高齢者ドライバー・定期的に運転チェックが必要

最近ニュースで、「アクセルとブレーキの踏み間違い」「逆走走行」「道路交通標識の無視」など高齢者ドライバーによる交通事故が全国各地で多発しています。

高齢者ドライバーが引き起こす交通事故の多くは、自身が危険運転をしていることに気づいていないのが原因です。そのため、定期的に自身の運転状況をチェックする必要があります。

ここでの記事では、高齢者ドライバーにまつわる内容について、深堀していきたいと思います。そして、最後に運転チェック表もありますので、それを基に自身の運転を見直していただけたらと思います。

高齢者ドライバーによる交通事故

2018年上半期のドライバーによる交通事故は「1,568件」と前年度と比べて78件少ないことが分かっています。

しかし、この件数の年齢別(高齢者のみ抜粋)に見てみると、高齢者ドライバーによる交通事故は前年度と比べて増加しています。

● 65歳以上・・・440件(前年同期比より「43件」増加)
● 75歳以上・・・222件(前年同期比より「32件」増加)
● 80歳以上・・・125件(前年同期比より「18件」増加)

これらを見てもらえたら分かるように、65歳以上の高齢者ドライバーによる交通事故は、前年度と比べて「93件」も増加しています。

交通事故が起きやすい季節と時間帯

現在の季節11月。冬場は、夏場と比べて日が出ている時間が短くなります。それに比例して、交通事故の発生が多くなることが分かっています。

日が短くなるということは、学生の下校時間や会社帰りの人との時間帯と重なるため、冬季の夕方が一番交通事故が多くなるということが、警視庁の統計で明らかになっています。

当サイトでも、詳しい内容について取り上げていますので、ご覧ください。

2018年上半期の高齢者の交通事故まとめ
高齢者ドライバーによる交通事故

認知症のタイプで運転行動が違う

認知症による高齢者ドライバーと聞くと、全て同じような運転ミスをすると思いがちですが、それは間違いです。それは、認知症の種類によって症状が異なるためです。

アルツハイマー型認知症と前頭側頭型認知症の運転ミスの違いについてご説明します。

アルツハイマー型認知症の運転

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも多く罹患している方が多いと言われている認知症です。もし、アルツハイマー型認知症の方が運転をしてしまうと、下記のような運転ミスをします。

● 駐車ミスが目立つ。(大きく曲がって駐車してしまう)
● 白線をはみ出して運転をしてしまう。(幅寄せなど)
● 行き先を忘れてしまう。(走行中に行き先を忘れてしまうなど)

前頭側頭型認知症の運転

前頭葉と側頭葉が萎縮することにより生じる認知症が「前頭側頭型認知症」です。この認知症は、前頭葉と側頭葉が特に衰えていくため、抑制が効かなくなったり、反社会的行動をとってしまうことがあります。

もし、前頭側頭認知症の方が運転してしまうと、下記のような運転ミスを起こしてしまいます。

● 車間距離を保つことが出来なくなる。
● 交通ルールの無視(道路標識に従わない・逆走する)
● わき見運転が多くなる。(集中力の欠如)

これらの運転ミスの特徴については、ほんの一例です。認知症の症状が進めば、さらに危険な運転をする可能性があるため、早急に対応が必要となります。

運転チェック

これからお伝えするのは、運転を正常に出来ているかのチェックです。まず、チェックの仕方ですが、これから紹介するチェック項目を、実際に運転した後にチェックをしてください。

また、その際は家族や第三者の方も一緒に同乗し、必ず出発前に走行ルートを決めてください。走行ルートに関しては、本人がよく行くルートを設定してください。

さらに可能であれば、運転の様子を動画に収め、何が問題だったのかを一緒に確認することで、よりそのチェックの信ぴょう性が増します。

チェック項目

下記のチェック項目に、一つでも当てはまるようでしたら、運転を辞めることをお勧めします。どの項目も、一歩間違えれば重大な事故に繋がる危険性があるためです。

チェック項目

● 車体に傷や凹みが多い(乗る前に確認でもOK)
● 道路標識を見落とすことがある
● センターラインをはみ出して運転してる
● 路側帯に乗り上げる
● 車庫入れ時に、はみ出してしまう
● 車間距離が極端に短い
● 走行途中に、道が分からなくなる(いつも通っているルートの場合)

本人が拒否する場合の対応方法

私が在宅で高齢者のケアを行っていた時のことですが、認知機能が衰えているのにも関わらず、車の運転を辞めない高齢者はいました。

そういった人を辞めさせるのは、一苦労です。そのため、一個人で頑張るのではなく、主治医からの助言、自治体や地域包括支援センターなどといった、地域で活動している専門職に相談し、本人を促していくことが大事です。

専門職は、専門的な見地から物事を話すため、根拠があるからです。身近な人からの助言で辞めた事例では、「かわいい孫」からの一言で運転を辞めたという高齢者もいました。

危険にも関わらず、運転を辞めない高齢者がいましたら、ぜひ試してみてください。