認知症対策 高齢者にオススメの脳トレアプリ 3選

皆さんもご存知でしょうが、高齢になると認知症の発症リスクは高くなっていきます。そうなると認知症予防について気になるところですが、認知症の発症はその人の生活環境などといった多くの要因が複雑に絡んで発症するため「○○をやれば必ず予防ができる」といった予防法が現段階の研究では明確に見つかっていないのが現状です。しかし、脳トレの効果によって脳の活性化が促され、認知症の予防になることが分かっています。では、どのような脳トレが認知症対策になるのか、ここでの記事で紹介したいと思います。

認知症対策の脳トレはあるのか

脳トレが認知症対策になるという研究データが多くない中、南フロリダ大学のジェリー・エドワーズ博士が、米国心理学会の年次総会でエドワード博士が研究対象とした特定のトレーニングについて認知症防止に効果が認められたことを発表しています。では、一体どういった脳トレなのか。

処理速度を向上させる訓練

エドワード博士の研究チームは、特定の脳の訓練がもたらす効果に焦点を当てた【処理速度の訓練と効果】についての論文50本以上を査読しメタ分析を行い、10年間にわたる長期的なランダム化試験を実施しました。

ランダム化試験の被験者は【65歳~94歳の高齢者2,832人】で、うち76%が女性です。処理速度を鍛える脳のトレーニングを5週間の訓練期間中に11から14セッション(区切り)こなした被験者は、認知症の発症リスクが10年間で48%下がったという研究結果が出ました。

では、処理速度の訓練とはどういったものなのか。

  1. 画面の中心に現れる物体がどのようなものかを識別する。
  2. ①.を行うと同時に、周辺視野に現れる複数の物体の中から、予め決められたターゲットを見つけ出す。
  3. ①と②をお繰り返し行う。

このような訓練を繰り返し行うことで、ランダム化試験の被験者は下記の分野の改善がみられたということです。

  • 感情のコントロール
  • 抑うつ症状の改善
  • 健康増進
  • 注意力の向上
  • 身体機能の向上
  • 自動車の運転の向上

処理速度の向上には前頭前野が大きく関わっています。後でもう一度説明しますが、前頭前野とは、思考や創造性を担う脳の最高中枢と考えられており、生きていくために必要な意欲や、情動に基づく記憶、実行機能などの機能を持ち合わせた脳全体の司令塔とも言われています。

この研究で行われた訓練の結果を見ると、前頭前野を鍛える脳トレだったことが分かります。ちなみに、脳の回転が速いという人は前頭前野が発達しているといっても過言ではありません。

東北大学でも脳トレの有効性を証明

東北大学加齢医学研究所と東北大学学際科学フロンティア研究所で開発した【処理速度トレーニングゲーム】を4週間実施したところ、認知機能と抑うつ気分が改善されたことが実証されたと発表しました。

この研究では、精神疾患や脳疾患などを経験したことがない健康な高齢者72人を2つのグループに分けて行われました。AグループはタブレットPCによる処理速度トレーニングゲームを行い、Bグループは知識を問う脳トレクイズを行います。実施期間は、週5回以上1日15分で4週間。また、トレーニングの前後ではそれぞれの認知機能検査の実施とアンケートに答えてもらいます。

結果は【処理速度トレーニングゲーム】を行ったAグループが脳トレクイズを行ったBグループよりも、認知機能の向上、抑うつ気分の低下が確認されました。

認知症対策 高齢者におすすめの脳トレアプリの紹介

上記の研究では、処理速度を鍛えることで認知機能の低下を防ぎ、認知症の予防に影響が出ることが分かりました。それを踏まえた上で、私が高齢者におすすめの脳トレアプリを紹介したいと思います。

おすすめのアプリ 世界の脳科学者も認めた脳トレ・Peak

Peakは、イギリス・ケンブリッジ大学など世界有数の大学の脳神経科学者と共同でデザインされた30種類以上の簡単なゲームで、脳の活性化を目的として作られたゲームです。このアプリの科学アドバイザーには、米イェール大学医学部名誉教授・精神医学主管研究科学者であるBruce E. Wexler医学博士や、英ケンブリッジ大学臨床精神心理学教授のBarbara Sahakian医学博士が名を連ねており、お墨付きの脳トレアプリと言っても過言ではありません。ちなみに、このPeakはiOS 10.0以降のiPhone、iPad、およびiPod touchに対応しています。

