かんぽ生命が不適切な保険契約が相次いで発覚した件で、認知症高齢者がターゲットにされた例も少なくありません。郵便局員が認知症高齢者を狙った事例について紹介します。
1年間で11件の保険に加入させる
2018年6月、山口県に住む71歳の認知症女性宅に、かんぽ生命から届いた2通の督促状を親族が見つけました。その内容は、滞納分の約42万円の支払いでした。
親族が女性宅を探すと次々と保険証書が見つかり、2017年5月に一度に5件、その後も契約を繰り返し、1年間で11件の保険に加入させられていました。そのうちの5件は、ほとんど同じ内容の終身保険だったということです。
月の年金額を上回る保険料の支払い
女性の収入(年金等)は月約13万円。それに対して、月額の保険料は25万円以上でした。親族が通帳を確認すると、1年間で支払った保険料は200万円以上。
貯金残高は底をつき、かんぽ生命から保険を担保に75万円の貸付まで受けていたが、それでも直ぐに残高不足になり督促状が届いた。女性は親族に「郵便局の人に任せているから分からない」と話したということです。
親族は、郵便局に抗議をするも「さらに貸し付けを受ければ、お支払いできます」と開き直る始末。結局、半年間の交渉で、かんぽ生命は昨年12月に非を認め、全額返金に応じたということです。しかし、親族は「これは犯罪だ」と今も怒りが収まらないという。