高齢者の労災が年々増加 転倒が全体の4割を占める

今月15日政府は、70歳までの高齢者の雇用確保を、企業に努力義務として課す方針を打ち出しました。しかし、2018年に労災に遭った60歳以上の労働者が、前年よりも「10.7%」増えており、労災全体の4分の1を占めています。高齢者雇用を進める一方で、高齢者が安心して働ける環境づくりが課題となっています。

◇ 60歳以上の労災者が「3万3千人」

17日厚労省は、2018年の労災発生件数が12万7,329人(前年比5.7%増)と公表。このうち60歳以上が3万3,246人で、全体の26.1%(08年時点:18.0%)でした。

こういった60歳以上の労災が増えている背景には、65歳までの定年延長や人手不足で働く高齢者が増加したのと関係しています。ちなみに、65歳以上の労働者は、10年前より309万人増の「875万人」に達し、労働人口全体の12.8%(6,830万人)を占めています。

◇ 転倒による労災が特に多い

雇用者(役員除く)1千人あたりの労災件数は、20代が1.6件に対して、60歳以上は「3.8件」と2倍以上の水準となっており、労災の原因で特に多いのが「転倒事故」です。

転倒事故は、労災全体(全世代)では25%に留まっていますが、60歳以上に限れば37.8%を占めています(50代:30.3%)。また、男女別の内訳でみると、50代以上になると女性の割合が高くなる傾向です。

今後政府は、高齢者の雇用確保を企業に求める方針ですが、高齢者が働きやすい労働環境の整備も必要となってくるでしょう。

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