高齢者にまつわる脱水症状の原因とその対策とは

脱水症状という言葉をここ何年かで耳にする機会が増えました。夏は体内から水分が非常に多く奪われる季節です。そして特に高齢者の方は脱水症状を引き起こしやすいといわれています。その結果、発熱や意識障害などで病院に救急搬送されるケースも少なくありません。

また過去にタレントの所ジョージさんも脱水症状で病院に運ばれてからは、経口補水液のCM宣伝や公式で倒れた体験談を交えて注意を促しているほど危険な症状だということは、もう皆さんはお分かりだと思います。

しかし脱水症状という言葉は聞いたことはあるが、体の中で一体何が起きているのか分からない方も多いのではないでしょうか?そこで、今回は脱水症状について詳しく解説していこうと思います。

脱水症状とは

脱水とは、体内の水分、つまり体液が減った状態を指します。一般的に子供の身体の水分量は体重の70%、成人は60%、高齢者に至っては「50%」といわれています。

そのうちのたった「1〜2%の水分が不足」するだけで、「前脱水」といわれる軽い症状が起きます。症状は、喉の渇きや皮膚の乾燥といったようなものです。

そして「3%以上」の水分が失われると、めまい、吐き気、頭痛、全身倦怠感、痙攣、昏睡といったようないわゆる、“脱水症状”が出現します。

何故高齢者は脱水になりやすいのか

高齢者はもともと体内の水分量が少ないため、若い人より脱水症状になりやすい状態にあります。また、喉の渇きを感じる『口渇中枢』が加齢とともに減退するため、実際には水分が必要であっても、喉の渇きが感じにくくなります。

そのため、高齢者は汗をかき体内の水分が失われても自覚しにくいため、水分補給が遅れがちになります。そのため若い人に比べて脱水症状が起こりやすく、注意が必要です。

また高齢者は若い人に比べて糖尿病や高血圧といった生活習慣病を持病としていることが多いため、脱水が起こりやすいともいえます。

ここまでで、脱水症状というのがどんな状態なのかはご理解いただけたかと思います。さらに詳しく脱水についての説明をしていきます。

脱水のタイプは失われた成分で3種類に分かれている

成人の身体で体重の60%にもおよぶ水分は、細胞内液(細胞内の水分)細胞外液(細胞外の水分)に分けられます。

細胞内液か細胞外液かによって電解質の組成が異なり、細胞内液には「カリウム」、細胞外液には「ナトリウム」の電解質がより多く含まれています。

電解質にはそれぞれに役割があり、常に濃度が一定に保つようにバランスをとっており、このバランスが崩れると細胞の働きが低下し、さまざまな不調をきたします。

※バランスのとれている細胞の図となります。(通常の状態)

※NA+:ナトリウム・・・電解質の一種
※K+:カリウム・・・電解質の一種

脱水症状は身体の水分が失われるだけでなく、「電解質」も同時に失われた状態になります。また脱水にも種類があります。

①「身体の水分が不足した脱水」※高齢者に多い脱水症状
②「ナトリウムが不足した脱水」
③「水分とナトリウムが同時に不足した脱水」

の3タイプに脱水は分類されるのです。次にこの3タイプの症状について解説していきたいと思います。

身体の水分が不足する脱水(高張性脱水)

高張性脱水が高齢者に一番多い脱水症状だった

水分のみが不足した脱水を高張性脱水(水欠乏性脱水)といいます。高張性脱水の原因は、発汗や水分摂取量の不足、尿の量が増加する、気づかないうちに皮膚や粘膜から蒸散する「不感蒸泄」などがあります。

身体の水分が少なくなるので、必然的に細胞外液中のナトリウムは濃度が高くなり体液は濃くなります。

細胞内液の水分が細胞外液へ移動することで循環血液量は保たれます。症状については後述しますが、細胞内液の水分は減少するとさまざまな症状が現れてくるのです。

そしてこの脱水症状は、のどの渇きを感じにくい高齢者に多い脱水症状です。

高張性脱水の症状

のどや口が激しく渇き、尿の量は少なくなります。身体の表面は皮膚の温度は温かく、色は赤みがありますが、ほとんど正常に近い状態です。水分の減少が進むと、「発熱、意識障害、幻覚、体重減少」がみられます。

