高齢者への多剤服用を見直し 厚労省減薬を求める

厚生労働省は、高齢者が医薬品の多剤服用いわゆる、「ポリファーマシー」から健康被害を受けると問題視し、医療機関などに減薬を念頭に医薬品の処方について、見直しを求める方針を決めたことが分かりました。同省作成の「高齢者の医薬品適正使用の指針」を年末にも文章化し、年度内に正式決定する考えです。

◇ 高齢者の医薬品適正使用の指針

この指針は、①「 外来・在宅医療」②「急性期後の回復期・慢性期の入院医療」③「その他の利用環境および、常勤医師が配置されている介護施設など」の3部で構成されています。また65歳以上の患者が対象となっていますが、75歳以上の高齢者に重点を置いています。

◇ 多剤服用により「老年症候群」を引き起こす

多剤服用により、高齢者に起こる頻度の高い「老年症候群」が懸念されています。その老年症候群の主な症状とは・・・

● 記憶障害
● ふらつき
● 抑うつ
● 便秘
● 食欲不振
● 排尿障害

などが挙げられます。これらの症状が、多剤服用により引き起こされてしまう可能性があります。また、医薬品が多いことで、服薬を忘れてしまう問題もあるため、医療費の増加にも繋がっています。

◇ 薬剤治療の必要性を適宜再考

今回の指針では、急性期の病状が安定してきた患者や長期通院をしている患者に「自己判断による薬の中止」「減薬の危険性について注意喚起」「薬の処方の優先順位」「薬の減量・中止」を行うよう医療機関などに求める方針です。

また、専門職(医師(歯科含む)・薬剤師・看護師・理学療法士など)でチームを作り、健康被害などを定期的にフォローしていき、患者自身も積極的に治療方針の決定などに参加し、患者主体である「服薬アドヒアランス」の改善や「生活の質」を向上させる必要性なども盛り込んでいることが分かりました。