高齢者の趣味探し オススメの趣味7選

私がケアマネジャーとして在宅支援をしていた頃「毎日がやることない」「暇だ」などの悩みを持つ高齢者が多くいました。その中でも特に男性に多かったのを覚えています。私は「何故やることがないのか」と聞くと「昔から仕事一筋だったから趣味などがなかった」「退職後は何をやっていいか分からない」などといった意見が多く聞かれた。

退職後に打ち込める趣味がない人は、様々な問題を抱えることがあるので【安易に暇な日々を過ごしている】と軽く考えるのは危険です。ここでの記事では、趣味がないことでの問題と高齢者に向けたオススメの趣味7選をお伝えしたいと思います。

高齢者の無趣味はちょっと危険

無趣味というのは、簡単に言うと何も意欲的に取り組むものがないことです。だからと言って、興味のない事を無理矢理やっても意味がありません。しかし、何もやることがなく家で刺激のない生活をしていると、気づかぬうちに体に異変が起きてきます。

まず、オススメの趣味を紹介する前に、無趣味によって起こる体の異変について簡単にお伝えします。

老人性うつ病の発症

現役時代は趣味がなくても、仕事や会社の人との付き合い、子育てなどといった他にやらなければならないことが沢山あったかと思います。しかし、年月が経つにつれて子育てが落ち着き、仕事は退職、退職後は会社の人との付き合いも減っていきます。今までやっていたことが無くなっていくことで、生活に張りが無くなってきます。

そして、生活に張りが無くなれば、気持ちが閉鎖的になっていきます。その状態が長く続けば続くほど、【老人性うつ病】の発症リスクを上げてしまう危険性が出てきます。

では、老人性うつ病とはどんな病気なのか。老人性うつ病とは、認知症と紛らわしい症状が多くあり【一日中、ぼーっとしている】【ブツブツと訳の分からないことを言い続けている】【反応が鈍い】【受け答えがちぐはぐしている】などの症状があります。検査で認知症だと思ったら、実はうつ病だったというケースはよくあります。

老人性うつ病の主な症状は、身体的不調、妄想や不安といったことが現れます。特に多いのが身体的不調から現れる頭痛や倦怠感、肩こり、腰痛、吐き気、めまい、不眠などです。それらの症状はうつ病から来ているため、うつ病の治療が必要となります。

フレイル問題

高齢者とフレイルは切っては切り離せない問題です。そして、高齢者問題の根幹とも言われています。

まず、フレイルとは健康状態と要介護状態の間のことを指します。では、なぜ無趣味がフレイルと関係があるのかについてですが、無趣味だと特にやることがないため家にいることが多くなります。しかしそれは活動量の低下を表しており、活動量が低下すれば体が鈍り身体的フレイル、つまり筋肉量の低下(サルコペニア)が起きてきます。

次に、身体的フレイルになると【①基礎代謝の低下(エネルギー消費量の低下)→②食欲減退→③食事量の低下→④栄養素の摂取量の低下→⑤低栄養→⑥体重減少→①にもどる】といった負のスパイラルに陥りやすくなります。

さらに、フレイルには身体的だけではなく、精神的フレイル(うつ・認知症の発症など)・社会的フレイル(引きこもり・社会的孤立)といった問題もあり、1つの問題が連鎖的に起こるのがフレイルの特徴です。

そのため、無趣味は「暇な生活」「何もやることがない」と安易に考えてはいけない問題なのです。
※詳しいフレイル問題について:高齢者フレイル対策と課題

オススメ趣味を紹介

趣味を持つということは【体を動かす・社会交流の場を持つ・生きがいを見つける】などといった面があります。また、新しいことに挑戦するということは物事に意欲的に取り組むということなので、達成感による精神的な安定や、適度な疲労による快眠に繋がります。それらを踏まえて、次は私が実際に提案していた趣味7選を紹介します。

外出系の趣味

外出系の趣味については、基本的に体を動かすことを念頭に提案していました。やはり高齢になると筋力低下は避けられないため、日頃から筋力UPを図れる趣味が良いと思います。

趣味 説明
・ウォーキング(散歩) ・ウォーキングの効果は【中之条研究】でも効果が実証されている運動方法です。この研究では、早歩きのウォーキングで検証されています。
● 4000歩、5分以上:うつ病の予防
● 5000歩、7.5分以上:認知症の予防
● 7000歩、15分以上:骨粗鬆症、がん予防
● 8000歩、20分以上:高血圧、糖尿病予防
・カラオケ ・ディサービスなどでは当たり前のリハビリ兼娯楽です。カラオケによる効果については、【ストレス発散:精神的安定】【誤嚥防止:口腔全体の筋力UP】【唾液分泌の向上】が期待されています。
・社交ダンス ・社交ダンスは【運動】【コミュニケーション】【記憶力】がミックスされた趣味とも言えます。

社交ダンスは、1人でダンスをするわけではないため、ステップや相手をリードしたり感じたりといった知的活動やコミュニケーションなどが必要になります。また、体を動かすため筋力UPも同時に図れるため、健康増進の目的としては非の打ち所がありません。

・ディスコダンス教室 ・社交ダンスと同じく、踊ることで筋力を使い、ステップの確認などで頭を使います。さらに、若い頃によく行っていた人であれば、懐かしさを感じることができ継続しやすいのではないでしょうか。

室内系の趣味

中には、体を動かすことが苦手な人や持病などで動けないという人もいると思います。そういった方は室内系の趣味を行うことをオススメします。

趣味 説明
・将棋、麻雀、囲碁、オセロ ・室内の趣味の定番です。言うまでもないですが、駒の動きや役、ルールを覚えるのはもちろんのこと、相手の動きも読んで行うものなので、脳が活性化されます。また、手先も使うので、認知症予防に適していると言われています。

地域でこれらの趣味を専門に行っている場所もあるので、友達作りにも最適です。

・写経(ペン習字) ・宗教のイメージが強いですが、最近では広く一般的に広まっています。写経の効果は【脳の活性化:丁寧に指先を使う】【集中力と忍耐力の向上:一文字ずつ丁寧に書き写していく細かい作業】などの効果があると言われています。
・パソコン教室 ・ディサービスでもパソコンなどを教授している場所は最近では多くなりました。ちなみに、パソコンといっても、インターネットを閲覧するだけではありません。タイピングはもちろんのこと、エクセルなどを使った表計算を作ったりとパワーポイントを使い【自分の○○を紹介する】といった楽しみ方があります。今までやったことがないことを覚えるということは、脳の活性化や意欲向上になるのでオススメです。

また、パソコンなどを使いこなすことで、新たな趣味や有益な情報が見つかるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
ここで紹介した趣味は、私が在宅支援をしていた時に提案していた趣味活動です。今までの生活環境などから合わない場合もあると思いますが、新しいことにチャレンジするということはかなりのエネルギーを使うことになります。そういった活動は、健康的な生活を送るキッカケになりますので、ここでの記事を参考に楽しいシニアライフを過ごしてもらえたらと思います。