ナトリウムが不足する脱水(低張性脱水)

細胞外液に含まれるナトリウムが減少する脱水を、低張性脱水(ナトリウム欠乏性脱水)といいます。

細胞外液とは、細胞の外側の体液全てを含む血液やリンパ液などを指します。減少したナトリウムの血中濃度を保とうとするために、血液の水分が細胞内液に移動します。その結果、全身の血液量が少なくなり、循環不全を起こしやすくなります。

低調性脱水は、下痢、嘔吐、副腎機能の低下、大量の発汗、利尿薬の作用、腸閉塞、腹膜炎、糖尿病アスドーシス、熱傷や創傷による滲出液の排泄などが原因となります。

低張性脱水の症状

口の渇きは起こらず、頭痛、低血圧、麻痺、頻脈、意識障害などの症状が出現します。皮膚の色は青白く、温度は冷たくなります。また血液が濃縮され血栓ができやすくなります。

身体の水分とナトリウムの両方が不足する脱水(等張性脱水)

身体の水分とナトリウムが同じタイミングで減少し、ナトリウムの濃度が変わらない脱水を等張性脱水(混合型脱水)といいます。

この脱水の主な原因は、出血、下痢、熱傷などにより細胞外液が急速に失われることで起こります。

等張性脱水の症状

のどの渇き、口の中が乾く、食欲不振、嘔吐、めまい、倦怠感などが現れます。これらの脱水の症状は、普段からこまめに水分を補給して予防することが大切です。

激しい運動で大量の汗をかいたり、頻回な下痢や嘔吐によって消化液を失ったりした場合は、経口補水液などを利用し水分だけでなくナトリウムも補うことも重要です。

脱水症状が起こりやすいタイミングとは

高齢者に多い脱水症状は上記の①の「高張性脱水」になりますので、ここではその対処方法について説明します。

水分が失われると血液が濃縮され、いわゆる血液ドロドロ状態になってしまいます。これにより血液の流れが悪くなると、体調不良だけでなく脳梗塞や心筋梗塞などが起こりやすくなります。早めに状況を把握し予防を心がけましょう。

激しい運動時(活動時)

運動量の多い激しいスポーツや活動などを行うと、体温調節をするために大量の汗をかきます。大量の汗をかくことで、水分だけではなく、ミネラルも同時に多く失われます。気温が高い日はもちろんのこと、それほど気温が高くない日や屋内屋外限らず、十分な水分摂取ができない状況での運動や活動には注意が必要です。

また運動などを始める前には必ず十分な水分摂取を行い、1時間以上の運動時には、水だけでなく、スポーツドリンクなどのミネラルが入っている飲み物で水分補給をするようにしましょう。

日常生活

就寝時・入浴前後・飲酒のあとは特に体内の水分が減少しやすい状態です。尿の色が濃くなったり、尿量が減ってきたときは要注意です。

また飲酒時はアルコールを代謝するために水が使われるため、飲んだ量以上の水分が排出されてしまいます。喉が渇いてから飲むのではなく、こまめに補給するようにしましょう。

特に夏に注意

夏は汗をかく機会も多く、日本の夏は湿度も高いため、いわゆる「熱中症」を引き起こしやすい季節です。汗をかくと水分だけでなくミネラルを失いやすくなるため、水分と共に失われたミネラルを補給しましょう。

