65歳以上の高齢者でも働ける仕事3選

現在、わが国の総人口は1億2,622万人。そのうち、65歳以上の高齢者は3,588万人と過去最多となり、高齢化率は28.4%と過去最高更新しました(令和元年9月時点)。さらに、令和17年(2036年)には、高齢化率は33.3%となり3人に1人が高齢者になると予測されています。
そうした中、金融庁の報告書(撤回済み)では【老後資金2000万円】問題が取り沙汰されて以降、老後への危機感が一層高まりました。

それに伴い、老後資産の運用方法等がテレビの特番やネットなど見る機会が増えましたが、その方法ができる人はごく一部に過ぎません。では、現実的なところで、65歳以上の高齢者が生計を立てていく方法をここではお伝えします。

年金+別収入が必要になる時代

金融庁の報告書にもありましたが、夫婦(夫65歳以上/妻60歳以上)2人暮らしの無職世帯で1か月に必要となる生活費は26万7,546円。そのうち、年金が19万3,051円、他の収入が1万9,784円(総務省:H26年家計調査報告より)となっていますが、これだと単純に毎月5万円が不足する計算となり、95歳で生きると仮定すれば約2,000万円の蓄えが必要になります。

さらに言えば、この生活費の中には【医療費や介護費、住宅修繕費】といった費用は含まれていません。

今後、高齢者が増え続ければ、年金だけで暮らしていける人はほんの一部で、大部分の高齢者は、貯蓄を切り崩すなどして生活しなければなりません。では、その貯蓄が数年分しかない、もしくは無いといった人はどうすればいいのか。答えは、体が動く限り働くしかありません。

高齢者の労働人口が上昇

上述で、貯蓄がなければ働かなければならないとお伝えしました。内閣府の資料を基に、現在の高齢者の労働人口の割合をまとめましたのでご覧ください。

※内閣府:高齢化状況より

グラフの通り労働人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、上昇傾向にあることが分かります。さらに、平成28年の労働人口比率(人口に占める労働人口の割合)では、65~69歳は44.0%。平成16年に34.4%と過去最低となった年から上昇傾向にあります。※70歳以上は13.8%。

高齢者が採用されやすい職種とは

現在【雇用対策法10条】があるため、平成19年10月より募集及び採用に年齢制限を設けることが出来なくなりました(例外はある)。

この法律が出来たことで、高齢者でも求人の応募がしやすくなりましたが、実際には65歳以上の高齢者を採用する企業は少ないのが現状です。

では、どういった職種なら採用してくれるのか。簡単に言うと、体を使う仕事、つまり【肉体労働】系の職種が比較的に採用されやすい傾向にあります。その中でも下記の職種が採用されやすいとされています。

ドライバー業

今、高齢ドライバーに対する目が厳しい世の中ではありますが、業界だけでみれば常に人手が足りていない状態です。具体的には、福祉系の送迎・タクシー・トラック・長距離バス運転手です。ドライバー業は、運転免許さえ持っていれば比較的簡単に始められるのが利点です。しかき、運転だけしていれば良いという仕事は今は少なく【運転+α】がほとんどです。

例えば、配送トラックの運転手であれば荷下ろしがあったり、福祉系(ディサービス等)であれば軽介助、タクシーなら接客サービスと道の選択等の判断力が求められます。

また、ドライバーの仕事は、長時間勤務や不規則な勤務形態が多いので体力が必要です。

建設現場・解体現場作業・警備員

これらの職種は、現場作業が未経験でもすぐ働ける傾向にあります。

直ぐ働けるということは「賃金が安いのか?」と思うかもしれませんが、例えば、警備員の平均時給は【契約社員:1,403円/アルバイト:1,013円・平均年収は316万円(求人ボックスより)】と悪くない条件です。ただ、季節を選ばない仕事、且つ野外での作業が多く、真夏や真冬での作業もあるため、体力に自信がない高齢者には難しいでしょう。

しかし、資格(フォークリフトオペレーター・クレーン・○○施工(管理)技士など)の有無で作業内容や待遇が変わってくる職もあります。

例えば、フォークリフトオペレーター。この職業は大量の荷物を移動させますが、力仕事はほとんどなく、体力に自信がない人でも挑戦しやすい職の1つです。平均時給は【契約社員:1,255円/アルバイト:1,097円・平均年収は337万円(求人ボックスより)】。また、大型(1t未満、以上がある)になればなるほど給料が高くなる傾向にあります。

手に職をつけるというのは、昔も今も変わっていませんので、資格を持っている方は無い人より優位に働くことができます。

福祉業界・介護職

福祉業界は万年人手不足です。ただ、介護職と聞くと【オムツ介助・移乗介助・入浴介助・食事介助】と大変なイメージを持つ人も多いはずです。確かにそういった職場もありますが、重度者がほぼいないディサービス(ディケア)であれば、そういった介助は少なく、仮にあっても補助程度です。

また、勤務形態も【土日休み、9~17時まで】といったサラリーマン形態の場所も多いため、上記の二つと比べたら体調管理はしやすいと思います。

もちろん、介助に全然抵抗ない人は、特別養護老人ホームやグループホームといった介助を有する施設で働くのもありです。場所にもよりますが、契約社員や正社員で雇うところも多いため、収入源の確保にはなります。ちなみに、無資格でも平均年収は約300万円前後です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
ここでの記事では、資産運用をせずに現実路線で65歳以上の高齢者でも採用されやすい職種についてお伝えしました。

今の現状だと、年金だけで暮らす悠々自適な隠居生活は難しいと考えます。本記事でもお伝えしたように、人口に占める65歳以上の高齢者の約6割が働いている現状です。中には仕事が好きで働いている人もいますが、老後資金の確保を目的に働いている人がほとんどです。

まだ65歳を迎えていない人で、老後資金の蓄えが無かったり(少ない)、年金収入だけでは生活が厳しいと予想される人は再雇用や再就職という選択肢が必ず出てきます。突然、その危機に瀕する前に、老後でも働ける資格を取ることをオススメします。