労災件数が増加、働く高齢者の安全確保 厚労省が対策

政府は70歳までの高齢者を就業機会の拡大を打ち出す一方で、高齢者の労災件数が増加していることから、厚労省は働く高齢者が安全に働ける環境整備に乗り出します。

補助器具設置で安全環境を確保

厚労省によりますと、18年の労災発生件数は17年と比べ5.7%増の12万7,329人で、うち60歳以上が3万3,246人と全体の26.1%を占めています。労災増加の原因は、企業が定年後に再雇用制度を設け、人手不足から積極的に高齢者を採用するも、若い世代とは違い、身体能力の低下によって起きる【転倒や熱中症】などが重症化しやすいことが原因とされています。また、休業する期間が長引くことも多いということです。

こうした状況を受け、20年度から中小企業を対象にスロープや安全装置などの導入に必要な費用を助成します。助成額は1社あたり上限100万円を想定し、早ければ年度内にも交付事業等を委託する業者の制定に乗り出す考えです。

また、どのような補助器具の導入が高齢者が安全に働ける環境整備に有効かを見極める実証事業も20年度中に始めます。実証企業は、大企業を中心に協力する事業者を募集し、導入による効果などを検証して、効果的と判断した場合には費用の助成対象に含めたり、中小企業に紹介することが想定されています。

有識者が年度内にも高齢者の安全確保のために企業が求められる対応について報告書をまとめる予定です。また、補助器具の設置といったハード面の対策だけではなく、高齢者に特化した健康診断などソフト面での対策も盛り込み、厚労省はこれらを元に指針として企業に示すということです。