また、温度調節や服装などにも気を配り、余分な発汗を防ぎ、体温調節を心がけるのも効果的です。

脱水の症状と自分でできるチェック方法

これまでの説明で、脱水症状を軽く考えてはいけないということをご理解いただけたでしょうか?また、場合によっては命にかかわることもあります。

では、脱水症状は具体的にどのような症状が出るのか。 脱水症状は程度により、現れる症状は異なります。程度ごとにまとめましたので、ご覧ください。

各段階ごとの脱水症状の早見表

段階 自覚症状の有無 症状
●軽度脱水
(水分の減少率1~2%)
ほとんど自覚がない状態 ・めまい  ・口の渇き
・ふらつき ・大量の汗
・ぼんやりする 
・吐き気  ・食欲不振 
 など
●中等度脱水
(水分の減少率3~9%)
体調が優れない等の、何かしらの自覚症状がある状態 ・頭痛  ・尿量の減少
・口腔内の粘着き
・嘔吐  ・汗の減少
・動きの鈍り 
・イライラ ・精神不安定
など
●重度脱水
(減少率10%以上)
命にもかかわる危険な状態 ・意識朦朧 ・痙攣
・昏睡状態 ・幻覚や錯覚
・呼吸困難 ・チアノーゼ
・腎機能の低下 など

手の親指の爪を押す

指先には毛細血管が存在します。体内の水分が不足していると体全体の血流が悪くなります。そういった状態を簡易的に発見する方法の1つとして、手の親指の爪を3秒ほど押してみてください。

通常、親指の爪を押したときに白くなり、そして赤い状態に戻ります。それが3秒ほど経っても戻らない場合(白い状態)は、脱水症状の疑いがあると思ってください。

手の甲の皮膚を3秒ひっぱる

体全体の皮膚には水分が多く含まれています。脱水症状になると、皮膚の水分が失われていくため、皮膚(肌)弾力が減少し、皮膚を引っ張っても戻りにくくなります。3秒で皮膚が戻らない場合は、脱水症状の疑いがあります。

舌の状態を確認する

通常、人の舌は色が赤く、表面はツルツルと滑らかな状態です。しかし脱水症状になると、舌の表面が赤黒く乾いてきます。そのため、ちょっと様子が変かなと思った場合は、舌を確認するとよいでしょう。

経口補水液の有効利用&おすすめ経口補水液の紹介

結論からいいますと、脱水症状の予防のためには「水分・塩分・糖分」が最適なバランスに配合された、経口補水液で水分補給をするのがおすすめです。

健康な状態では、水やお茶での水分補給で問題ないです。しかし、気温や湿度が異常に高い場合は、大量に汗をかいてしまい、水分のほか塩分も大量に失ってしまいます。

そういった時の対処法が「水分補給」なんですが、「水」や「お茶」には、体が求めるミネラル(ナトリウムとカリウム)が含まれていません。また大量に汗をかいている状態で、水やお茶を飲むだけでは、体液が薄まってしまい、余分な水を外に出そうとして、かえって脱水症状が進んでしまうこともあります。

またスポーツドリンクには糖分が多いため、血糖値の上昇や口腔ケア(虫歯)を気にする必要がありますので注意が必要です。

そのため、体が求めている成分が入っている「経口補水液」で水分補給をするのが、一番効率のよい水分補給の仕方といわれています。

経口補水液を上手に飲む

ここまで話してきた中で、経口補水液は万能な水分補給法と思いがちですが、ここで気をつけなければいけないことがあります。それは塩分のとり過ぎです。

経口補水液には1本あたり、約1.5g程の塩が含まれます。日本高血圧学会では高血圧の患者さんに、塩分を1日6g未満にするよう啓発しています。高血圧の方や心臓や腎臓の病気などで塩分を制限されている方が経口補水液の適切な知識もなく、がぶ飲みするのは危険な行為とも言えます。

実際、経口補水液には「医師から脱水状態時の食事療法として指示された場合に限りお飲みください」「医師、看護師、薬剤師、管理栄養士の指導に従ってお飲みください」と記載されています。経口補水液は、大変優れた飲料です。それだけに、正しい知識の元で、適切に利用するようにしましょう。

ともあれ、今年の夏は異常に暑いです。適切に水分補給を行い、この夏を無事に乗り切りましょう。

おすすめの経口補水液とは

やはり経口補水液といえば、経口補水液OS1です。もう皆さんご存知の経口補水液の代表格ですね。

前述でもお伝えしたように経口補水液には塩分が含まれていますので、多飲は禁物です。そのため、用法用量を守って飲んでください。

次の経口補水液については、上記のOS1より価格が安いです。尚且つ、乾いた体に必要な栄養成分が入っているので、おすすめです。