2019年9月25日、金融庁の金融審議会(首相などの諮問機関)は総会で、95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円の蓄えが必要と試算し批判を浴びた老後資金報告書の撤回を決定しました。
今後、老後の必要な資金額には触れない
報告書については【案】のまま公文書として残し、金融庁のHPに掲載し続けるということです。また、総会では「今後は報告書を議題としない」とし、来春以降に別の報告書の策定を目指すが、公的年金や老後の必要資金額については触れないとしています。
問題となった報告書は6月3日に公表され、長寿化の影響で老後に必要となる資産が増えることから、早めの資産形成を呼びかける内容でした。しかし、総務省の家計調査を基に、夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯では毎月平均5万円の赤字が生じると仮定し、今後30年生きるとして、単純計算で2,000万円が必要と試算した点が野党などから問題視されました。
中島淳一企画市場局長は「(報告書は)世間に著しい誤解や不安を与えた」と改めて謝罪しました。
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