自治体の約8割が介護保険料の引き上げ

現在わが国の介護保険料の引き上げが、ますます増え続けています。その理由としては、高齢化に伴う、要支援者・要介護者の増加が主な原因といえるでしょう。

2017年12月末時点での要支援者・要介護者の人数が、641万8,582人となっています。この人数の方たちが、概ね何らかの介護保険サービスが利用されていると思って間違いないと思います。ちなみに2016月12月末では、630万4,989人でしたので、前年より約11万人の増加をされています。

介護給付費の増大・・・約9.2兆円

厚生労働省から年度の介護給付費が、2015年度で約9.2兆円と発表されています。ちなみに2014年度は約8.8兆円でしたので、約4億が上昇したことになります。

介護給付費というのは、居宅介護サービス費と施設介護サービス費にかかる費用のことをいいます。更に噛み砕くと、介護サービスの利用です。例えばケアマネージャーによる計画書の作成の依頼、ディサービスやヘルパー、訪問看護の利用をする時にかかる費用です。(皆さんの血税です)

そして現在は「施設から在宅へ」という流れになっているため、居宅介護サービス費が更に増加していくことになります。更に今後「団塊の世代」が75歳以上になる2025年には、一層介護サービスの利用が見込まれるため、介護給付費の増大が見込まれます。

8割の自治体で65歳以上の介護保険料が引き上げ

2018年度~2020年度の介護保険料の基準月額が自治体の8割も増加しています。全国での介護保険料の平均月額は6,000円となっており、その平均月額を超える自治体が4割を超えています。介護保険制度が本格的に始まった2000年度の全国平均は2,911円でしたので、2倍も上がっています。また平均月額を超えて7,000円を超える自治体の数は50となり、当時より3倍となっています。※総務省2016年10月時点、自治体数1,718

40~64歳の方が負担する介護保険料の負担額については、2018年度の月額平均が5,723円となり、前年と比べたら45%も増加しました。また収入の多い企業が特に負担額が増加し、2018年度から約450の健保が保険料の引き上げを行い、健保全体の3割が引き上げに踏み切ったことになります。

引き上げた理由としては、「総報酬割」の導入を厚生労働省が決定したことによります。「総報酬割」というのは、医療費や介護費などの負担割合を健康保険組合加入者の支払い能力及び平均収入に応じて、設定する方法のことをいいます。2017年度から段階的に始まり、2020年度には完全実施となっています。

月額平均保険料の基準額
高い都道府県 低い都道府県
1位 沖縄県 6,854円 埼玉県 5,058円
2位 大阪府 6,636円 千葉県 5,265円
3位 青森県 6,588円 茨城県 5,339円
4位 和歌山県 6,538円 静岡県 5,406円
5位 鳥取県 6,433円 栃木県 5,496円

どれくらい上がるの?

厚生労働省の試算としては、導入前と比べて、平均で月724円程度の負担増が見込まれています。
※2016年10月19日の「社会保障審議会介護保険部会」にて示された推定で、負担割合の1.54%から算出。

私たちに出来る事とは

理由のない介護保険サービスは利用しないということです。まず介護保険サービスを利用するには、一般的にケアマネージャーが課題分析を行った上で導入が適切なのかを判断し、本格利用まで話を進めていきます。ちなみに課題分析というのは、「何故介護保険サービスの利用をしなければならないのか」、「利用することにより、このような成果が得られる」といった分析を行うことをいいます。

「それなら理由なき介護保険サービスの利用は出来ないのでは?」と意見が出るかと思います。確かにその通りです。しかし、中には利益重視で何かと理由をつけてサービスを導入させようとする者います。また利用者側でも、本来は行えることも、楽をしたいから利用したいという方もいます。そんな利用者にケアマネージャーも利用者から強気で理由をつけ言われると、導入してしまうといった例も少なくありません。

こういった例については一部ですが、私が何を言いたいのかいうと、介護保険サービスの出所は、私たちの血税ということです。そしてその血税は適切に使われるべきものなのです。よく政治家に「税金の無駄使いをするな」と言っている方もいますが、私たち国民も税金の無駄使いをしている方がいるということを知っておいてください。

そしてこのまま国民がこの問題について意識をせず、他人事と捉えていると、今後の介護保険料の引き上げや他の税金の引き上げは不可避ということを、認識していただけたらと思います。