兵庫県神戸市で、認知症の高齢者らが起こした事故で家族らに多額な賠償金の支払いを請求されるケースがあることから、被害者への見舞金や賠償金などを神戸市が負担する制度を盛り込んだ改正案を、11月28日に市議会本会議に提案。また高齢者が自己負担なしで、認知症診断を受けることができる助成制度の導入も行うとされています。
◇ 賠償金、見舞金、検査費用も神戸市が負担
今回打ち出した神戸市の改正案では、65歳以上の高齢者には無料で認知症検診を受けてもらい、検診の結果で認知症の疑いがあれば、専門医が精密検査を実施し病名の診断を行う。検査費用についても市が助成し、実質的な自己負担はありません。
まず、市は認知症と診断された高齢者を登録し、保険料を支払ってもらった上で保険に加入させます。加入後、認知症患者が起こした事故や火災などで、本人やその家族に賠償責任が生じた場合には、市が最高「2億円」までの保険金を請求者に賠償金として支給します。また、認知症患者による事故などの被害に遭った市民には、最高3千万円の見舞金も給付します。しかし、自動車事故の場合は、自賠責保険で対応ができるため、制度の対象外になりますので注意が必要です。
◇可決されれば、全国初の制度となる
12月5日の神戸市議会本会議で可決となれば、認知症診断の助成を来年1月に開始。賠償金負担や見舞金などの救済制度については、来年4月からの開始となります。また、市は今回の制度に必要な予算を年間3億円と見込んでおり、市民税を1人年間400円を上乗せし、制度の財源とする考えです。