来春までに厚生労働省は、高齢者の労働災害の予防策を企業に促すガイドラインを作成することになりました。作成の背景には、高齢者が仕事中に転倒してケガをする例が増えているためです。また、政府が「70歳まで働く機会の確保」を打ち出したこともあり、安全に働く環境整備を目指します。
今高齢者の労災増えてるもんね〜。企業向けのガイドラインは必要かもね。https://t.co/59XC4VEsHI pic.twitter.com/QMq2o4X6Yc
— Life (@Life22223099) November 28, 2019
高齢者の労災が増加傾向に
今月27日、高齢者の労災対策を議論していた有識者会議で報告書の骨子案を公表しました。今後、報告書をまとめ、それを基に厚労省が来春までにガイドラインを作成することになります。このガイドラインによる罰則などの拘束力はないとのことですが、具体的な対策例を列挙して企業に役立てるのが狙いです。
現在、高齢者の労災が増加傾向にあり、65歳以上の労働人口は18年には10年前より309万人増の875万人に達し、全体の12.8%を占めます(全体:6,830万人)。一方、18年に労災に遭った60歳以上は約33,000人と前年より約11%も増加し、全体の3割弱を占めています。
こうした背景には、高齢者特有の老化現象によるものが多く、視力や平衡感覚などの低下がわずかな段差でも躓きやすくなります。また、一度ケガをすると回復が遅く、休業期間も延びがちになり、企業側にとっても痛手となります。
厚労省はガイドラインを作ることで、実情に応じた設備の導入(段差の解消・滑り止めの支給・階段の手すり・熱中症予防対策グッズ)などを企業に促し、事故防止につなげるとしています。