高齢者におすすめの杖・ステッキ 4選

杖およびステッキは、歩行が不安定な高齢者でも安心して歩く役割を担った福祉用具です。昨今では、一昔前よりもさまざまな種類の杖が販売されているため、自分の状態に合った杖が見つかりやすくなっています。ただ種類が多いと逆に選ぶのが大変にもなるので、杖の選び方を知っておくと便利です。そこで、ここではこれから杖の購入を考えている高齢者もしくはプレゼントを考えている家族に向けて、杖の種類や特徴、選び方、おすすめの杖を紹介したいと思います。

杖を使う目的

杖を使う目的は、高齢者の第三の足として立位や歩行時のバランスを安定させるためにあります。

当たり前と突っ込まれそうですが、あなたが街を歩いている時、杖は持っているけど使っていないという方を見たことはないですか?「念のため」と安心材料として持っている方もいるかもしれませんが、杖を使う本来の目的とは少し違います。というのも、念のために持っていても、いざ転びそうになったときにその杖は恐らく使う前に転倒すると思います。それは杖は、咄嗟の時に役立てるものではなく、終始正しい使い方をして初めて本来の力を発揮するからです。

杖の購入を考えている方は、まず購入前に杖を使う目的を知ることが重要になります。

体のバランスを安定させる

人間は加齢に伴い全身の筋力は徐々に衰え、その中でも下半身の筋力が低下すると2本の足では体全体を支えるのが難しくなります。その状態で歩行をしようものならば、すぐにバランスを失い転倒してしまいます。そういった危険を未然に防ぐのが杖の役割です。

物に例えても分かるように、2点で物を支えるよりも3点で支えた方がより安定するのと同じで、それは人間にも言えます。また、立っている時のバランスを保つことで歩行がしやすくなるというメリットもあります。

動くことへの安心感を得る

生活を送る上で、立つ歩くといった基本動作を必ずしなければなりません。体に不調がない人には造作もない動作でも、バランスを保つのが大変な人には転倒やケガなどの不安つきまとうので、常に憂鬱になります。そういった不安がある人こそ、自分に合った杖を持つことをおすすめします。

杖を持つことで、それらの動作のバランスを保つことができます。保てれば、動作の度に不安になることはありません。また、バランスが保てれば歩行の機会が増えるため、歩くという筋力トレーニングにもなり下半身の筋力強化に繋がります。そして、さらにバランス力が付いていくという良いサイクルが生まれます。

余談ですが、「転ぶかもしれないから外出しない」といった高齢者も中にはいます。バランス力の低下は、引きこもりの原因にもなるので安易に考えてはいけない問題であることを覚えておいてください。

下半身の負荷を軽減する

杖を使うことで、3点で体を支えるようになります。1点増えることで体にかかる負荷を分散できるので、足や腰にかかる負担が軽減されます。

例えばですが、立っている時に「疲れたな~」という時に物に寄りかかることはありませんか?それは杖にも同じようなことが言えます。杖に体の一部を預けることで、体への負荷を分散させられます。また、物に寄りかかる場合は立位のみの軽減ですが、杖は移動時も軽減できます。

立位や歩行時に痛くて辛かった人は、杖の使用をしてみると未使用より痛みが和らぐかもしれません。

行動範囲が拡大する

今まで痛みや不安で外出ができなかった人、長い距離の移動ができなかった人でも杖を使うことで、行動範囲を広げることができます。

上記でお伝えしたように、3点で体を支えることで立位や歩行時のバランスが保てるので安心して動くことができ、体にかかる負担も軽減してくれます。それらの条件が揃えば、未使用時より容易に行動範囲を広げることができるでしょう。

リズムよく歩ける

私たちは「1、2、1、2」とリズムよく歩いています。当たり前すぎて分からないと言う人もいると思うので例を挙げると、ハイヒールや音が響く靴などを履いている時に「カツ、カツ、カツ、カツ」とリズムよく音がすると思いますが、私たちは無意識にこのようなリズムで歩ています

