引きこもりの子を支える高齢者 子の高齢化が深刻化

わが国では、高齢者の引きこもりや高齢化率の増加などの問題がある中、介護支援を受けている高齢者と同居している子どもが、引きこもり状態になっているケースがここ最近多くなっていることが分かりました。

◇ 高齢者世帯に6割の引きこもりの子がいた

2019年3月21日に、東京都千代田区で「KHJひきこもり家族会連合会」の集会が開かれました。ここで、家族の会と共に調査を行った愛知教育大学の川北稔准教授が、高齢者の介護問題に対しての相談や支援などをする「地域包括支援センター(以下、センター)」を対象に行った「80代の親が50代の引きこもりの子どもを支える、8050問題」についての調査結果を報告しました。

有効な回答があった260余りのセンターの6割近くが、相談を受けた高齢者宅に「半年以上」殆ど外出をしない状態が続く、引きこもりの子どもがいると回答しています。その子どもの年齢層の多くは「50代・60代」ということです。

その中には、認知症を患っている70代の両親と同居している50代の未婚の娘が引きこもっているケースもありました。また、親の支援が終了したあと(死亡・施設入所など)、引きこもりの子どもとの関係が途絶えるケースもよくあるということです。

◇ 引きこもりは、潜在的な高齢者問題

引きこもりの子どもが高齢化していくことは、今後の社会問題に発展していく可能性があります。その問題の1つが「孤独死」です。

長年の引きこもり生活というのは、外部との接触を断っているということなので、他人とのコミュニティが出来ていません。いわゆる、社会から孤立している状態です。そんな中で、今まで支援をしてきた親が亡くなれば、必然的に1人暮らしになります(兄弟の支援があれば別)。となると、自ずと「孤独死」のリスクは高まります。そして、年齢が上がるにつれて病気にもかかりやすくなるので、さらに孤独死へのリスクが高まってくるでしょう。

もちろん、その前にセンターなどがあらゆる支援や対策を講じると思いますが、それにも限界があります。何故なら、センターの人手にも限りがあり、色んな事案も抱えているためマンツーマンで見守ることが出来ないからです。

そのため、このような問題が悪化する前に対応していくことが大事となります。また、単一の機関だけで解決に奔走するのではなく、複数の機関や地域住民と連携し合って取り組んでいくことが今後重要となってくるでしょう。

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