高齢者に起こりやすい低栄養の危険性

最近「体重が減ってきた」「風邪にかかりやすい」「疲れやすい」ということはありませんか?またはお近くの高齢者の方がこれらに悩んでいませんか?それはただの年のせいではない可能性があります。というのも、体の中に十分な栄養素が足りてないと、これらの症状が陥りやすくなります。いわゆる「低栄養状態」といわれるものです。ここでの記事では、高齢者が陥りやすい低栄養についてお伝えしていきます。

低栄養とは

低栄養という文字を見るとだいたいは察しがつくとは思いますが、低栄養についてお伝えしたいと思います。低栄養とは、健康な体を形成や維持をするために、エネルギーやたんぱく質、ビタミンミネラル、脂質といわれる栄養素が十分に足りていないことをいいます。

低栄養になる大きな要因は3つあります。下記にまとめましたので、ご覧ください。

身体的要因

老化や病気の影響により体が衰えることで、効率よく栄養が摂れず低栄養になる。

● 活動量の低下
● 噛む力(咀嚼)の低下
● 飲み込む力(嚥下)の低下
● 疾病による影響
● 視覚、味覚、嗅覚の低下
● 認知機能の低下

精神的要因

こちらは内部的なものです。精神的に負荷がかかり、食欲の低下や食事を拒む。

● ストレスによる食欲の低下
● 虐待の影響によるもの
● 死への恐怖
● ネグレクト

環境的要因

外部的な影響などにより物理的に栄養が満足に摂れない。

● 貧困
● 買い物へ行く手段が乏しい
● 一人暮らしにより満足に調理ができない。

高齢者の低栄養の現状とは

少し前のデータになりますが、国立長寿医療研究センターが実施した在宅療養患者の高齢者の摂取状況と栄養状態の把握についての調査結果によると、調査対象者となった高齢者が990人で、そのうち簡易栄養評価表での調査を行い、低栄養と判断された割合が36.0%、低栄養のおそれがあると判断された割合が33.8%でした。これにより全体の69.8%が低栄養の危険性だったことが分かりました。

またこれらの調査結果で、年齢と要介護度が上がるにつれて、低栄養の割合も上がることが調査結果で明らかになっています。

低栄養の危険性

前述したとおり、高齢者の低栄養のリスクは若い人よりあります。では、低栄養がもたらす体の異常とは一体どのようなことなのか。下記に低栄養がもたらす症状をまとめましたので、ご覧ください。

体重の減少

基本的にしっかりと栄養が摂れていないと体重が減少していきます。これは誰にでもわかることですね。人は栄養を蓄えて体を作り生きていくのですが、栄養が摂れていないと脂肪や筋肉を分解して生きるために栄養素を獲得します。これが体重減少の原因です。

床ずれ(褥瘡)の発生

骨の周りには脂肪や筋肉で覆われています。しかし上述で説明したように、脂肪や筋肉を分解しなくなると骨が浮き出てしまいます。浮き出た骨が皮膚を圧迫させることで、床ずれ(褥瘡)が発生します。

身体機能の低下

低栄養になるということは、疲れやすくなり体の活力が失ってきます。例えば、ふらつきが多くなり、立ち上がり、歩行といった生活をするのに必要な動作に支障が出てきます。またそれらの理由から転倒や骨折に繋がる危険性が大いに出てきます。

低血糖の危険性

食事を摂っていなければ、血糖値が上がらず低血糖に陥る可能性があります。低血糖の症状は主に、めまいや集中力の記憶力の低下、さらに症状が深刻になれば、意識障害も引き起こしてしまいます。

免疫力の低下

風邪が引きやすくなったり、普段はかからない病気になったりと病気のリスクを限りなく引き上げてしまいます。それは栄養素が足りていないと免疫力が低下するため、病原菌などに立ち向かうことが出来なくなるためです。

低栄養を予防するには

まず基本的にはバランスの良い食事を摂ることが鉄則。当たり前だと思います。しかし中にはそうしたくても食事が摂れない人もいると思います。ですので、いくつか改善できるような案を紹介したいと思います。

量を減らし食事の回数を多くする

1回の食事にそんなに食べられないという方はいると思います。高齢者のほとんどは活動量の低下や食が細くなる傾向にあります。ですので、1日3回のところを、5回に分けて食べてみるのもありだと思います。
※これは食事量の分散という意味です。5回を1食ずつと換算せずに、1日3回分を小分けにすることを意味します。

食事形態の見直し

高齢者になると体が衰えていくので、噛む力や飲む力が必然的に落ちてきます。そのため、昔と同じ食事形態では食べづらいということがあります。たとえば、ご飯を少し柔らかめにする、おかずを一口大にするなど、高齢者の食べやすい状態に合わせて調理をすることで食事量が上がるということがあります。

栄養補助食品の活用

必要な栄養素を食事だけで摂るのは大変という方には、「栄養補助食品」の活用をお勧めします。その中でもこちらの商品はお勧めです。1パック125mlで200カロリーと体に必要な栄養素が入っています。また私が施設で務めていた時もこの商品は使っていたので、信頼性は間違いありません。

配食サービスの利用

「作るのが大変」、「作れてもバランスの良い食事を作れる自信」がないという方にお勧めです。配食サービスは、カロリー、栄養素などの計算をされて作られています。また食事形態や病状に合わせた食事メニューもあるので、活用してみてください。

配食サービスの会社にもよりますが、1食あたり配達料込で「500~700円」くらいが相場です。おかずのみというのも可能です。全食頼むのではなく、1食だけ頼んで後は作るという方もいます。以前に当サイトでも配食サービスについて紹介しています。

➡「配食サービスについて