認知症の高齢者が働く食堂 店長は介護福祉士 愛知

2019年4月、愛知県岡崎市に認知症と診断された高齢者が働く沖縄料理店がオープンしました。このお店のモデルは、東京・六本木で話題になった「注文を間違える料理店」です。

◇ 介護福祉士が営む沖縄料理店「ちばる食堂」

沖縄料理店、ちばる食堂の店長「市川 貴章」さんは、介護福祉士として2002年から17年間、介護施設で働いていました。

「ちばる」というのは、沖縄の方言で「頑張る」という意味で、店名には「誰もが挑戦して、成長できる場所にしたい」との思いが込められているといいます。

ちばる食堂では、他の飲食店とは少し異なった食堂となっており、まず「認知症」と診断された方でも働くことが可能なお店です。現在、60代~80代の認知症を患っている男女4人が働いています(開店前に、地域包括支援センターなどの協力で雇用)。

そして、ランチタイム終了頃には、学校帰りの小学生たちが宿題をしに来たり、おばあちゃん達と遊んだり、仕事帰りのお母さんが迎えに来て、そのまま夕食を食べることもあったりと、とてもアットホームなお店となっています。

◇ 認知症と向き合うきっかけに

市川さんは、介護をする人、介護を受ける人が介護保険制度という枠組みに閉じ込められていることに疑問を感じ、学生時代に取得した調理師の免許を生かし「ちばる食堂」を立ち上げたといいます。

店内には認知症や介護といった様子などは一切感じさせず、ちばる食堂のスタッフ自らの人生経験を生かした言葉で接客をしてくれます。

こうした、ちばる食堂のように「認知症だから、介護が必要だから」といった、諦めや先入観を取り除いた活動が、今後の高齢者支援には必要なのではないでしょうか。