2012年時点で厚生労働省が公表した、わが国の認知症患者数は約462万人(12年度時点)、高齢者のおよそ7人に1人が「認知症」とされています。また、6年後の2025年には約700万人、5人1人が認知症になると予測され、今後さらに認知症の人に対する介護が必要となってきます。そんな中、認知症の親を持つ介護者(家族)の間で認知症の手解きとも言える本が現在注目されています。その本は『認知症の人がパッと笑顔になる言葉かけ(右馬埜節子/講談社)』です。
◇ 介護者は認知症の翻訳者
本書には、認知症の方と向き合う際、その人の「翻訳者」として振舞う必要があると述べられています。
翻訳者の例を具体的に出すと・・・
認知症になると、相手に自分の状況を正確に伝えることが出来なくなります。例えば、認知症の人が「トイレに行きたい」と思っても、相手に上手く伝えることができず「怒る」「落ち着かない」「喚く」などといった、「トイレに行くという表現」とは全く違う行動になる場合があります。
こういった時に、介護者は「認知症がひどくなった」と安易に考えず、相手の言動などをよく観察して「代弁(翻訳者)」し、気持ちをくみ取る姿勢が大切となります。
◇ 否定的な態度を取らず、寄り添った声かけ
認知症の人の行動は、はたから見れば多少おかしな行動に見えることがありますが、その行動は「昔出来ていたことができなくなった」「分からなくなった」といった不安や焦燥感から来ている場合があります。そんな時に「何やっているの!」「○○はやめてって言ったでしょ」などと、いきなり否定的な発言をするのは良くありません。その発言が、さらに本人の混乱を招き、場合によっては怒り出すかもしれません。
そうならないためにも、まず「何かありましたか?」「いつでも頼ってください」などと寄り添った声かけをし、相手の気持ちを落ち着かせることが大切です。
◇ 認知症の方と笑顔で過ごす
認知症の人を介護するというのは、本人もそうですが、介護者にも負担はかかるものです。今回、紹介した本の内容は、ほんの一部ですが、認知症の人とその家族が少しでも笑顔で過ごすことができるテクニックが多く書かれていますので、一度手に取ってみてはどうでしょうか。