羽田空港で高齢者の移動を自動運転型車いすでサポート

空港内で車いすが必要な人に向けた新サービスが、日本航空(JAL)・日本空港ビルデング・WILLの3社が羽田空港で【自動運転型電動車いす】の試験走行を実施しました。この試験走行は、空港内で高齢者や障がい者などといった車いすを必要とする人に向けたもので、2020年度中に導入を目指すということです。

高齢者の空港移動は大変

JAL空港企画部の担当者によりますと、羽田空港第1旅客ターミナルは全長約800メートル程あるため、高齢者などにとっては長距離移動はかなりの負担になっているということです。さらに、空港に用意されている車いすは1日100名ほど利用しているが、約半数の人は普段車いすを利用していない高齢者だということです。

自動運転と自動停止機能が搭載

今回の自動運転型電動車いすの試験走行は、羽田空港第1ターミナル南ウイング、3-9番搭乗口とコンコース間で実施されました。試験者は公募で行い、実際に車いす利用者を含め空港内での長距離歩行に不安を感じる人などが選ばれました。

使用された電動車いすは、車いすメーカーのWILLが制作した【WHILL Model C(ウィル・モデル・シー)】をベースに自動運転機能を搭載したものです。

この電動車いすは、左右のアーム部分に広い視野角のステレオカメラを採用し、後方にもセンサーを採用することで周囲の状況を探知します。そして、予め登録している空港内の地図情報と照らし合わせることで【自動走行】が可能となっています。もし、走行ルート上に人や物などがある場合は自動で停止します。試験中は、最高速度:時速3キロで実施されました。

操作はスマホで行う

車いすの操作は、搭載されているスマートフォンの画面で行い、ほとんどの操作はディスプレイのボタンをタップするだけとなっています。また、利用者が決められたルート以外の場所に行きたい場合は、操作スティックを利用し手動で運転することも出来ます。導入後は、乗車前に係員が使い方などの説明を行うため、高齢者でも問題なく扱えるよう対応するとのことです。

安全重視した故の過剰停止も

自動走行中は周囲に人や物などがあると、安全のために自動停止するようプログラムされています。しかし、実際には5~6メートルほど先にある人や物にも反応してしまい、いっこうに動こうとしないことがありました。これだと混雑時に自動走行をすると、到着するまでにかなりの時間がかかることになります。一方で、手動走行の場合は人の判断で移動できるので自動運転と比べて進みが早く、現段階では手動運転の方が良いように思えます。

自動運転型車いすの導入については、2020年度中を目指しており、羽田空港以外の空港での導入も検討中とのことです。