高齢者の性犯罪について

近年、高齢者による性犯罪が増えていることを皆さんはご存知でしょうか。法務省の犯罪白書平成27年度版によると、高齢者の検挙数が「昭和61年~平成26年」の間で、強姦が約7.7倍、準強制わいせつだと約19.5倍にも膨れ上がっています。代表的な性犯罪の名称は「強姦」や「わいせつ罪」ですが、他にも痴漢や盗撮、ストーカーといった行為も性犯罪に含まれます。

ここでの記事では、高齢者の性犯罪が増えている原因について解説していきたいと思います。

なぜ高齢者の性犯罪が増えているのか

昨年ではありますが、2017年11月に、老人に痴漢をされた女子高生が、老人に回し蹴りをして撃退したという出来事がTwitterで話題になりましたが、冒頭でお伝えした通り、高齢者による性犯罪は増えているのは確かです。

また、高齢者による性犯罪が増えている原因には、もちろん高齢化が進んでいる要因も挙げられます。

定年後の男性の虚無感

現在の高齢者といわれる年代の人たちは、仕事一筋で生き、定年がゴールと考えていた人たちが多く存在するといわれています。そのため、定年後の計画を立てていなかったという人が、責任や使命から解放されたことにより、虚無感に襲われることがあります。

特に男性の場合ですと、定年後は家にいることが多くなり、妻から邪険にされるなど、家庭に居場所がなくなるといった理由から、さらに虚無感に駆られるといいます。そういった虚無感から性犯罪へと発展してしまうことがあります。

在宅支援をしていたとき・・・

私が在宅支援をしていた時のことですが、これはある高齢女性からの相談でした。

女性は「交流会があると毎回車で送迎をしてくれる男性(高齢)がいるんだけど、最近帰りの送迎中に、これからホテルに行かないかい。と何度も誘われて困る」と話していました。

もちろん、男性には妻がいます。以前私にその男性は「家に居場所がないから色々と気晴らしがしたい」と話していました。

この男性のように、家庭での居場所がない男性が外部(交流会やディサービスなど)で異性にアタックする光景は、在宅支援中に何度も見てきました。

優しい対応が逆に勘違いしてしまう場合がある

次に話すことは私の友人からの実話です。高齢者男性が勘違いをしてしまいエスカレートし、ストーカーにまで発展してしまった話です。

当時カフェでアルバイトをしていた友人のAさん。そこに、初めて見る男性Bさんが来店してきました。年齢は73歳(のちに聞いて分かったとのこと)。

来店後は、Bさんはコーヒーを注文し、Aさんは「お砂糖とミルクはお付けしますか?」と尋ねたところ、男性は「砂糖だけ下さい」と言いました。

◇ いつしかBさんは常連客になっていた

2.3日後にBさんがまた来店し、コーヒーを注文。Aさんはまた同じように「砂糖とミルク」を尋ねるも、Bさんは「砂糖」のみを頼みました。

気づけばBさんは数日おきに来るようになり、コーヒーと砂糖を毎回頼む常連客に。Aさんも、Bさんが来店するなり「コーヒーとお砂糖ですね?」と何の気なしに尋ねるようになっていました。

それからは、そのようなやり取りが続き、店内でも軽く話すようになったそうです。その時にBさんは「ここ数年優しく声をかけてくれる人がいなかったから嬉しいよ」とこぼしていたそうです。

◇ 食事の誘いが始まる

ある日Bさんは「バイトはいつも何時に終わるの?」と尋ね、何の気なしにAさんは答えました。

すると、Aさんのアルバイトの時間が終わるころにBさんが現れ、「ご飯でもどうですか」と誘ってきました。

Aさんは店の外で会うつもりはなかったので断りましたが、毎回Aさんのアルバイトの終わる時間に現れ、ご飯を誘ってくるようになりました。

◇ 食事の誘いからエスカレート

ある時、Aさんの郵便受けに、一通の手紙が入っており、内容を見るとBさんからの「食事の誘いのメッセージ」と「電話番号」が書かれていました。この時点でAさんはBさんに後をつけられていたことが分かりました。

これらの行為が長期に渡り続いたため、Aさんは警察に相談し、その後警察はBさんに厳重注意しました。

しかし、その数日後Bさんから手紙が届き、Aさんを「非難する文面」と「名誉毀損で訴える」という内容が送られてきたということです。

認知機能の低下による可能性もある

脳には、前頭葉という器官があります。前頭葉には、理性を保つという重要な役割があり、人間性を左右する部分と言っても過言ではありません。しかし、脳というのは、どんな人でも年齢を重ねていくことで、大なり小なり萎縮していきます。

そのため、性に対して歯止めが効かなくなる原因の一つとして、前頭葉の萎縮が関連している可能性があるされています。そのため、前頭葉の機能が低下してきいるのではあれば当然、理性を保つことが難しくなるので、異常行動を起こしやすくなります。

上記の例は、認知機能の低下が関係しているという根拠はありませんが、可能性は0とも言えません。また、全ての人に該当するというわけではなく、性犯罪を引き起こす可能性一つが脳の萎縮として考えられています。

対応や対策について

上記の体験談のような行動は、当の本人は、たいていの場合は自覚していないことが多いです。また、それが認知機能の低下によるものであれば、なおのことです。そのため、薬などによる抑制が一番効果的といわれています。その薬について、次にお話します。

抗精神病薬(メマリーなど)

認知機能が低下したことにより、異性に対して異常な行動を取るということでしたら、抗精神病薬などにより、落ち着くといった事例もあります。

当サイトでも、認知症高齢者による異常性欲について、詳しく取り上げています。気になった方がいましたら、下記をご覧ください。

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