高齢者の顧客対応の強化を目的に、新組織「日本金融ジェロントロジー協会」を野村ホールディングス・三菱UFJ信託銀行・慶応大学が設立し、今月下旬に初の総会を開く予定です。この新組織は、認知機能の低下といった年齢を重ねる影響を分析し、金融機関の適切な資産管理に生かすのが目的です。また、今秋に会員向けの研修制度を導入し、将来的には検定試験も実施するということです。
◇ 高齢者に特化した専門家を育成
近年では、高齢者を狙った犯罪が多発する中、新組織では関連する法制度や認知機能低下の仕組み、医学的見地に基づき、高齢者に分かりやすく説明する技術などを学び、信頼して資産形成の相談ができる「高齢者対応の専門家」の育成を目指します。また、将来的には資格認定も考えているということです。
◇ 老化の個人差にも対応
従来の金融機関は、75歳以上の顧客に投資商品を販売する際は役職者が面談するなど、年齢で画一的に対応していました。
しかし、同じ年齢でも「元気な高齢者・認知症を患っている高齢者」がいるように、老化には個人差があります。また、両親が認知症になり預金口座が凍結され、介護費用や生活資金が引き出せなくなるといったトラブルも各地で発生しているのが現状です。
そのため、新組織では、営業担当者が適切な知識を基に、商品説明や口座凍結問題を防ぐなどといった対応をしていくということです。
今後、総会を経て理事構成や社則などを正式決定し、会員数については、今秋までに銀行や証券、生損保など大手金融機関10社程度に拡大する見込みです。