2020年度版 高齢化率・就業者数

現在、2020年9月20日時点でのわが国の65歳以上の高齢者の数は3617万人、総人口に占める割合は28.7%となり、過去最高を更新しました。これらは、総務省が9月20日に公表した【統計からみた我が国の高齢者―「敬老の日」にちなんで―】で明らかになっています。ここでは、総務省が公表したデータを基に、我が国の2020年における超高齢化社会の現状についてお伝えしたいと思います。

高齢者の人口

現在、日本の総人口は1億2,586万人のうち、65歳以上の高齢者の数は3617万人、高齢男性が1573万人、高齢女性が2044万人います。総人口を占める高齢者の割合が28.7%、そのうちの高齢男性が25.7%、高齢女性が31.6%になっています。

補足として、2019年の高齢者の人口は3587万人。高齢化率は28.4%で、そのうちの高齢男性が25.4%、高齢女性が31.3%になっています。

高齢者の総人口と高齢化率の内訳

ここでは、高齢者の総人口と、高齢化率を年齢別にしたものをお伝えします。()内の数値は前年比と比較した増減数および増減率になっています。

区分 70歳以上 75歳以上 80歳以上 85歳以上 90歳以上 95歳以上 100歳以上
高齢者の総人口:男女計 2,791万人 1,871万人 1,160万人 618万人 244万人 60万人 8万人
高齢男性の人口 1,173万人 738万人 421万人 196万人 62万人 11万人 1万人
高齢女性の人口 1,618万人 1,133万人 739万人 422万人 182万人 49万人 7万人
総人口に占める割合:男女計 22.2% 14.9% 9.2% 4.9% 1.9% 0.5% 0.1%
男性の高齢化率 19.1% 12.1% 6.9% 3.2% 1.0% 0.2% 0.0%
女性の高齢化率 25.1% 17.5% 11.4% 6.5% 2.8% 0.8% 0.1%

日本と他国の高齢者人口の割合を比較

皆さんもご存知の通り、日本は世界で最も高齢者の人口および高齢化率が高い国となっています。では、他国と比べて日本はどれほどの高齢者の人口が多く、高齢化率が高いのかをここでは見ていきたいと思います。

順位 国・地域 総人口 65歳以上の人口 総人口に占める65歳以上人口の割合
1 日本 12,586万人 3,617万人 28.7%
2 イタリア 6,046万人 1,409万人 23.3%
3 ポルトガル 1,020万人 232万人 22.8%
4 フィンランド 554万人 125万人 22.6%
5 ギリシャ 1,042万人 232万人 22.3%

※他国はWorld Population Prospects:The 2019 Revision(United Nations)(201の国及び地域を掲載)の2020年7月1日現在の推計値を使用。

主要国との高齢者人口の割合の比較

日本と主要国の高齢者人口の割合
※値(%)
※他国は、World Population Prospects: The 2019 Revision(United Nations)(201の国及び地域を掲載)の2020年7月1日における現在の推計値を使用

65~74歳と75歳以上共に、日本は主要国と比べても、群を抜いています。また、2020年7月時点での全世界の高齢化率は9.3%なので、韓国中国を除く主要国は、65~74歳だけでも世界の高齢化率よりも高いのが分かります。

高齢者の就業状況

近年では、定年制度や年金制度の在り方等が変わり、65歳以上の高齢者も働く時代になっています。そこで、ここでは全就業者に占める65歳以上高齢者の割合について見ていきたいと思います。

高齢就業者の推移
※単位:万人

2019年時点での高齢者の就業者数は、2004年以降、16年連続で増加し、現在は892万人と過去最多となっています。特に団塊の世代などの高齢化の影響で、2013年から65~69歳の数が増加が著しくなり、さらに2017年以降は団塊の世代が70歳を迎え始めたことで、70歳以上の高齢就業者が増加傾向にあります。

2019年の高齢者の就業率では、65~69歳で48.4%、70歳以上では17.2%となっており、年齢が上がるにつれて就業率は低くなっています。また、15歳以上の就業者総数に占める高齢者の就業者の割合は13.3%と過去最高になっています。

高齢者の就業先

高齢者の就業者の就業先では、卸売業・小売業が126万人と最も多く、次いで農業・林業が108万人、サービス業が103万人、製造業が94万人となっています。

各産業別に占める高齢者の就業者の割合を見ると、農業・林業が52.2%と最も多く、次いで不動産業・物品賃貸業が26.4%、サービス業が22.6%、生活関連サービス業・娯楽業が18.2%となっています。

高齢者の従業上の地位

年々高齢者の就業者数が伸びていますが、その勤め先での地位はどうなのか。ここでは、2019年までに分かっている高齢者の就業者の地位別について見ていきたいと思います。

役員を除く雇用者が503万人で、それを割合にすると56.9%。自営業、家族従業者が273万人で30.9%、会社などの役員が108万人で12.2%になっています。加えて、高齢者の就業者のうち役員を除く雇用者を雇用形態別に見てみると、非正規職員が77.3%を占めており、そのうちのアルバイト・パートの割合が52.7%と最も高くなっています。

ただ、雇用形態が非正規社員について、現在の雇用状態についた主な理由が下記の通りです。

男性

・自分の都合のよい時間に働きたいから:30.9%
・専門的な技能等を活かせるから:17.5%
・家計の補助・学費等を得たいから:16.5%
・正規職員の仕事がないから:10.3%
・通勤時間が短いから:4.1%
・家事育児・介護等と両立しやすいから:1.0%
・その他:19.6%

女性

・自分の都合のよい時間に働きたいから:38.6%
・家計の補助・学費等を得たいから:21.1%
・専門的な技能等を活かせるから:8.2%
・通勤時間が短いから:7.6%
・家事育児・介護等と両立しやすいから:7.0%
・正規職員の仕事がないから:5.3%
・その他:12.3%

男女ともに都合のよい時間に働きたいという理由が最も多いですが、それ以外の理由は男女でばらつきました。ただ、若者世代でよく聞かれる「正規職員の仕事がないから」という理由は、高齢者世代では低いことが分かります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
ここでは、2020年の日本の高齢者の人口、高齢化率、就業者関連についてお伝えしました。わが国の高齢化率は1950年には総人口の5%にも満たなかったのが、1970年の高度経済には7%を超え、そのわずか24年後の1994年には高齢社会となる14%を超えました。さらに、その高齢化率は日を追うごとに上昇し、2020年9月20日時点で28.7%に達しています。この高齢化率の上昇は諸外国でも類を見ない速さです。

高齢化が進展していく中で、政府は誰もが安心して生活ができるよう社会保障制度の再構築をする方針を明らかにしています。その一つが定年制度の見直しです。定年制度については、1985年に60歳定年を努力義務とし、1994年の法改正で60歳の定年を義務化とする規定を設けた後、1998年に60歳定年となりました。その後、2006年に法改正によって65歳まで継続雇用の義務化の規定を設け2013年より施行されています。平均寿命の延伸および高齢化率の上昇や、少子化の影響で社会保障費が年々増加し、ひっ迫していることがこういった背景にあるとされています。現在、検討されている改正案では定年廃止、70歳までの延長および継続雇用制度の導入などが上げられています。

そして、高齢者の就業を促進するために年金制度の改正も検討されています。在職老齢年金は、賃金と年金の合計が基準額を超えると年金が減額されますが、その基準額を引き上げることが検討されています。また、65歳以降も就業し、厚生年金に加入していた場合には退職時また70歳到達時には、厚生年金の増額改定が行われる予定です。そういったことからも65歳以上高齢者の就業者の増加がされていると考えられます。