加齢などの影響で耳の聞こえが悪くなり、補聴器を検討している高齢者の方はいませんか?補聴器は聞き取りづらい音を聞こえやすくする優れたアイテムです。ただ、補聴器にはさまざまな種類があり、精密機械ということもあって価格も決して安くはないため、購入して「失敗した」という事態は絶対に避けたいところだと思います。そこで、ここでは補聴器を検討している高齢者の方に向けて、失敗しない補聴器の選び方を5つお伝えします。
目次
1つ目:自身の聴力を確認する
人間の聴力は、大まかに言うと外耳、中耳、内耳の3つの部分から成り立っており、聞こえに関しては内耳がほとんど関係しています。加齢に伴い、内耳の有毛細胞も老化し聴力が低下することで多くの高齢者の方が老人性難聴を患っていきます。
老人性難聴は、内耳と聴覚中枢の障害により聞こえにくくなる状態のことを指します。一般的な聴力は40代前後から変化し、個人差もありますが60代ごろから聞こえの悪さが顕著に現れていきます。
また、老人性難聴は突然聞こえにくくなるのではなく、徐々に悪くなっていきます。音域に関しては、高い音から聞こえが悪くなり、普段の会話の音域、低い音域へと徐々に聞き取りにくさが進行していきます。そして、片方の聴力が悪くなるというよりかは、両側の聴力が同時に低下していくことが多いです。
老人性難聴は治療方法がないため、対処療法しかありません。その方法の1つが補聴器です。下記のような症状がある人は、まずは耳鼻咽喉科を受診し、補聴器が有効であるかの診断をしてもらうと良いでしょう。
- 会話中、何度も聞き返すことが多い。
- 聞き間違いが多い。
- 話している声がよく大きいと言われる。
- 死角になっているところからの車両の接近に気づかない。
- 後ろから呼びかけられても、気づかない。
- よく耳鳴りをする。
- 電子レンジなどの電子音が聞こえない。
これらの項目に1つ以上該当する場合は、一度耳鼻咽喉科で受診し聴力検査を受けることをおすすめします。その結果をもとに、医師に補聴器を使用した方が良いかの判断をしてもらうとよいでしょう。
もし、医師に「補聴器が必要」と判断された場合は、これから下記で説明する内容が重要になります。
2つ目:予算を決めておく
補聴器の価格は、片耳だけで5万円前後のものから50万円以上するものまであり、幅広くあります。
値段については、本体価格と調整や設定の技術料で構成されています。補聴器は値段が高ければ高いほど、必ず聞こえるというものではないですが機能も多く、性能がよいことには間違いありません。ただ、どれだけ良い補聴器を購入しても、使う人に合わせて調整を行わなけば、補聴器の性能を十分に発揮することができないので注意が必要です。
また、補聴器の寿命は、一般的には5年と言われているため、長い目をみて購入の予算を決めてください。加えて、その間に不良がない訳ではありませんので、その点も考慮して決める必要があります。
3つ目:形を決める
補聴器にはいくつかの種類があり、特長があります。また、自身がどのように使いたいかでも手に取る補聴器は変わってきます。そこで、ここでは補聴器の種類と特徴についてお伝えします。
耳かけタイプ
耳の上にかけて使う補聴器です。現在、日本で販売されている補聴器の約65%が耳かけタイプの補聴器と言われています。
少し前までは大きく目立つものが多かったのですが、最近では小型の物も多く登場し、防水加工や充電式のものもあります。
電池交換型だと、交換期間が5~14日ごとにしなければならなく、加えて補聴器の電池は大変小さく、本体に入れるのが高齢者には大変です。一方で、充電式タイプは電池交換がないため、その点の煩わしさがなくなるので高齢者の方には大変重宝します。
ただ、メガネをする人だと補聴器が邪魔になってかけづらかったり、メガネを外した時に補聴器を落としてしまったり、紛失してしまうこともあるので注意が必要です。
耳かけの補聴器の適応範囲は、難聴の程度が軽度や重度の方まで幅広く対応しているのが特長です。ボリューム調整やプログラムを切り替えなどは本体で行います。
耳あなタイプ
耳栓のように耳の穴に入れて使うため、目立ちにくい補聴器になっています。物にもよりますが、小指の先端ほどしかない小さい補聴器もあるので、正面や横から見てもほとんど見えません。
