高齢者ドライバーによる交通事故

わが国では急速に高齢化が進み、また高齢化に伴う話題は尽きません。そんな中ニュースなどで、アクセルとブレーキの踏み間違えによる交通事故や、認知症患者ドライバーによる交通事故など、高齢者ドライバーにまつわる話が、多くなってきたような気がします。なので!ここでは、高齢者ドライバーによる交通事故について一緒に考えていきたいと思います。

高齢者による交通事故の原因

高齢者による交通事故数については、少子高齢化の影響により、若者より高齢者の数の方が多いため、相対的に高齢者の事故数は多くなってくる傾向にあります。また若者の車離れも原因の一つでもあります。

また高齢者ドライバーが起こす事故の原因については、いくつかあるといわれています。そこで、高齢者ドライバーが起こす事故の原因について見ていきたいと思います。

身体能力の低下

・高齢になるにつれて誰しも体は衰えていきます。もちろん体の衰えには個人差はありますが、高齢者の身体能力の低下というのは、具体的にどのような機能の低下を指すのか見ていきましょう。

・運動機能の低下
・視覚機能の低下
・神経機能の低下

が主に考えられます。次にこの3つの機能について簡単に説明していきたいと思います。

運動機能とは

運動機能というのは、簡単にいうと「からだを動かす」機能のことです。誰でも分かることですね。
車を運転するには、椅子に座り、ハンドルを握り、ペダルを踏むことで運転をすることが出来ます。

私たちは極々当たり前に行っていることですが、高齢になるにつれて、気づかぬうちにこのような動作が鈍くなり、上手く行えなくなってきます。当然ながら加齢に伴い、筋肉は衰えていきますので、座ることでの体の部位の可動域が制限され、ハンドルの回すスピード、ペダルの踏む強弱などさまざまな問題が出てきます。

したがって正確な運転技術や細かな作業が難しくなり、事故のリスクが若者より高まってくるのです。

視覚機能とは

眼球の運動、視力や両目の調節機能などが連携して行い、脳内で得た視覚情報を認知、記憶、イメージをする処理機能です。そのため一つでも能力が欠けた場合は、適切に脳内で処理することが出来ません。

残念ながら高齢になるにつれて、これらの能力が徐々に低下をしていきます。更に車を運転する際は、ただ前方のものだけを確認するのではなく、空間認知機能も必要となりますので視覚機能の衰えは死活問題です。
※空間認知機能:空間の全体を把握する機能。物と物の距離や形などを把握するときに使わる機能です。

神経機能とは

簡単に説明しますと、「体内外から得られた情報を素早く処理をし、その情報に応じて各部位へ伝達する器官」です。もちろん神経機能というのは一言では語れませんので、大枠の大枠を説明しました。

体内外から得られた情報というのは、視覚や聴覚などから得られた情報をもとに、各部位へ伝達することになります。

例えば、「人が急に出てきた!」という場面で、素早く反応し対応をするということです。この場合ですと恐らく「ハンドルを切る」「ブレーキを踏む」などの対応が考えられますね。
しかし高齢になるにつれてこれらの行動がとっさに行えなくなってくるため、回避が出来ず事故に繋がってしまうのです。

運転能力の過信

長年運転をしていると「自分はまだ大丈夫」と自分の実力を過信してしまう傾向にあります。それは今まで何十年と運転をした経験の積み重ねから来るものであり、一種のプロともいえるでしょう。
しかし加齢に伴い体は必ず衰えてきます。上記の各身体能力について説明をしましたが、それらの機能が一つでも衰えると、運転が満足に出来なくなるのが容易に想像がつくはずです。

身体能力の低下には個人差がありますので、人よってはガクッと落ちてしまう方もいれば、徐々に落ちていくケースもあります。しかし後者の徐々に身体能力が落ちていくケースが一番事故のリスクが高いといえます。

ガクッと落ちてしまっている方は、大体の人は車の運転は危ないもしくは出来ないと判断します。しかし徐々に落ちていくケースだと、自身の体が衰えていることに気づきにくくなります。

高齢者の方は特に長年運転してきたという経験が自信となっているので、いかに周りの人が助言をしてあげるのかがカギとなります。

こちらを見ていただければお分かりの通り、高齢になるにつれて自信がUPしており、それだけ危険度が増しているということです。

オートマチック車の普及

現在の車のほとんどがオートマチック車(以下AT車)だと思います。とても便利で私の車もAT車です。ではなぜ、これが事故の加担をしてしまうのでしょうか。

AT車の発進までの基本操作は、ハンドブレーキを解除、ブレーキを踏んでP(パーキング)からD(ドライブ)にすることで、前に進みます。

一方マニュアル車(以下MT車)の場合は、ハンドブレーキーの解除、クラッチを踏み、レバーを1速に入れ、徐々にクラッチを上げ、感覚でギアに合わせ、合わさる時に徐々にアクセルも踏みつつクラッチを上げていき、GOです。

