高齢者の「年賀状じまい」~広がる終活年賀状~

新しい年が始まり、新年のあいさつとして年賀状を親族や友人などから送られてきた方もいると思います。しかし、近年高齢者の間で「年賀状じまい」というのが広がっているのはご存知でしょうか。年賀状じまいというのは、簡単に言うと「年賀状を送るのをやめる」というものです。では、なぜ高齢者の間で「年賀状じまい」が広がっているのかについて、ここでは深掘りしていきたいと思います。

年賀状じまいとは

冒頭でも軽くお伝えしましたが、「年賀状じまい」というのは、年賀状の送付をやめるということなのですが、これは、若い世代ほど多いのではないでしょうか?

私もいつの日か年賀状の送付からメール、ラインと切り替えていきました。しかし、高齢者の間でも、年賀状の送付をやめる動きが近年出始めているのです。

57%の高齢者が「受け取った経験がある」

終活関連の記事を掲載している鎌倉新書が、65歳以上の高齢者191人にアンケートを実施したところ、「今後出さない旨が書かれた年賀状を貰ったことがある」と答えた人が「57.1%」もいたことが分かりました。

こういったことは、高齢化がさらに進めば多くなっていくと考えます。次に、年賀状のじまいをする理由について紹介したいと思います。

年賀状じまいに踏み切る理由

年賀状じまいをする理由については、各々事情があると思いますが、その中でも特に多い理由を紹介致します。

● 区切りの年齢を迎えたため。(古希、喜寿など)
● 手先が衰え、きれいな字が書けなくなった。
● たくさんの年賀状を書くことに疲れた。
● 返事を期待することに疲れてきた。
● 親族や友人など付き合う範囲を見直したい。
● 退職して一定年数経過し、恒例化している習慣に区切りをつけたい。
● 年賀状を購入する金銭負担を無くしたい。

わざわざ宣言する必要はあるのか?

「年賀状の送付をやめるのに、わざわざ宣言する必要はあるのか?」という疑問を持たれる方もいると思います。実は、宣言をする理由には、以下のような事情があるとされています。

● 去年まで送られてきた年賀状が「パタッ」となくなると心配する人が出てくるので、宣言をする。
●「死んでいない」という生存確認も含めて宣言する。
● 長年お付き合いしていただいた「礼儀」として宣言する。

最後の「礼儀」については、長年付き合ってきた方なら尚更でしょう。お別れの挨拶を年賀状でしっかりと伝えたいというのが、一番の心情だと思います。

年賀状じまいの文例

年賀状じまいを送りたいと思っても、どのような文面が一番良いのかと、迷う方もいると思います。文章は言葉とは違って感情が伝わりづらいので、人によっては、縁を切られたと誤解をされる可能性があります。しかし、主に下記の3点を抑えて書けば、問題ないでしょう。

● やめる理由を書く。
※高齢になり、筆をとるのが難しくなってまいりました。
● 今回で辞退する旨を明確に記載。
※今年を最後に来年以降の年賀状を終わりしたいと思います。
● 感謝の気持ちを伝える。

気持ちをそのままに伝える

下記に、文例を載せておきますので、参考にしてみてください。

● 「長年お付き合いをいただきましたが、高齢につき、筆をとるのが難しくなってまいりましたので、今年を最後に来年以降の年賀状は控えたいと思います。長い間、ありがとうございました。これからも○○様のご健康を心よりお祈り申し上げます。」

● 「今年で喜寿を迎え、私も年波には勝てず、年賀状をしたためることも難しくなってまいりました。大変失礼とは存じますが、今年を機に年賀状を締めくくらせていただきたく思います。長年にわたり、温かい賀状をありがとうございました。今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げるとともに、○○様のご健康とご繁栄を心からお祈りいたします」

● 「私も今年で○○歳になり、手足の衰えを感じるようになりました。とても残念ではありますが、今年限りで年賀状を控えたいと思います。勝手ではございますが、今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。」

一例ですが、仲の良い関係の方ならもっと噛み砕いて書いていいと思います。一番は「気持ち」ですので、自分の気持ちをそのまま書くのがベストだと思います。

年賀状じまいの注意点

中には「年賀状じまいはするけど、親族だけは送る」といった方もいると思います。そういった方の場合は、人数が多いほど年賀状じまいを送ったことを忘れてしまう可能性がありますので、年賀状じまいを送った人のリストを作成をし、忘れない工夫をすると良いでしょう。