高齢になって車の運転をやめた人は、運転を続けた人と比べて要介護になるリスクが約2倍高くなることが、筑波大などの研究チームの調査で明らかになりました。
移動手段=活動量の構図
この調査では、2006~07年時点で普段運転していて、且つ要介護の認定を受けていない愛知県に住む65歳以上の男女約2,800人に協力してもらい、10年8月時点で運転を続けているかを改めて訪ね、認知機能を含めた健康状態を調べました。
さらに、16年11月まで追跡調査を行い、運転継続の有無と要介護認定との関係を分析。その際、身体機能や認知機能の低下があれば運転自体が難しくなるため、こうした事例が結果に混じらないよう、10年の調査後すぐに要介護になった人を除き、健康状態の違いが影響しないよう統計学的に調整して分析。
調査結果は、10年時点で運転を止めていた人は、運転を続けた人に比べ要介護になる可能性が2.09倍高くなったことが判明。このうち、運転を止めても移動手段が電車やバスなどの公共機関や自転車を利用していた人では1.69倍、家族による送迎などを利用していた人では2.16倍という結果になりました。
これらの結果について、筑波大は「活動的な生活が送りにくくなることで、健康に悪影響が及んだ可能性があり、高齢者に対する安全運転の支援や移動しやすい街づくりなどの対策が急務だ」と語っています。