高齢者の孤食問題 孤食は死亡リスクを上げる

孤食というのは、基本的には「1人で食事をする」ということなのですが、高齢者の方が、孤食を続けているとさまざまなリスクを招く恐れがあります。では、高齢者の孤食はどのようなリスクを生むのか深掘りしていきたいと思います。

孤食の危険性

孤食、つまり1人で食事をすることなのですが、なぜそれが危険なのか。大きく分けて「低栄養」「うつ病発症」「死亡リスクの上昇」の3つのリスクが降りかかる可能性があります。

低栄養

孤食は「低栄養」に陥る可能性があります。もちろん、高齢になると、若い時と比べて、噛む力や飲み込む力、消化器官の衰えなどにより食事量が徐々に低下していきます。

しかし、それに加えて「孤食」という環境がさらに低栄養のリスクを上げてしまいます。では、何故か。まず、1人で食べるということは、自分の気分や嗜好で食事の内容が決まりがちになるため、栄養バランスが偏ります。

さらに、1人で食事をする習慣に慣れると、食事時間が徐々にバラバラになり、次第に料理をすることも億劫になってきます。そして、近くに食料品店がない地域に住んでいれば、食材が容易に買えないため、より低栄養への危険性が高まります。

うつ病の発症

孤食をする高齢者は、誰かと一緒に食事をする高齢者と比べて、うつの発症が、男性「2.7倍」女性「1.4倍」高いことが、東京大学で栄養疫学の専門「谷 友香子」研究員らの研究チームにより明らかにされています。

この調査では、2010年にうつの症状がなかった男女65歳以上の高齢者約「3万7,000人」を対象に3年間の追跡調査を実施。このうち3年後の2013年には約「4,400人」がうつ傾向が認められました。

結果の内訳については、上記でお伝えしたように男性「2.7倍」女性「1.4倍」がうつになる可能性が高かったことが判明。しかし、1人で食事をする機会が多くても、同居人(配偶者)などが居る場合は、うつ症状の可能性は低いということが分かっています。

◇ 原因の1つがセロトニンの減少

うつ病の原因の1つとされているのが「セロトニン」の減少です。セロトニンと聞くと睡眠を促す物質と認識している方もいるかもしれませんが、実はうつにも関係しています。

セロトニンは、加齢に伴い徐々に分泌量が減少していきます。そのため、高齢者は必然的にうつ病のリスクが高くなります。そんな中、1人で食事をするという環境がさらにうつ病を誘発させてしまいます。

セロトニンは、幸せホルモンとも言われており、笑うことで多く分泌します。そのため、うつ病の発症を防ぐには、多く笑う機会を作ることが大事となるため、人と楽しい時間を作ることが鍵となるでしょう。

死亡リスクの上昇

JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study) 日本老年学的評価研究が、65歳以上の高齢者の孤食と死亡との関連について、2010年に約3年間の追跡調査を実施しました。

対象人数は「男性:3万3,083人」、「女性:3万8,698人」で、対象者には「食事は誰とすることが多いか」を質問。「配偶者・子ども・孫・友人・その他」のいずれかを答えたら「共食」。「1人」と答えた人は「孤食」とし、さらにそこから2群に分けます。

同居の「共食」と「孤食」と、独居で「共食」と「孤食」の4群に分けて調査を行いました。※年齢・身体状況・経済力、教育歴の影響も調節。

◇ 調査の結果

男性 男性(死亡)
※約3年の間に死亡した人数
女性 女性(死亡)
※約3年の間に死亡した人数
同居・共食 2万9,182 人 1,759 人 2万9,870人 815人
同居・孤食 1,645 人 156人 2,798人 121人
独居・共食 263 人 12人 1,056人 29人
独居・孤食 1,993 人 147人 4,974人 178人

◇ 男性は女性に比べて死亡リスクが高くなる

男性は「同居・共食」 していた人と比べて、「同居・孤食」をしていた人の方が死亡リスクは、約「1.5 倍」上昇しています。「独居・孤食」については、約「 1.2 倍」でした。

一方女性の結果では、「同居・共食」 していた人と比べて「同居・孤食」をしていた人の死亡リスクが、約「 1.1 倍」、「独居・孤食」については、約「 1.08 倍」と、男性と比べてあまり変わらない結果となりました。

孤食の対策は

上述でお伝えしたように、高齢者の孤食は、低栄養やうつ発症、死亡リスク上昇といった問題を引き起こします。では、一体どのような対策を行っていけばよいのか。まず、人付き合いが面倒くさいという考えをまず捨てて下さい。その上で、1人暮らしをしている高齢者への対策について見ていきたいと思います。

会食イベントに参加

社会福祉協議会主催で、会食サービスをやっている地域もあります。こういったイベントに参加することで、スポット的ではありますが孤食を解消することができます。また、「70歳以上・単身者」などの条件が設けられているイベントもあるので、同じ境遇の方と知り合うことができ、このようなイベントに参加することは、行事後の付き合いも増える可能性もあるので、参加してみると良いでしょう。

介護保険サービスの利用

いわゆる、ディサービスやディケアサービスの利用です。度定番の案だと思いますが、介護認定が下っている人であれば、行かない手はありません。

夕食は難しくても、昼食は誰かと一緒に食べることが出来ます。そのため、一日中1人ということはありませんので、寂しさは解消されるでしょう。また、食事以外でも人と触れ合うことはうつ病などといった病気の予防になりますので、検討する価値はあると言えるでしょう。

テレビ電話

遠方や近くでも頻繁に会いに行けないという方には、良いかもしれません。今では通話料金が無料のテレビ電話(Skype・Lineなど)もあるので気軽に利用ができます。私が在宅支援をしていた時に担当していた利用者の方で、毎日ではなくても定期的にこのようなやり方をしてテレビ電話越しですが食事をしていた利用者はいました。画面越しではありますが、顔が見えるというのは、意外と心が満たされる部分もありますので、試してみる価値はあると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
孤食という問題は、この記事でお伝えしたようなリスクがはらんでいます。今後ますます高齢化が進み、1人暮らし世帯が増えていくことを考えると、孤食問題は今以上に表面化してくるでしょう。遠方に高齢の親がいる方でありましたら、こういった問題があることを覚えていただけたら幸いです。