高齢ドライバーの検査と講習 予約が取れない現状

先日、東京・池袋で87歳の高齢男性が暴走し、歩行者が次々にはねる事故がありました。この事故を機に、日本中で高齢ドライバーのリスクが改めて認識されたと思います。一方で、道交法改正により75歳以上の高齢ドライバーの免許更新時には「認知機能検査」と「高齢者講習」の義務付けがされていますが、現在予約が取りづらい状況にあります。

◇ 事故が多発・・・でも、生活に車が必要

75歳以上の高齢者の運転免許証保有者数の多い全国ベスト3が、「愛知・東京・埼玉」となっています。ここでは、埼玉県に焦点を当てて話を進めていきたいと思います。

埼玉県運転免許課によりますと、埼玉県の75歳以上の運転免許証の保有者数は、昨年末時点で約29万人。2023年は約41万人、5年後の2028年には「約51万人」にまで増えると予測しています。

先日、池袋で起きた事故もそうですが、埼玉県内でも75歳以上の高齢ドライバーによる事故が多発しており、75歳以上が第1当事者(事故を起こした原因の人)の人身事故が2014年時点では「1,450件」でしたが、昨年は「1,650件」に増加。

県警は、高齢ドライバーに免許の自主返納を勧めているも「車が無くては生活が成り立たない」という声が多いというのが実情です。

◇ 検査・講習は4~5か月先、中には来年という人も

高齢ドライバーの事故防止などの観点から「認知機能検査」「高齢者講習」の義務付けが施行されました。しかし、高齢ドライバーの増加により埼玉県含む全国で、その検査と講習の予約が取れない状況にあります。

埼玉県によりますと、17年9月時点での県内の平均待ち日数は、検査と講習を合わせて「142日」と長期化。そのため、更新期間内に間に合わなく免許が失効する危険性も出てきています。

こんな高齢者の声も・・・

● 「警察から送ってくるハガキの半分ぐらいは電話したんだけど、全部ダメ。家の近所の場所は、全部いっぱいで、年内もいっぱいでダメだと言われた」

● 「ハガキが来たんですけど、電話で頼んだら4か月後先と言われました。ハガキには、すぐどこかの教習所に予約を取ってくださいと書いてあったので、すぐ電話したら、そういう状態でしたね。」
     
埼玉県警では、こうした待期期間の長期化を改善するために、主に教習所に委託していた認知機能検査を県内の8警察署などでも開始しました。高齢者講習でも、職員を新たに8人増員するなどの受講の受け皿を拡大。その結果、18年9月時点では待期期間を全国平均の80日を下回る64日までに短縮したということです。
 
しかし、全国の待期期間の平均日数は80日と長期化している現状は変わらないため、事故防止の観点からも、こうした問題が一刻も早く解決することを願います。