最近特に、高齢者の信号無視や横断歩道のない道路での横断、いわゆる「乱横断」による事故が後を経ちません。3月に、北九州市で起きたバイクと高齢歩行者との衝突事故では、高齢歩行者が赤信号に加えて、横断歩道外で渡ったことが原因で起きた事故として、「歩行者側」が重過失傷害容疑で立件されています。このような、高齢者による乱横断の事故が増加してきており、県警や識者などが警鐘を鳴らしています。
◇ 歩行者の赤信号無視で、バイク運転手が大けが
昨年11月、福岡県北九州市小倉北区の信号交差点で、70代の高齢男性が赤信号にも関わらず、横断歩道外の道路を渡っていたところ、青信号で走ってきたバイクと衝突する事故がありました。この事故で、バイクの運転手は転倒し、頭部に約1か月の重傷を負いました。高齢男性も足の骨を折るなどの大けがをしました。
小倉北署は、この事故は歩行者側に大きな過失があるとし、歩行者の高齢男性を重過失傷害容疑で、バイクの運転手は自動車運転処罰法違反容疑で書類送検しました。また、県内で歩行者の信号無視が原因で起きた事故(第1当事者:一番過失が重い者)が、昨年では12件ありましたが、重過失傷害容疑に問われるのは異例です。
◇ 福岡県内で横断歩道外の道路を渡っての事故が増加傾向
● 昨年発生した交通事故の死者数・・・136人(前年比3人減)
● 道路を横断中にはねられ死亡した歩行者・・・51人(前年比10人増)
● 横断歩道の前後30メートル以内ではねられた歩行者・・・8人(前年比5人増)
これらの高齢者の事故について、大阪大大学院の「篠原 一光」教授(交通心理学)は「高齢になると身体能力が衰えてくるため、横断歩道まで行くのが面倒(大変)になり、最短コースで渡る傾向にあります。また、視野が狭くなり認知機能も低下してくるため、最後まで安全を確認せずに横断してしまう」と指摘。
交通企画課の「長田 昌之」統括管理官は「北九州市で起きた事故のように、歩行者も刑事責任を問われる場合があるため、身を守るためにも、乱横断は危険だという認識を持ってもらいたい」と呼び掛けています。