日本の高齢化の推移と今後の影響とは

わが国の高齢化率は28.4%(19年9月15日時点)と、世界でも類を見ない高齢化率となっています。恐らく、多くの人がこの現状のことを超高齢化社会と呼びますが、超高齢化社会とは65歳以上の人口の割合が総人口の21%以上を占めた社会を指し、日本はまさにその社会です。現在も高齢化は進行しており、わが国の社会問題の1つでもあります。ここでは、日本の高齢化の推移、今後の影響について触れていきたいと思います。

日本の高齢化の推移とは

内閣府が公表している資料を基に高齢率の推移を作成しました。それが下記の通りです。


※単位:%

高齢化の現状を一目で分かるのが高齢化率です。冒頭でもお伝えしましたが、わが国の高齢化率は28.4%、推計で3.588万人。総人口が前年より26万人減少している一方で、高齢者の人口は前年より32万人増加しています。これは昨年9月に公表されたものですので、現在もさらに上昇していると考えられます。

次は、日本の高齢化率についての転換を振り返っていきたいと思います。

1950~70年:戦後復興・高度経済成長期

第二次世界大戦でわが国の経済は壊滅的なダメージを受けましたが、戦後5年後1950年(昭和25年)にアメリカは日本を資本主義陣営の一員として独立させました。独立を果たした1950年の日本の総人口は8,411万人、65歳以上の高齢者は309万人、75歳以上は107万人、高齢化率は4.9%と低水準でした。

同年に朝鮮戦争が始まり、戦争の特需景気によって日本の産業が大きく成長し、1954年(昭和29年)12月より高度経済成長期が始まりました。

翌年の1955年(昭和30年)の日本の総人口は9,008万人、65歳以上の高齢者は338万人、75歳以上は139万人、高齢化率は5.3%。5年前より4%上昇しましたが、1955年の出生率は2.37%、0~14歳の総人口は3,012万人、15~64歳は5,517万人と、この時代から人口が爆発的に増加していきます。

1970~95年:高齢化社会から高齢社会まで

日本が初めて高齢化社会(高齢化率7%以上)に突入したのは1970年(昭和45年)で、総人口は1億467万人、65歳以上の高齢者が516万人、75歳以上は224万人、高齢化率は7.1%でした。

1971~74年(昭和46~昭和49年)には、第二次ベビーブームが到来し出生率が上昇。いわゆる、団塊ジュニア世代と言われる人たちの誕生です。日本経済は、長くにわたり続いた高度経済成長期もオイルショック等により終焉し、日本は安定成長期へと移行し始めました。

人口動態では、第二次ベビーブーム後より出生率は「1.○○%」台と低下していく一方で、高齢化率は上昇し続け1995年(平成7年)には高齢化率が14.6%に達し、日本は高齢社会(高齢化率14%以上)へと突入しました。1995年の総人口は1億2,557万人、65歳以上の高齢者は1,109万人、75歳以上は717万人です。

日本が高齢化社会から高齢社会に突入したスピードは諸外国より圧倒的に早く、ドイツでは40年、アメリカが72年、フランスは115年かかりましたが、日本はわずか24年で到達。また、この頃のわが国の平均寿命の上昇も目覚ましく、1970年の男性の平均寿命が69.31歳、女性が74.66歳なのに対し、1995年の男性の平均寿命は77.72歳、女性が81.90歳と8歳近くも伸びているのが分かります。

2000年代:高齢社会から超高齢化社会

2000年(平成12年)に入り、さらに日本の高齢化率は上昇していきます。2000年の総人口は1億2,693万人、65歳以上の高齢者人口は1,301万人、75歳以上は900万人。そして、2010年(平成22年)に超高齢化社会(高齢化率23%以上)を迎え、65歳以上の高齢者人口は1,517万人、75歳以上1,407万人にまで増加しました。

その後も高齢者の人口、高齢化率は伸び続け、総務省は2019年9月15日(敬老の日)に65歳以上の高齢者は3,588万人、75歳以上は1,848万人(総人口の14.7%)、高齢化率は28.4%と公表しました。2010年から2019年までの19年間で、65歳以上の高齢者の人口が約1500万、高齢化率は5.4%も増加しており、驚異的なスピードで高齢化が進んでいるのが分かります。

人口・高齢化率が急激に伸びた背景には、長期にわたる出生率の低水準、晩婚化・未婚化、医療技術の進歩・健康意識の変化などによる平均寿命の延伸などが挙げられます。

今後の影響は?日本はどうなる??

戦後から超高齢化社会までの日本の高齢化について触れました。では、これから高齢化の影響によって起こる日本についても見ていきたいと思います。

2025年問題の到来

2025年になる頃には全ての団塊の世代が75歳以上になり、75歳以上の高齢者人口は2,180万人・65歳以上は1,497万人と、後期高齢者(75歳以上)の人口が前期高齢者(65~74歳)の人口を上回ります。

ただ上回るだけならさほど問題ないのですが、後期高齢者は病気になるリスク、介護状態になるリスクが高まります。2025年以降、それらのリスクが高い後期高齢者の人口が増えるため、その影響で医療福祉サービスは圧迫し、それらの人たちを支えるための社会保障費も大幅に上昇すると予想されています。

そうした影響などから【医療福祉の崩壊、社会保障費の増加、増税・社会保険料等の増額・年金受給額の減額】などが生じることから2025年問題と言われています。

関連記事:2025年問題とは 超高齢化社会で起こる問題と対策

2040年問題

2025年以降も高齢者の人口、高齢化率は上昇し続け、15年後の2040年にも大きな問題が起こります。この頃の日本の総人口は1億1,092万人、75歳以上の高齢者は2,239万人、65歳以上は1,681万人と高齢者の人口は4000万人を超え、高齢化率は35.3%にまで上昇すると推計されています。

そして、85歳以上の高齢者の人口は高齢者人口の3割を占めます。これによって生じてくるのは、2025年問題に起こる問題に加えて【社会からの孤立化】【貧困化】【認知症問題】です。

こうした事態に必要とされるのが社会保障費なのですが、現在の社会保障費より1.8倍近くにまで上昇する一方で、世代間の不均等(高齢者と若者の人口のアンバランス)、いわゆる逆ピラミッド状態が極限に達する時代が訪れます。この頃には、現役世代が高齢者を1.5人で支える時代になっています。


※出典:国立社会保障・人口問題研究所より

まとめ

いかがでしたでしょうか。
わが国の高齢化問題は1970年代から少しずつ進んでいたことが分かります。正直言うと、1950年からデータを取っている以上、このような状態になることは容易に予測がついてたわけで、政治家たちがしっかりと対応しなかったことが今のような問題が起きています。ただ、泣き言を言っても何も始まらないのも事実。では、どうすれば良いのか。

私たちに出来ることと言えば、まずこのような現状をよく理解し、しっかりと将来設計を建てることが大事です。「政治家が何とかしてくれる」、答えは「NO、してくれません。あり得ません」。

自分たちの身は自分たちで守るしかありません。これから社会保険料のUPや増税は必ず起きます。何故なら、税金等を納める若者が減り、税金等を使って支えていく高齢者が増えるからです。本記事でお伝えした内容を見て、今後の人生設計について真剣に考えてもらえたらと思います。

※参考文献:内閣府