しかし、歩行が不安定になるとリズムよく歩くことができなくなります。リズムよく歩けなくなると物に躓いたり、余計な負担が体にかかり疲れやすくなったりなどあらゆる面で支障がでてきます。

杖を使うことで「1、2、3、1、2、3」とリズムよく3拍子で歩くことができます。もちろん、両手で持つ杖もあるので4拍子になる人もいますが、歩行の基本はリズムよく歩くことに尽きます。

杖を検討するタイミング

あなたが思う杖のタイミングはどこだと思いますか?もしあなたが「転倒しそうになってからが、杖を検討するタイミング」と考えたのなら、それは少し遅いです。転倒しそうになったということは、一歩間違えれば転倒していたということになります。つまり、それは検討するタイミングではなく、使うタイミングの段階に入っています。

ただ、そうは言っても杖を検討するタイミングがどこか分からない人もいると思います。そういった時に判断するテストが、タイムアップアンドゴーテストです。次で、このテストの測定方法、評価について詳しくお伝えします。その評価を参考に、杖を検討するタイミングにしてもらえたらと思います。

TUG タイムアップアンドゴーテスト

タイムアップアンドゴーテスト、英語だとTimed Up & Go Testと書きます。ここではその頭文字をとってTUGと呼びます。

TUGはPodsiadlo & Richardsonらに考案されたテストで、歩行能力やバランス力、敏捷性といった高齢者の生活機能を正しく総合的に評価してくれます。主に、転倒や骨折の危険性を早期に発見および判断するのに、非常に信頼性の高いテストと評されています。

YouTubeにTUGのやり方の説明を紹介している動画がありますので、まずそちらをご覧ください。

このテストで事前に用意する物は、ストップウォッチ、椅子に深く腰を掛けて両足が床につく高さの椅子、ミニコーンなどの目印になる物、メジャーの4つです。

動画内でも説明していますが、椅子を置き、椅子から3メートル離れた場所に目印のミニコーンを置きます。被験者は、背もたれに軽くもたれかかり、両足が床につくように座ります。測定者の合図で、立ち上がり、目印に向かって歩き、目印を回って再び椅子に座ります。

注意点として、体の一部が椅子から動き出す時から、お尻がつくまでの時間を測定します。なので、完全に立ち上がった時からではありませんので気をつけてください。下記がテストの結果に対する評価です。13.5秒以上かかった人は、杖の検討をしましょう。

秒数 評価
13.5秒以上 転倒するリスクが予測されます。
30秒以上 起きる、立つなどの起床動作や日常生活動作に介助が必要になるリスクがある。

杖の種類と特徴

杖にはさまざまな身体状況や使用環境に対応できるよう、用途に応じた杖が多く存在します。そのため、自身の状態に合った杖を選ばなければ、かえって危険な目に合ったり、邪魔になり使わなくなったりします。そうならないためにも、杖を購入する前に杖の種類とその特徴を把握することが重要です。

T字杖

杖の代名詞とも言えるのがT字杖です。人によっては一本杖と呼ぶ人もいます。T字杖は、真っすぐな支柱の上に握る部分が付いているだけのシンプルな杖です。

T字杖は、デザインが豊富で誰でも扱いやすいのが特徴です。昨今では、状況に応じて使う折りたたみ式や伸縮式の杖もあり「普段は必要ないけど、こんな時に使いたい」などといったニーズに対応した杖がたくさんあります。

T字杖の主な役割は、バランスを保つ補助です。T字杖は、体重の約6分の1ほどしか支えられないため、基本的には杖がなくても自力で歩けるが、支えがあるとより安心して歩けるという方におすすめです。

T字杖の派生形で、L字型、オフセット型もあります。

多脚杖

多脚杖とは、T字杖の持ち手で地面に接する杖先が3点あるいは4点ある杖のことを言います。人によっては多点杖、3点杖、4点杖と呼ぶ人もいます。

多脚杖の特徴としては、多点で支えることによる高い安定性です。T字杖は1点で支えるため体重を掛け過ぎると杖ごと転倒してしまうリスクがありますが、多脚杖は多くの面で支えているので、ある程度体重をかけてもブレません。しかし、多脚杖は基本的にはT字杖よりも重く、多少扱いづらくなるので、段差などが多いところでは不向きと言えます。

