5月17日、東京都に住む81歳の女性がオレオレ詐欺で約1,550万円を騙し取られた事件で、定期預金の解約を止めなかったのは「注意義務違反」にあたるなどとして、都内の信用金庫に対し、全額の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。
◇ 50万円以上の金額は「家族に連絡して」と依頼していた
女性は、高額の取引を普段自宅で行っており、家族も信金に対して50万円を超える金額の時には、自分たち(家族)に連絡するよう依頼をしていました。しかし、オレオレ詐欺の事件当時は、連絡がなかったということです。
訴状によりますと、オレオレ詐欺の被害にあったのは2016年10月(当時79歳)。女性宅に、長男の上司を名乗る人物から「長男が仕事でミスをした。クビにならないためには大金がいる」などの内容の電話がありました。
女性は、気が動転し、雨の中傘もささずに、男性用サンダル(亡くなった夫の物)で信金に駆け込み、定期預金約1,550万円を解約し、自宅近くを訪れた男に手渡ししたということです。男は、未だ捕まっていません。
◇ 信金も使用用途について聞き取りはしていた
各金融機関は、警察と協力し詐欺被害防止に取り組んでおり、この信金も女性に対して使用用途などについては聞き取りを行っていました。訴状によりますと、女性の「子や孫にやりたい」との回答を真に受けて、信金は解約に応じてしまったということです。女性側は、信金に「警察や家族に連絡する信義則上の義務があった」と主張しています。