高齢者必見!新型コロナウィルスに布マスクは効果はあるのか

新型コロナウィルスの感染拡大でマスクの供給が不足している中、安倍晋三首相は2020年4月1日、感染予防を目的に全国5000万超の全世帯に向けて、布マスク2枚を配布する方針を明らかにしました。布マスクは、同月13日以降より感染者の多い都道府県から順次配布されることになっていますが、恐らく、この方針を知った日本国民の多くは「え?これ本当?」と耳を疑ったかと思います。

かく言う私も、発表が4月1日だけにフェイクニュースかと思いました。さて、この配布予定である布マスクですが、新型コロナウィルスの感染にどういった効果があるのか。特に高齢者が新型コロナウィルスに感染すると重篤な状態になりやすいだけにその効果は気になるところです。ここでは、布マスクの効果について不織布マスクと比較しながら深掘りしていきたいと思います。

布マスクに感染防止の効果はあるのか?

結論から申し上げると、全く効果がないわけでない

日本医師会の横倉義武会長は4月3日、布マスクの効果について「ウィルス防止の役割はあまりない」と指摘しつつも「飛沫を浴びて大量のウィルスが入ることは少し防ぐことができる」と語っています。

他人がした【咳】や【くしゃみ】からの飛沫感染を少しは防げるということなのですが、恐らく【ないよりはマシ】といったところでしょうか。

医療用・不織布・布マスクの特徴

現在、医療用マスク(N95タイプなど)や不織布マスクは品薄状態が続いています。政府は3月27日の会見で、4月には前月比1億枚を上積みし月間7億枚供給できるとの見方を示していましたが、某ドラックストアの担当者に聞くと「発注をかけても、全然量が入らない」と語っています。また、街中にある他のドラックストアでも「本日はマスクの入荷、在庫はありません」といった貼り紙を貼っている店舗ばかりです。そんな中、4月1日に政府は布マスクの配布を決定しました。

では、医療用・不織布マスクと布マスクはどのような違いがあるのでしょうか。

感染拡大を防止する意味では布マスクは有効

①医療用マスク(N95マスク)

医療用マスク(N95)は気密性が高く、空気中に浮遊しているウィルスを吸い込むリスクは限りなく抑えられます。しかし、気密性が高い反面息苦しく感じられるため、日常生活での使用は向いていません。

ちなみに、医療用マスクの1つでもあるサージカルマスクも不織布マスクです。医療用とされているの理由は、飛沫感染の防止に加え【血液、体液由来の病原体に晒されるリスクを軽減する目的が備わっている】からです。しかし、N95マスクのように空気中に浮遊しているウィルスを捕捉する機能は備わっていません

②不織布マスク(家庭用マスク)

不織布マスクは熱的、化学的・機械的作用により繊維を接着又は、からみ合わせた薄いシート状の布から作っているマスクです。家庭用マスクは、風邪や花粉対策、保湿などの目的に作られているマスクです。

一般的に売られている家庭用マスクは、顔に隙間が出来るので①より効果は期待できず、空気中に浮遊しているウィルスをキャッチすることはできません

③布マスク

※政府が配る布マスクではありません。

今回話題になった布マスクですが、やはり①や②より目が粗く、濾過機能が劣るため、ウィルスはガーゼを簡単に通過します。

北里大学・医療衛生学部・公衆衛生学研究室の伊与亨氏(※)によりますと、感染経路の遮断の目的咳やくしゃみの拡散防止・軽減では一定の効果があるとしています。

菅官房長官も3日の会見で「WHOは他人への飛沫拡散防止には布マスクも有効としている」とし、「感染拡大が懸念される現状において、広くマスクを着用することは社会全体の感染予防に極めて有用」と訴えています。

NOVOクリニック院長を勤めるの龍見昇(たつみのぼる)氏は、YouTubeで布マスクの有用性についての検証動画をあげています。

これらを見る限り、布マスクも全く無駄ではないように思います。やはり、人から人への感染が一番の感染拡大になるため、医療用・不織布マスクが不足している昨今では一定の有用性があるのではないかと思います。