ただ、杖の中では比較的安定性は高いのでT字杖では体がぐらついて不安な方、下半身の筋力が衰えている方、猫背など姿勢が悪い方にはおすすめです。

ロフストランドクラッチ

ロフストランドクラッチとは、前腕を通すカフと、通した腕の握るグリップが下部についている杖です。

ロフストランドクラッチは、自然に垂らした時の手首がグリップに来るように調整して使います。下に向けてグリップに体重をかけてバランスを保つので、高い安定性と歩行補助をしてくれます。また、グリップ部分に下へ体重をかけて安定させるので、握る力が弱い高齢者にはおすすめです。

ロフストランドクラッチは、T字杖とは異なり特殊な杖なので、初めて使う方は主治医もしくは専門職に相談し、正しい使い方を教わってから使うことをおすすめします。

杖の正しい選び方

自分に合った杖を選ばなければ、杖の本当の力は発揮しません。ですが、初めて杖を買う人はどのような杖を購入したら良いか分からないと思います。そこで、ここでは杖を購入するポイントについてお伝えします。杖選びの参考にしてください。

適切な長さの杖を選ぶ

杖は体のバランスを保つために使うので、正しい位置で使わなければ意味はありません。そのためには、まず自分の身長に合った適切な長さの杖を選ぶ必要があります。杖の最適な長さの目安は身長÷2+3です。

身長 135cm 140cm 145cm 150cm 155cm
理想の杖の長さ 72.5cm 73.0cm 75.5cm 78cm 80.5cm

上記はあくまで目安です。だいたいの杖は高さ調節ができますので、購入した際はフィッティングをしながら微調整して使ってください。

グリップの形状と太さ

グリップ、つまり手を握る部分は体を支えるために最も重要な部分と言ってもいいです。持つときに握りづらかったり、滑りやすかったりなど手の大きさ、握力によっても異なります。そのため、興味を持った杖がどのようなグリップの形状をしているのかを確認してください。

例えば、指が来る部分に合わせて凹凸になっている物や、杖がスポンジやゴム製になっている物などさまざまあります。基本的には、親指と人差し指の第一関節が重なるくらいが一番力が入れやすく、握りやすい太さの目安と言われています。

SGマーク付きの杖

可能であればSGマークが付いてる杖がおすすめです。SGマークとは、Safe Goodsの略で安全な製品の目印として使われています。

杖のSGマークの基準目的は、安全性品質の保証と、使用時の危険の防止及び生命の安全を図ることです。安全を実現するための厳しい基準が設けられており、それにクリアした商品のみが使えるマークがSGマークになっています。

ただ、SGマークの取得は義務化されている訳ではないので、SGマークが付いていないからといって、必ずしも安全性に欠けた杖とは限りません。一つの購入の目安として気にしてみると良いでしょう。

杖の正しい使い方

杖を購入した際に、正しい使い方をしなければ転倒する可能性があります。特に初めて使う場合は、必ずその杖の使い方を知ることが重要です。ここでは、上記で紹介した杖の使い方をお伝えします。補足として、ここで説明している杖を持つ手は右で説明しています。左利きの人の場合は、全て逆になります。

T字杖の使い方

T字杖の歩行には2種類あり、2動作歩行と3動作歩行があります。

2動作歩行は、杖と左足を同時に前に出して地面についた時に、右足を動き出します。なので、杖と左足で1。右足で2。それをリズムよく歩く「1、2、1、2」と歩いて進みます。

次は、3動作歩行の歩き方です。3動作歩行は杖で1、左足で2、右足で3と「1、2、3」とリズムよく繰り返して歩く動作です。杖を突くときですが、斜めに突くのではなく真上から地面目掛けて下ろすように突いてください。斜めに突くと、突く面が小さくなるのでズルッと前に滑ってしまうことがあります。

