政府は高齢者の定義の見直しを検討

自民党の「人生100年時代戦略本部(本部長・岸田文雄政調会長)」は2018年5月29日に、長寿社会の我が国の年齢の在り方について見直すと提言されました。それは年齢で区切る現在の社会保障の全体を見直すということです。また「高齢者」の定義についても見直しの検討を行うとしています。

高齢者の定義の見直し

「人生100年時代戦略本部」がまとめた提言では、2024年に50歳以上の人口が5割を超える我が国の実態を「2024年問題」と定義しています。さらに「高齢者」といわれている年齢の定義や名称、年齢に基づく制度の見直しを行うこととしています。

これらについて自民党の岸田文雄政調会長、小泉進次郎筆頭副幹事長は、社会保障制度の抜本改革を来年末までに実現するよう安倍総理に提言を行いました。

抜本的な改革とは

現在考えられている社会保障改革の方向性としては、「年金受給開始年齢の柔軟化」及び「年金受給開始年齢の選択的引上げ」。
さらに「年齢ではなく、経済力に応じた負担(応能負担の促進)」と「70歳未満・70~74歳・75歳以上」で分かれている医療費負担を「原則3割」にし、低所得者には例外を設け配慮する制度の見直しを、来年末までに改革案と工程表を取りまとめることが決まりました。

私たちの暮らしはどのように変わるのか

もしこの改革が行われれば、まず実質定年はあってないようなものです。いわば体が許す限り働き続けることができ「エイジフリー社会」の到来となります。そのため、老後の資金は年金に頼らなくても生活が出来ます。しかしそれは、「体が持てばの話です。また収入に応じて医療費の負担額が変わるため、今まで通り無条件で「1割」ということにはなりません。そのため働いても医療にお世話になっている人であれば、出費は増えるでしょう。

選択制による年金支給ではありますが、どの程度得するかは現在では不透明ですので、本当に体を酷使して働くことが、はたして良いことなのかは疑問に残ります。結局体を壊して引退し、年金を開始しても医療費や介護費の出費がかさめば元も子もありません。
そのため、どの年齢で年金をもらうのかをしっかりと計画を立てなければならなくなるでしょう。

介護施設の在り方も変わる

現在の高齢者の定義は「65歳からで、原則65歳になれば、条件をクリアすれば介護保険制度の利用ができることになっています。しかし定義が変われば、65歳から利用したい人は、従来通りのように利用ができるのかという疑問が残ります。また介護施設も年齢の定義が変わることで、利用できていた年齢の高齢者を取り込むことが出来なくなるので、経営にも打撃が出てくると考えます。

※余談ではありますが、40歳以上からでも介護保険の利用はできます。しかし国が認めている特定疾病を患っている人のみの利用なので、今回の話は該当しません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回政府は高齢者の定義の見直し、年金受給、医療費についてなどの抜本的な改革案を出しました。現在の段階では前述した通りの情報しか上がってきていませんので、これ以上お伝えすることができませんが、これらの案が通れば私たちの生活は間違いなく変わることでしょう。

私個人的には年齢で人を区切るというのは、合点がいっていなかったので、前向きな検討をしているだけでも良いと思っています。それに高齢者の中でも、体は元気だから働きたいという方もたくさんいますしね。また日本老年学会では高齢者は「75歳」以上として、65歳~74歳を「准高齢者」とする案も出されているくらいです。

いずれにせよ今後の検討で、社会的に弱い立場の方が不利益を被らない制度にしてもらいたいです。