そのため、「補聴器しているのがバレたくない」という方や、老眼鏡を使用している人で頻繁にメガネの掛け外しをする人には特におすすめです。また、耳の穴に入れるため汗による故障のリスクがとても低いため、運動や農作業などで体を動かす人には最適と言えます。
集音性については、耳穴に直接入れるため補聴器が鼓膜近くにセットされるため、耳掛けタイプよりも優れています。ただ、耳の中にフィットさせるので音がこもったり、自分の声の響きが気になりやすいという声もあります。イメージとしては、耳の穴に自分の指を入れて話しているような感覚に似ていると言われています。
価格帯については、耳の穴は人それぞれ異なるためオーダーメイドが一般的で、耳かけタイプと比べると価格が高くなる傾向にあります。また、オーダーメイドなので一度作ってしまうと返品や返金がきかない場合があるので、購入前に必ずその点を確認してください。
ポケットタイプ
本体を衣服のポケットに入れ、イヤホンを耳に入れるタイプです。イメージとしては携帯ラジオやウォークマンを連想してもらえたら分かりやすいと思います。本体が大きいので、スイッチやボリュームの操作などがしやすいのが特長です。また、本体を聞きたい音の方向に近づけたり、向けることでより聞きやすくすることができます。
価格は、比較的安価で5万円前後くらいのもが主流となっています。耳かけ補聴器のように特殊な電池ではなく、一般的な乾電池を使っているので、万が一電池切れになってもすぐに交換ができます。
ただ、ポケットタイプは本体とイヤホンをコードで繋いでいるため目立ちやすく、コードが邪魔になることもしばしばあります。さらに、本体をポケットに入れて使う性質上、服を選んでしまいます。
肝心の音質ですが、難聴の程度が重い人にも対応できる音は出せますが、きめ細かな音質の調整はできないのが難点です。
メガネタイプ
音声を振動によって伝えるメガネタイプの補聴器です。メガネタイプは、メガネのツルの部分から、外耳や中耳を経由させず直接内耳に音を振動で伝えることができるので、外耳や中耳に障害が起きた場合には効果が期待できますが、内耳に障害がある人はメガネタイプはおすすめできません。
メガネタイプは、耳を塞がないため音の反響や閉塞感がないのが特長です。また、メガネということもあり、普段からメガネを使っている人であれば一石二鳥とも言えます。
音質に関しては、振動で内耳に音を伝えているため、外部の雑音や騒音に影響されにくく、比較的に音質が良いとされています。片耳だけの補聴器の装着も可能です。
4つ目:使用目的を明確にする
補聴器を購入する上で、どのような場面で補聴器を使用したいかの目的を明確にする必要があります。もちろん、多彩な場面にも対応できる補聴器を選べば安心ですが、多機能になるとそれだけ価格は高くなります。そのため、使用目的の焦点を絞り、一番使用したい場面をよく考えて、補聴器を購入する方がコストパフォーマンスはかなり抑えられます。
例えば、「人との会話が聞き取りづらい」、「テレビの音声が聞き取りづらい」、「外出する時に使いたい」などです。
予算が限られている人であればあるほど、例のような場面に対応した選び方をすることをおすすめします。
5つ目:試聴、返品が可能かの有無
補聴器は決して安い買い物ではありません。それに加えて、聞こえ方は人によって異なるため、購入後に「合わない」、「聞こえづらい」というケースは意外とあります。ですので、購入前に補聴器の試聴が可能か、購入後の返品対応はしてくれるのかを必ず確認してください。
特に、耳あなタイプの購入を検討されている人は注意が必要です。オーダーメイドという性質上、耳の形を取ってから作るため、万が一合わない場合でも返品対応をしていない店舗もあります。他の補聴器にも言えることですが、購入前には返品の有無や、返品の期限を必ず確認してください。
補聴器に関するトラブルの事例
補聴器の購入後、トラブルになるケースが多くあります。国民生活センターの補聴器に関する相談が、2003年度は237件あったのが、2012年度には529件と倍増しています。ここでは、国民生活センターに寄せられた相談事例をいくつか紹介したいと思います。
