認知症の発症と死亡率上昇 嗅覚の衰えが影響 米調査

ミシガン州立大学の研究で、高齢者における「嗅覚の衰え」は「認知症の発症・死亡率の上昇」の関連性が強いことが分かりました。特に、死亡率については、高齢者2,200人以上を対象にした調査で、嗅覚の「悪い人」は「良い人」よりも10年以内の死亡率が46%も高かったことが分かっています。

◇ 嗅覚の悪さは「死亡率」の高さに繋がる

ミシガン州立大学の研究チームは、2000年から13年以上続けられた「嗅覚テスト」のデータを分析。テストには、2,200人の71~82歳の高齢者が参加し、被験者には12種類の匂いを嗅いでもらい、4つの選択肢から提示する匂いに一致するものを選択してもらいます。その正答率を基に、被験者の嗅覚レベルを「良い」「普通」「悪い」の3つのグループに分け、テスト期間中に亡くなった被験者の死因を調査しました。

◇ 認知症とパーキンソン病にかかる率が高くなる

期間中に、およそ1,200人の被験者が死亡し、嗅覚レベルの悪い人は良い人に比べて、10年以内の死亡率が「46%」も高いことが判明。

特に、嗅覚レベルが悪いは「認知症」「パーキンソン病」との併発傾向が最も強く、次いで心血管疾患でした。ちなみに、呼吸器疾患やガンとの関連性は見られなかったということです。

◇ 嗅覚の衰えは神経変性疾患を患っている

嗅覚が「悪い」被験者の22%が「神経変性疾患」にかかっていることが判明。神経変性疾患とは、神経細胞の退行性の変化が起こる病気で、代表的なのが「アルツハイマー病」「パーキンソン病」です。

嗅覚は、神経変性の影響を受ける器官でもあるので、嗅覚の衰えは「認知症」などの発症サインと言っても過言ではありません。例えば、「部屋が臭くても気にならない」「風呂に入らなくなった」といった感じです。

しかし、嗅覚異常がどのようなメカニズムで認知症に繋がっているかは、まだ解明されていないということです。