そして、このPeakでは下記の能力が鍛えられるとされています。

・記憶力
・言語力(語彙力やコミュニケーション能力)
・集中力
・問題解決力
・メンタルアジリティ(マルチタスク能力=並行処理能力)
・感情知能(相手の感情を上手く把握し、対人関係を鍛えたい)

● Peakのプレイ動画 ※筆者が行った映像ではない

上記の動画のように単純なゲームとなっています。私も実際にプレイしましたが率直な感想としては「楽しかった」です。ちなみに、初回アセスメント後の私の記録がこんな感じです。

このように、自分が行った結果をグラフに表されることで日々のモチベーションに繋がるのが良い部分だと思います。また、上記で話した処理速度を問うような問題もあるので、私はやる価値はあると思いました。こういう言い方が合っているかは分かりませんが、プレイ中は脳みそが痒くなるような感覚(活性化されている?)でした。

Peak

おすすめアプリ 脳の健康維持に最適・脳にいいアプリ

【脳にいいアプリ】は、介護向けITサービスコンテストで優勝し、三菱総合研究所主催のビジネスアイディアコンテストでファイナリストに残るなどの評価を受けたアプリです。また、高齢者住宅新聞社の記事にも紹介されています。


※脳にいいアプリ公式Twitterより

このアプリは、脳トレだけのアプリではなく、脳科学の観点から脳の健康を維持するために【食事・運動・服薬管理・脳トレ】の管理ができるアプリとなっています。

また、このアプリにはAIが搭載されており、アプリの利用歴から利用者の脳に最適な苦手分野を鍛える脳トレを自動的に選択されます。さらに、ユーザーの年代や性別などに基づいた生活習慣病や睡眠などといった健康アドバイスもしてくれます。

記事内でも触れていますが、認知症予防には健康管理が肝となります。そのため、第三者から(このアプリならAI)から指摘されることで生活改善のキッカケができ、且つ脳トレを行うことで認知症の発症リスクを下げることができるのが、このアプリの最大の特徴だと思います。

脳にいいアプリ

おすすめのアプリ 川島隆太教授のいきいき脳体操

ここで紹介する【川島隆太教授のいきいき脳体操〜高齢者向けの脳活性化アプリ〜】は、仙台放送で放送中のテレビ番組、川島隆太教授のテレビいきいき脳体操がアプリで体験できます。そして、川島隆太教授と言えば、ニンテンドーDSの【脳を鍛える大人のDSトレーニング】のシリーズを監修した人でもあります。下記に、川島隆太教授が出ているテレビ番組の動画を載せましたので、気になる方がご覧ください。

脳活性化アプリは主に、前頭前野を鍛える内容になっています。前頭前野というのは【考える・記憶する・アイディアを出す・感情をコントロールする・判断力・応用力】などといった人間が人間らしくあるための最も重要な部位とも言われています。

前頭前野が衰えると、物忘れが増えたり、感情的になったり、怒りやすくなったり、やる気の低下といった問題が生じてきます。逆に鍛えることで、それらが改善するのはもちろんのこと計算が早くなったり、記憶力が良くなったりと頭の回転が速くなります。

アプリの内容は、覚える、数える、耐える、選ぶの4つのジャンルから選択します。どのゲームもルールが簡単で1プレイが2分程度です。また、ゲームごとに4段階のレベルがあり、レベルが上がるごとに難易度が上がる仕様となっています。

川島隆太教授のいきいき脳体操

まとめ

いかがでしたでしょうか。
正直、脳トレアプリだけでも沢山あり、実際どれをやったらいいか分からない方もいると思うので、ここでの記事で厳選しました。これらを参考に、日々の生活の中に脳トレを取り入れて認知症対策に役立ててもらえたらと思います。