慣れないうちは、3動作歩行の方が安定性があるのでおすすめです。YouTubeに一本杖の歩き方の動画がありますので、実際に参考にしてください。

多脚杖の使い方

持ち方ですが、多脚杖の支柱が湾曲している方向が前になりますので、逆にならないよう気をつけて使用してください。

次に歩き方ですが、T字杖と同じように3動作歩行で歩いていきます。多脚杖の場合は2動作歩行では歩きませんので注意してください。

杖を突く時は、真上から地面に下ろすように突いてください。T字杖と比べて多脚杖の方が安定しますが、斜めに突いてしまうと、上下に振り子のようになりバランスを崩しやすくなるので大変危険です。

YouTubeにも今の例を動画で説明している部分がありますので、事故防止の観点からも初めて使う方は見てください。

ロフストランドクラッチの使い方

グリップを手首関節までの長さを目安にし、カフの角度は肘から5~7cmほど開くように調整してから使います。

ロフストランドクラッチの歩き方は、3動作歩行で杖、左足、右足とリズムよく歩きます。杖を突く時は他の杖同様に、真上から地面に下ろすように突いてください。

YouTubeにロフストランドクラッチの使い方の動画がありますので、初めて使う方は是非参考にしてください。

おすすめの杖

ここでは、T字杖、多脚杖、ロフストランドクラッチの3つの種類のおすすめの杖を紹介します。購入する際の参考にしてもらえたら幸いです。

折りたたみ軽量ステッキ

こちらの杖は、折りたたみ式の杖になっています。折りたたみ方式は、プルストップ式を採用しているため、内部構造のロックで折りたたむので力をかけずに行えます。よくあるゴム式だと常にゴムで引っ張っているため、折りたたむ作業中にはある程度の力が必要になりますが、こちらは勝手に戻らず手軽にできるのでおすすめです。

重量は300g。組み立て時の長さは77~84.5cmで2.5cmずつ4段階調整ができ、収納時は26.5cmまで小さくなります。強度に関しては、安心と信頼の日本製でSGマーク付きなので安心して使うことができます。

機能良し、耐久性良し、デザイン良しの杖ですのでプレゼントに最適です。名入れオプションもありますので、是非この機会にご検討ください。

竹虎 杖 ヒューゴステッキ

竹虎のヒューゴステッキは、持ち手が左右どちらでも握りやすい形状をしているのが特徴です。また、グリップにはクッションが付いているので、杖を突いた時に手にかかる衝撃を緩和してくれます。先端には接地面が広く、食いつきの良い先ゴムが付いているので、突いた時の安定感が他とは違います。

重量は460g。長さは68~96cmで2.5cm刻みで12段階の調節ができます。品質については、製品安全協会基準合格品のSGマークが付いているので、安心安全に使うことができます。

幸和製作所 テイコブアルミ製4点杖

こちらは、多脚杖の4点杖になります。テイコブアルミ製4点杖は、支柱や台座はアルミ製で590gと超軽量になっています。多脚杖のデメリットでもある重量をアルミ製にすることで重さのネックを解消しています。また、両手両側に対応できるよう調整ボタンを押すことで足部分を簡単に切り替えることができるのも、こちらの杖の特長と言えます。

長さは65.5~88cm、10段階の調整できます。両手両側対応で、軽量の4点杖をお探しの方は、是非ご検討ください。

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イタリア製 OPOレギュラークラッチ

こちらは、イタリア製のロフストランドクラッチです。最も力が加わる持ち手の部分が、厚み5mmの弾力性の高いカバーが付いています。しっかりとした弾力性とクッション性が手にかかる負荷を最大限軽減してくれます。

重量は500g。長さは66~97cm、2cm刻みで16段階の調整ができます。グリップからアームカフまでは21.5cmで、適応身長は135~190cmです。

カラーは、チャコールグレー、ブルー、ライムグリーン、ダークレッドの4つから選べます。