火葬場不足問題、年間死亡者数が130万人超える

皆さんご存知でしょうか。現在わが国では火葬を行いたいが、随分先まで予約が埋まっているという現状を。

こういった現状は、全国各地で起きており、中でも最も人口が集中している東京では、火葬場の空き待ち状態が約1週間待ちという事態が起きています。では、何故このような現象が起きているのか火葬場不足問題について紐解いていきたいと思います。

わが国の年間死亡者数が130万人を超えた

わが国では戦後1947年から死亡者数の統計を取り始めています。その初めとなる1947年の死亡者数は、113万8238人と100万人を超えていました。そこから徐々に死亡者数は減少していましたが、1990年を機に徐々に死亡者数が増え始め、 2016年には死亡者数が戦後最多となる、「130万7748人」と130万人を超える事態となりました。

死亡者数が増えた背景には、人口の増加と高齢化によるものと考えられます。

死亡者数の増加に伴い火葬場が不足

死亡者数が戦後最多となり、当然ながら死亡者数が増加することにより、火葬場の需要が高まります。しかし需要が高まっているのにも関わらず、何故火葬場が増えないのか。そこには地域住民との兼ね合いがありました。

火葬場を建設する場所の問題

まず火葬場が近所に出来るということで、反対する住民が多いため、なかなか建設が出来ないのが実情です。またとある自治体では、火葬場が建設されることにより、不動産価格が下落するという鑑定も出されたことにより、見送る自治体もあるといわれています。

火葬場には「公営火葬場」と「民営火葬場」の2種類が存在

公営火葬場に申込み者が集中している

まず公営による火葬場と民営による火葬場について説明していきたいと思います。

公営火葬場

公営による火葬場は、名前の通り「公営」ですので、各自治体が運営を行っています。そのため、基本的には自治体に住んでいた故人やその家族であれば、火葬が安価で行えます。23区内では、臨海斎場と瑞江葬儀所の2カ所存在します。

またこの地域に住んでいない方でも利用は可能ですが、住んでいる方より料金は高くなる傾向にあります。

民営火葬場

文字通り、民間企業が運営する火葬場です。そのため基本的には誰でも利用は出来ますが、公営での火葬場に比べて、火葬料金が割高に設定されています。

23区内では、代々幡斎場、四ツ木斎場、落合斎場、堀ノ内斎場、、町屋斎場、谷塚斎場、桐ケ谷斎場の7カ所があり、公営での火葬場より数はあります。
年々増加する死亡者数に加え、人口が密集している都内ですら、公営と民営合わせて9カ所しかありません。そのため、都外の火葬場へ依頼する方もいるのが実情です。

火葬場待ちをしている方の現状とは

故人を早く供養してあげたい。しかし火葬場が混みあっていることにより、自宅で待つことを余儀なくされている遺族がたくさんいます。

自宅で待っている遺体を痛まないように、ドライアイスなどで遺体を冷やしている遺族や、冷蔵庫に遺体を入れて冷やし、火葬場の空きを待っていたという遺族もいます。これが夏場でありましたら尚更遺体の保管は慎重にならなくてはなりません。

このように火葬場を待つということは、とても大変な事だということがお分かりかと思います。

火葬場待ちの対策とは

正直、現状は遺体が傷まないように冷たい環境を絶え間なく提供し続けるしかありません。しかしこれは家族や近親者がいる方ならよいですが、いない方や高齢により対応が出来ない方など、さまざまな方がいると思います。

対策になるかは微妙なところではありますが、遺体を安置する仮場があれば良いのではと私は思います。火葬場を待つ数日を絶え間なく管理していなければならないため、心身共にとても辛いと思います。そういった施設があれば、少しでも辛さから解放されるのではないでしょうか。

早めの行動が大事

火葬場の生前予約は出来ませんので、少しでも待つ日にちを短くするためにも、早めの行動が大切です。

「何故?」と思われた方がいると思いますので、一般的な火葬についての説明をしたいと思います。

まずご逝去されたら医師から死亡診断書をもらいます。その上で、葬儀屋に死亡診断書を渡し、「死亡届」や「火葬許可証」などの手続きを行います(行ってくれます)。そしてここでようやく火葬場への予約が出来るわけなのですが・・・。

もしここで葬儀屋が決まっていなければ、このやり取りが遅くなり、そして火葬までの時間がかかることになります。結果、火葬場が空くまで待つことになります。

生前に葬儀の話を進めるのは心苦しいかもしれませんが、後々大変な思いをするくらいなら、私はある程度、葬儀関係の話を進めても良いと思います。

火葬場待ちの対策案

故郷で火葬

東京には人口が集中していることにより、火葬場のキャパがオーバーしているのが実情です。対策の一つとして、昔住んでいた場所や故郷に帰り火葬するという案はどうでしょうか。必ずしも東京都以外が故郷とは限りませんが、意外と多いのではないでしょうか。

これが浸透すれば、東京都の火葬待ちは少しは改善するのではないかと私は考えています。また葬送方法ですが、地方の葬儀屋さんと綿密な作戦会議をし、葬送してもらうと良いと思います。また流行れば、葬送業者も出てくるかもしれませんね。
ただ、故郷での火葬が流行ることで、地元の方の火葬待ちが増えると、それはそれで本末転倒となります。これらについても、検討の余地は十分にあります。例えばですが、今流行っている「ふるさと納税者」のみの受け入れ(本来の故郷ではなくなりますが、応援していた街での火葬希望もありなのでは・・・。)や、生前故郷で何らかの貢献をした方、何年以上住んでいた方など、制限をつけるのもありかもしれませんね。

最後に・・・

この問題は行政だけの問題ではない

死亡者数が年々増加しているので、葬儀場や火葬場の待ち問題は、今後一層深刻になっていくと考えます。しかしこの問題について、行政だけが考えていくのではなく、地域住民の理解があってこそだと私は思います。そのため火葬場不足問題を他人事とは捉えず、地域住民みんなでも真剣に話し合い、この問題の解決の糸口を見つけていくことが改善の近道なのではないでしょうか。