噛むことは介護予防につながる

口から食べるという行為は、私たちの生きることに大きく関わってきます。それは、五感が刺激されるからです。それを生かすにはやはり口腔(お口の中)機能の向上や維持が不可欠となってきます。ここでの記事では、口腔内の環境が私たちの体にどのような影響を及ぼすのか、そして介護予防にどのように繋がっていくのかについてお伝えしたいと思います。

口腔機能とは

私たちが健康であるうちは、あまり意識しないと思いますが、まず口腔機能の主な役割は、「食べる・飲み込む・呼吸」です。

また「歯・歯肉・舌」は、生命の維持はもちろんのこと、人として暮らしていくための大事な役割を担っています。

口腔機能の役割

口腔には、「食べる・飲み込む・呼吸」と主な役割がありますが、実は他にもこんな役割もあります。下記にまとめましたので、ご覧ください。


● 表情の表現(笑顔、口角の上下で表現)

● 異物の認識(舌などにより、食べ物との誤認を防ぐ)

● 発音や言葉を発する

● 唾液による殺菌

● 食いしばる事での力の発生

● 歯ぎしり(ストレス発散)

● 脳への伝達および刺激

● 味の感知

まだまだありますが、このような機能は考えないでも行えていると思います。しかしそれは健康だからです。口腔機能が衰えることで、上記の役割が行えなくなってきます。

噛むことの大切さ

口腔機能の役割については、上述の内容でお分かりになられたかと思います。次にお伝えするのは、噛むことの大切さです。では何故噛むことが大事でしょうか。

体に与える影響

噛むことは、ただ食べ物を胃の中に入れるための行為ではありません。実は噛むことによりさまざまな影響が体に起こることが分かっています。それを下記にまとめましたので、ご覧ください。


●唾液や胃液のなどの分泌液を促進し、飲み込むや消化吸収をしやすくする。

●五感を満遍なく刺激出来るため、食欲増進に繋がる。

●満腹感を味わえる。

●脳の血流量が増加し、老化予防に繋がる。

★ よく噛むということは、当たり前ですが生きることに繋がります。

噛めなくなる原因

年齢と共にそれが徐々に出来なくなってきます。その理由については、人それぞれですが、主な例を下記にまとめましたので、ご覧ください。

●周囲の口腔筋力の低下により、よく噛むことが出来ない。

●歯肉が痩せ、歯が抜けてくる。

●歯がないため、噛むことが出来ない。(入れ歯が合わない。)

●硬いものが噛めないため、普段から柔らかい物を食べている。

●食欲の低下で、食事を摂る機会(回数・量)が少ない。

などが挙げられます。これらの状況は早めに対策をしなければ、より深刻な状態になる恐れがあります。

深刻な状態とは

噛めなくなるということは、実は介護が必要な状態と隣り合わせと言われています。その理由について、下記の図をご覧ください。

この図のように、噛めなくなるということは健康に生活をし続けていくことが出来なくなるのです。また口腔機能の低下をすると、「誤嚥性肺炎」という病気を誘発してしまう恐れもあります。

口腔機能の維持が大切

まず噛むには、「歯」を大事にしなければなりません。そのためには、歯を少しでも長く保たせると同時に、口腔機能全体の維持と向上が必要です。

つまり日ごろから、歯を清潔に、そして口周りの筋力を衰えさせないことが大事となります。

代表的な口腔トレーニングが「パ・タ・カ・ラ」体操です。この体操は、大きな声で「パタカラ」と発音します。そのことにより、「舌」「喉」などの飲み込むために必要な筋力が刺激されます。さらに唾液も出やすくなるため、食前に行うことをお勧めします。

このような口腔トレーニングを行うだけで、少しでも衰えを防ぐことが出来ます。意識して行ってみて下さい。

そして、定期的に歯科医院への通院を勧めます。歯の清潔を保つためという理由もありますが、日ごろから歯科医院に通うことで、日々の口腔状態を歯科医は追えるからです。それは早めの対策にも繋がるので、是非行ってください。