高齢ドライバーの危険性 免許定年制の導入が必要か

先日、東京都南池袋で87歳の高齢男性が運転する車が暴走し、歩行者を巻き込む死傷事故を起こしました。こういった高齢ドライバーによる事故が今、全国各地で多発しています。警視庁によりますと、昨年1年間に交通死亡事故を起こした75歳以上の高齢者は、前年と比べて42人多い460人でした。こういった悲惨な事故を防ぐためには、自動ブレーキシステムなどといった先進技術が搭載された車限定の運転免許制度の創設が議論されていますが、免許年齢の上限を定めた「定年制」の導入も検討すべきだと感じます。

◇ 検査を受けるも問題なし・・・

平成29年に改正された道路交通法では、75歳以上の高齢ドライバーは3年ごとの免許更新時に認知機能検査を受け、そこで、認知症の恐れがあると判断された場合には、医師の診断が必要(義務化)となります。認知症と診断されれば運転免許の取り消し処分です。

しかし、昨年中「認知機能低下の恐れなし」と判断された後に、死亡事故を起こした高齢ドライバーは210人いました。そして、南池袋で死亡事故を起こした男性も、一昨年の免許更新時に検査では問題ないと確認されています。そのため、認知機能検査が必ずしも事故の抑止に直結していないことが分かります。

◇ 定年制の導入が必要

政府は昨年、未来投資会議で高齢者向けに自動ブレーキなどを備えたアシスト車限定免許の創設を打ち出しました。しかし、これには従来の免許の強制的な返納も同時に行わなければ意味がありません。

警視庁や自治体では、高齢者へ運転免許証の自主返納の呼びかけをするとともに、公共交通機関の運賃割引、タクシー割引といった特典を設けています。しかし、これに応じる高齢者も増え続けていますが、生活の足が奪われると反発する高齢者も少なくないのが現状です。

先進技術の開発し導入されれば問題ないとする声もありますが、完全導入までの間、事故は絶えず起きていきます。そういったことからも、一定の上限年齢による「定年制」が必要不可欠だと感じます。それは、運転する本人もですが、その家族や歩行者を守ることになるからです。