わが国では、高齢者ドライバーによる交通事故が多発し社会問題となっています。しかし、電動アシスト自転車に乗車した高齢者による死亡事故も、年々増加していることが警視庁の調べで分かりました。
◇ 車に代わる第二の足として
まず、車を運転するには高度な技術や判断力が必要となります。しかし身体機能の衰えにより適応できなくなれば、当然車の運転を辞めざるを得ません。
そういった人が、第二の足として利用するようになったのが「電動アシスト自転車」です。電動アシスト自転車は、普通の自転車より力は必要なく、速度も出ます。また坂道なども上ることが出来る優れものです。
◇ 死亡事故が過去10年間で約1.5倍に増加
警視庁によると、電動アシスト自転車による死亡事故は、2008年では29件だったのに対し、2017年には42件と約1.5倍も増えています。さらに、電動アシスト自転車による死亡事故の8~9割は高齢者ということが分かりました。
愛知県内では、今年の初めから2018年11月14日までで、電動アシスト自転車による死亡事故が9件起きており、いずれも高齢者でした。
◇ 電動アシスト自転車のニーズが年々増えている
自転車産業振興協会によると、年間生産台数が2009年は約31万台だったの対し、2017年には57万台にも増えていることが分かりました。
電動アシスト自転車が増えた背景には、高齢者の運転免許証の自主返納の影響が大きいとみられています。また、高齢者の移動支援をするために、電動アシスト自転車購入の補助金を出す自治体もあります。
◇ 体力や判断力の衰えを自覚した上で乗る必要がある
こういった死亡事故が増える背景には「体力や判断力が衰えていることに気づいてない」ことが要因であると警察関係者は語っています。
自転車も車同様に、ハンドル操作やブレーキなどといった動作をしなければなりません。しかし体が衰えていると、本人が思った以上に能力が低下しているため、突然のアクシデントに対応できない場合があります。
そのため、今まで危険な目に遭遇したことがない人でも、突然致命的な事故に遭うことがあります。自転車とはいえ車同様の慎重さが求められるため、道路を走る以上は油断せずに気を張って運転する必要があります。