的に、洗濯機に入れて洗うことができるので、手洗いをする必要はありません。ただ、防水シーツは繊細な部分を持ち合わせており、例えば「液温を40℃、30℃以下で洗ってください」といった液温の指定。「脱水機や乾燥機は使用しないでください」といった脱水機や乾燥機の使用の有無といった各製品によって洗濯方法が異なるため、製品についてある洗濯表示説明のタグを必ず見るようにしてください。

洗濯表示通りに洗濯を行えば、防水機能を維持したまま長く使うことができます。

柔軟剤や漂白剤を使用しても大丈夫ですか?

柔軟剤の使用はダメではないですが、柔軟剤を使用すると繊維の吸収を悪くすることがあるため、あまりおすすめしません。

次に漂白剤ですが、基本的には使用は避けた方が良いでしょう。漂白剤は強い薬剤のため、繊維を痛め防水効果を著しく低下させてしまいます。商品によっては、酸素系漂白剤なら使えるものもありますが、酷い汚れの時は一度温水で手洗いをし、洗濯機に入れることをおすすめします。

洗濯の頻度はどの程度ですか?

個々の家庭事情で異なると思いますが、清潔保持などの観点で考えれば、防水シーツの洗濯の頻度は週に1~2回で良いと思います。もし、防水シーツの上に他のシーツを引いている場合であれば、月に1回程度で良いでしょう。

当然ではありますが、汚れた場合はすぐに洗ってください。シミや臭いの原因になります。

防ダニ効果の防水シーツはありますか?

防水シーツは、防ダニ効果もあります。防水シーツは基本的に水分を通さない構造になっています。そのため、ダニが防水シーツを突き破ってくることはほとんどありません。

もし、ダニ対策としても使いたいのであれば、表面もしくは表面と側面が防水仕様のシーツをおすすめします。ただ、ダニはアカやフケ、湿気を好みますので過信せずに小まめに洗濯および掃除をするようにしましょう。

介護ベッドにも使用できますか?

防水シーツは介護ベッドにも使用できます。使う頻度にもよりますが、介護ベッドは頭部や足部などを曲げて使うことが多いので、全身タイプかボックスタイプがおすすめです。

部分タイプだと、介護ベッドを曲げた時にしわになり、しっかりと防水できない場合があります。フラットの状態が多い場合や、たまにしか曲げない場合は部分タイプでも良いと思います。

防水シーツで床ずれの原因になりますか?

防水シーツが原因で床ずれおよび褥瘡になることは考えづらいです。床ずれが起きる主な原因は全身状態の低下、シーツのしわなどで起こる皮膚の摩擦やズレ、長時間の皮膚の圧迫、身体の不潔、排泄の蒸れなどです。

防水シーツ敷く際にしわを作り敷いてしまえば床ずれの原因になりますが、それは防水シーツだからなるということとは少し違います。防水シーツでなくても、通常のシーツや衣類のしわの上に寝ていれば床ずれの原因になります。

したがって、防水シーツが原因で床ずれになるのではなく、使用環境が原因で床ずれになるため、どんなシーツを敷く際もしわを作らず敷いてください。

おすすめの防水シーツの紹介

ここでは、お伝えした防水シーツの特徴などをふまえながら、おすすめの防水シーツの紹介を部分タイプ、全身タイプ、ボックスタイプに分けて紹介していきたいと思います。

【部分タイプ】介護用シンカーパイル防水シーツ

介護用シンカーパイル防水シーツは、国産製造の部分タイプになっています。表生地はシンカーパイルなので、柔らかくごわごわとしません。裏面は、全面がポリウレタンコーテイング加工なのでしっかりと防水をしてくれます。サイズは、縦約90cm、横約145cm。

お手入れ方法ですが、60℃までの温度でしたら洗濯機で丸洗いができます。脱水機の使用も可能で、150℃までの温度でしたら乾燥機の使用もできます。また、シミ落としをする場合は、酸素系漂白剤を使用してください。

【部分タイプ】介護用防水シーツ

こちらの部分タイプの介護用防水シーツの裏生地は、ラミネート加工されたものになっています。表生地は、パイル生地なので肌触りがよくガサつかないので防水シーツを下にして寝ても違和感はありません。サイズはシングルハーフの縦90cm、横145cmです。

お手入れ方法は、液温40℃以下であれば洗濯機で洗うことができます。乾燥機については、タンブル乾燥処理もできるので比較的お手入れは簡単にです。漂白は、酸素系漂白剤でしたら使用することができます。

【全身タイプ】防水シーツ

こちらの防水シーツは、全身タイプです。表生地はパイル生地なので吸水性に優れ、肌触りもよく蒸れにくい素材になっています。裏面は、全面にポリウレタンコーティングを施しているためマットレスまで濡らしません。サイズは、縦205cm、横100cmのシングルサイズです。

洗濯機および脱水機を使用する際は、洗濯ネットに入れることで洗うことができます。乾燥機の使用は60℃までの温度に対応しています。

【全身タイプ】速乾 防水シーツ

こちらの速乾防水シーツは、全身タイプです。上記でご紹介したタイプと似ていますが、こちらの防水シーツの裏生地はラミネート加工になっています。防水機能が非常に高いポリウレタンの上にラミネート加工がされているので、マットレスへの水分の浸透を防ぎます。

表生地は、吸水性や速乾性、肌触りに定評のあるパイル生地が使われています。パイル生地は水分を分散してくれるので、汗などのべたつきも抑えてくれます。

お手入れ方法は、洗濯ネットに必ず入れ、液温を30℃以下でなら洗濯機で洗うことができます。脱水機や乾燥機に関しては、裂けや剥がれの原因になるため、手絞りで行ってください。

こちらの商品は縦205cm、横100cmのシングルサイズですが、キングサイズまで取り扱っているのでベッドの大きさに合わせて購入することができます。

【ボックスタイプ】防水シーツ

こちらの防水シーツはボックスタイプになります。表生地はふんわり綿100%のパイル生地で、裏面は耐水検査をクリアしたポリウレタンコーティングになっています。高い防水性に加えて、柔らかいため使用していても違和感はありません。

お手入れ方法は、洗濯機での丸洗いは可能ですが、単体での洗濯を推奨します。それが難しい場合は、防水加工がされている裏面が他の洗濯物に触れないよう、洗濯ネットに入れて行ってください。

脱水と乾燥機の使用は不可となっていますので、自然乾燥で表面が上になるようにし、陰干しで防水シーツを乾かしてください。

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【ボックスタイプ】防水シーツ ラミネート加工

こちらは、裏面がポリウレタンとラミネート加工されているボックスタイプの防水シーツです。

多くの防水シーツは、ポリウレタンかラミネート加工のどちらかなのに対して、こちらの商品は、防水効果の高いポリウレタンにラミネート加工を施しているため、布団やマットレスへの浸透を完全に防ぎます。いわゆる、鉄壁の防水シーツと言っても過言ではありません。表生地はパイル生地を使用しているため肌触りが良く、吸水性に優れています。

ただし、ラミネート加工を施しているので熱を加えるアイロンやタンブラー乾燥機での使用はできません。脱水機も同様です。洗濯の取り扱いは、防水シーツに付いてある洗濯表示を必ずご確認ください。