高齢者が不織布マスクを求めている現状

上記では、布マスクでも一定の有用性があるということをお伝えしました。ただ、それでも不織布マスクの争奪戦は全国各地で行われており、先月、北海道旭川市でマスクを求める女性客の前を割り込み、口論となって暴行を加えたとして79歳の男が逮捕された事件がありました。(※マスクの行列に割り込み口論の末暴行 79歳男が逮捕 旭川

この事件のように、犯罪を犯してまでマスクを手に入れるべきものなのでしょうか。他にもTwitterでは、「ドラックストアの前に並んでいるのは高齢者ばかり」「マスクを買うために並んでいること自体、感染の危険がある」などといった高齢者が躍起なってマスクを買うために並んでいることを疑問に持っている人は一定数います。

完全予防が目的なら不織布マスクではダメ

不織布マスクは、布マスクよりは目が細かいため繊維を通過する間にウィルスが捕捉されやすいため一定の効果はあります。ただ、マスクの特徴でも触れていますが、顔とマスクの間に必ず隙間ができ、そこから外部からのウィルスがある程度入ります。また、空気中に浮遊しているウィルスも小さすぎて不織布マスクでは捕捉できません。

ウィルスの大きさと一般的に売られている不織布マスクがキャッチできる大きさは下記の画像のとおりです。


※出典:AllAboutより

N95マスクは、0.3μm以上の微粒子を95%以上遮断し、尚且つ着用している部分からの空気の漏れ率を10%以内に抑える機能を備えていますが、N95マスクですら完全にウィルスを遮断することはできません。

こういったことからも完全予防ができない不織布マスクを求め、感染リスクが高い場所に重症化しやすい高齢者が出向くのはどうなのかと、私個人的には思います。

下記の動画では、様々なマスクの検証を行っているので参考程度にご覧ください。


※3:48:ウィルスの大きさの説明、6:15:繊維を検証するマスクの紹介、11:18:電子顕微鏡で繊維を確認、18:30:代替えマスク(ハンカチ・キッチンペーパー・ティッシュマスク)28:27:くしゃみの飛び方

この動画の結論では、ウィルス専用の不織布マスクは【咳】や【くしゃみ】で発するウィルスをほぼフィルターで捕捉できることが分かりましたが、反対に水分を含んでいないと不織布マスクでは完全に防げないことを意味します。

つまり、不織布マスクも布マスク同様に飛沫感染を目的であれば有用ですが、浮遊しているウィルスには効果が低いということになります。

新たな感染経路・マイクロ飛沫

今新たな感染経路として確認されているのが【マイクロ飛沫】です。マイクロ飛沫は、咳やくしゃみで発したウィルスが長時間浮遊し感染することを意味します。また、空気が淀んでいると、長時間空気中に漂い続けます。

下記にマスクありとなしの検証動画がありますので、ご覧ください。

空気中にウィルスが長時間浮遊するということは、水分を含んだウィルスよりはるかに軽いということになります。そうしたウィルスは、一般的なマスクでは防ぐことはできないとされているため、他者へ移さない配慮が重要になってきます。

新型コロナウィルスの一番の予防策とは

政府からの予防策では手洗い・うがいの徹底、不要不急の外出を控えるとされています。これに加えて、免疫力を落とさないよう規則正しい生活を送ることだと思います。

感染リスクが高い高齢者の方は、完全予防ができないマスクを朝早くから買い求めに行くより、新型コロナウィルスの蔓延が落ち着くまで自宅にいることが一番の予防策になります。

まとめ

今回配布される布マスクの効果は、人へ移さないという観点では有用性があると思います。その効果は、不織布マスクに近い機能を持っています。不織布マスクの効果については本記事でも触れましたが、医療用マスクのような高性能な機能はないため、吸い込みからの予防(飛沫核感染)は期待できません。

あくまで飛沫感染の予防に有用とされています。そのため、飛沫感染の予防ならば布マスクでも十分に防げるため、あえて朝早くから感染リスクを犯してまでドラックストアなどに並ぶ必要はありません。

そして、一番の感染予防は不要不急の外出を控えることです。もちろん、不織布マスクがあって損することはありませんが、布マスクでも十分代用ができるので今回の配布を機会に、買い求めるための外出は控えることをオススメします。

※参考文献:Yahooニュースより
プレジデントオンライン
朝日デジタル