● 事例1 ・認知症気味の高齢者が補聴器を購入したが聞こえないので返品に行ったら、より高額なものを勧められた。 ● 事例2 ・高齢者が補聴器の店に一人で出向き、勧められるまま両耳分を契約したが、高額なため片耳分への変更を申し出たものの、注文品なのでキャンセル不可といわれた。 ● 事例3 ・同行者がいない間に補聴器を契約。使用すると頭痛がし、高額なため解約したい。 ● 事例4 ・試聴した補聴器は聞こえたが、購入したものは何度調整しても聞こえない。 ● 事例5 ・メガネ店で高額な補聴器を購入したが、その後病院で「補聴器は使用しないほうがいい」と診断された。 ● 事例6 ・補聴器の説明や調整などアフターケアを約束したのに自宅に来てくれない。 |
これらの事例から国民生活センターは下記のような考察し、助言をしています。
●自分の耳の聞こえの状態を把握しないまま補聴器を購入している。 ・補聴器を購入する前に、専門医に相談すること。 ● 高齢者が一人で店舗に出向いて補聴器の特徴、メンテナンスなどについてよく理解しないまま契約している。 ・耳の聞こえが十分でない高齢者の補聴器の契約には、周りの協力が必要。 ● 補聴器に関して、販売店の知識・技能やサービス体制が十分でない場合もある。 ● 聞こえの把握や購入の目的にあった販売がされているのか疑わしいケースもある。 |
※引用:独立行政法人国民生活センターより
おすすめの補聴器販売店を紹介
選び方が分かっていても、いざ買いに行くとなった場合、どこに行けば良いか分からないという人もいるはずです。そこで、ここからは補聴器を専門的に扱っている業者を3社紹介したいと思います。
Olive Smart Ear
Olive Smart Earは、従来の補聴器や集音器にはない、スマートフォンのアプリを通じて利用者の環境に最適化された音に自動調整することが可能になっています。また、イコライザー機能をすれば手動で周波数ごとに聞え具合を調整することもできます。
そのため、補聴器専門店に何度も通うこともなく、購入後、調整さえしてしまえばすぐに使用することできます。
この商品の対象者は、軽度~中度者を対象にしており、重度の方だと希望に沿えない場合がありますので、注意が必要です。
価格帯については、税込みで34,800円とお求めやすくなっており、オリーブストア限定で購入すると45日間は返金保証がつきます。
無料訪問、きこえのお助け隊
きこえのお助け隊は、訪問型の補聴器専門店です。
高齢になっていくと、身体や交通事情により、なかなか店舗に通うのが難しい方も多くいます。ですが、きこえのお助け隊は、訪問費用無料でご自宅まで伺い、補聴器に関するサービスを行ってくれます。
北海道、沖縄、離島および一部のサービスは対象外ですが、それ以外の地域ですと対応しているので、定期的に通うことが難しい方にはおすすめです。主なサービスは下記の通りです。
・訪問費無料
・7日間、無料レンタル
・3年間電池無料
・補聴器の下取り
補聴器の効果を感じられなければ、購入後でもお金は一切かかりませんので、お気軽に問い合わせてみると良いでしょう。
耳の健康器、みみ太郎
みみ太郎は、人間の耳と同じ働きをする人工耳介を補聴器に搭載することで、立体的で自然な音が聴くことができます。
ここでいう立体的な音とは、音の方向や距離が把握できるということです。例えば、目を閉じている状態の時に「お~い」と声をかけられた時に、どの方向から呼ばれたかが分かると思います。それが立体的な音です。
音の方向や距離の把握は、単純に音量を大きくしただけでは解決する訳ではありません。人混みをイメージすると分かりやすいと思います。例えば、人が大勢いるディサービスの中で話すとします。通常の補聴器の場合だと、聞き取るために音量を上げると、他の雑音まで拾ってしまいますが、みみ太郎であれば音の聞き分けがしやすいようにサポートしてくれるので、雑音がする場所でも聞きたい対象の音を拾いやすくしてくれます。
みみ太郎は、使う方の自身の能力を最大限に活かした商品となっています。機械音を加工し、耳元で大きくして聞かせる装置ではありませんので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
補聴器には様々な種類があり、予算や目的によっても手に取る補聴器は異なります。「高いからこれがいいかも」と思っても、実際に合わないというケースもありますので、安易に選ぶことはしてはいけません。また、補聴器の寿命は一般的に5年と言われているため、長い目で購入予算を考える必要があります。補聴器選びに失敗しないためにも、ここでの記事を参考に購入してもらえたらと思います。