高齢者の外出を電動カートで支援 松戸市が実証調査

千葉県松戸市などが、河原塚の住宅地で集会所や買い物先への移動手段となる7人乗りの電動カートの実証調査を開始しました。外出時に不自由を感じている高齢者に社会参加を促し、地域活動を活性化させるのが目的です。

起伏のある地形が外出を困難に

国土交通省の支援事業に、松戸市の提案が県内で初めて選ばれました。狭くて高低差のある地域の道路でも低速で、騒音なく走れる時速20キロ未満の電動自動車カート【グリーンスローモビリティ】が貸与され、11月23日までの平日の昼間に調査が実施されます。

調査の対象となった河原塚南山地区(410世帯/1,222人)では、住宅開発から約半世紀が経ち、高齢化が進んでいる地区です。この地区は、台地と低地の起伏のある地形が多く、高低差は20.8メートルもあり、こうした環境から自治会館での活動に参加できない高齢者や、買い物に行けないという高齢者が出ているのが現状です。

調査には、千葉大学予防医学センターと地元の老人会が参加。同会会員が無償でカートの運転役を担い、自治会館を起点に運行を開始。運行ルートは買い物、東松戸・八柱駅各方面などの半径1キロに複数を設け、車庫や電源は会館周辺の住民から協力を得ることになっています。利用者は原則、河原塚南山ことぶき会を中心に、自治会内の人となっています。

効果があれば本格運行も

同センターはGPSを活用し、移動データから調査前後で外出の変化などを検証することになっています。この調査で「あまり外出をしない高齢者を地域へ引き出す原動力になれば」と同センターは期待しています。

市は、調査結果を踏まえ、運行地域の拡大を想定し、高齢者の社会参加促進の効果があれば本格運行も視野に入れるとしています。

河原塚南山地区

起点となった【河原塚南山自治会館】