〇AT車・・・・「①ハンドブレーキを解除 ②ブレーキを踏む ③レバー下す」

〇MT車・・・・「①ハンドブレーキを解除 ②レバーを入れる ③クラッチを踏む ④クラッチを上げながらギアとクラッチを感覚で合わせる ⑤合ってきたところで、アクセルを踏みつつ、クラッチを上げていく」。

もうお気づきだとは思いますが、MT車の方が発進までの手順が明らかに多いです。そして細かい操作になりますので、よくニュースなどで聞かれる「アクセルとブレーキを間違える」をMT車でするというのは、ちょっと考えづらいです。

なぜなら手順が多く、意識して細かい微調整が必要なため、そこまで出来る方がアクセルとブレーキを間違えるような操作ミスはしないと考えられます。

そのため簡略化に伴い操作に慣れていくことで無意識となり、「考え事」や「時間などからの焦り」などが合わさったときに、思わず間違えてしまうということになるのではないでしょうか。

高齢者ドライバー事故への対策

道路交通法の一部改正

わが国の対策としては、平成27年に「道路交通法の一部改正する法律」が行われました。具体的にはどういったものなのか、下記にまとめましたのでご覧ください。

①一定の違反行為をしてしまった75歳以上の高齢者に対して臨時認知機能検査を行います。

②臨時認知機能検査を行い、そこで自動車等の運転をする際に影響を及ぼすと判断された場合、更に臨時高齢者講習の受講が必要となります。

③運転免許の更新時に認知機能検査を実施し、認知症の可能性があると判断された場合は、違反状況に関係なくに臨時適性検査を行うか、医師の診断書の提出を要求が可能となりました。

また認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりを主軸にした、新オレンジプランが策定されています。その基本的な考え方の一つに「認知症の人、認知機能が低下している人への交通安全の確保や交通事故を防止するための制度」を推進していますと書かれております。

そのため国は様々な角度から高齢者による事故を未然に防ぐ取り組みを行っています。

先進技術搭載車に乗車

高齢者が運転をする理由は多岐に渡ります。買い物や病院へ行くにも近くになく、車がなければ行くことが出来ないなど、それぞれが生活を行う上で必需品という方がたくさんいると思います。
そこで、どうしても手放せないという方には、先進技術が搭載された車に乗ることで、事故のリスクが少しでも減少するのではないでしょうか。

①誤発進防止装置
②衝突被害軽減ブレーキ
③レーンキープアシスト
④ACC(車間距離を制御する装置)
⑤ふらつき警報装置
⑥パーキングアシスト

などといった様々なものがあります。これらはあくまでアシストですので、ドライバーの判断が必要となりますが、これらの機能が搭載されているのと搭載されていないのとでは、交通事故を起こすリスクが減少されるのではないでしょうか。

自己覚知が必要

高齢者のドライバーの傾向として、自分の運転について過信傾向が強いと上記の図を見ていただけたらお分かりでしょう。
そこで、下記にチェックシートを載せますので、ぜひ実際に行ってみて下さい。

1 行き先・目的地を運転中に忘れる
2 中央線・センターラインの不注意
3 車庫入れ・枠入れの失敗
4 道路標識・信号機の理解
5 速度制限・速度の維持
6 交通環境への注意力維持
7 運転操作(ブレーキ・ギアチェンジなど)
8 自動車のメンテナンス(ガソリン・オイル等)
9 他の交通者への注意維持(歩行者・自転車等)
10 車間距離の維持

チェックを入れ、その項目が頻繁に起きているようでしたら、事故の危険性がありますので、一度専門機関に相談された方がよろしいかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか
高齢者ドライバーによる交通事故の主な原因は、身体機能の低下と自身の過信だと私は考えます。それは、前述した文で述べた通りです。
至極当然のことですが、事故を起こしてからでは遅いです。冷たい言い方かもしれませんが自損事故ならまだ良いです。これが他人を巻き込んでの事故でしたら、取り返しがつきません。そうならないためにも本人、家族が一緒になって考えていくことが、高齢者ドライバーによる事故が減少してくのではないでしょうか。