高齢者の平均所得、貯蓄はいくらあるのか?主な収入源は?

高齢化の進展は、さまざまな問題を引き起こします。身近な問題で例えるならば年金でしょうか。かつては退職後【老後は年金で悠々自適過ごす】という風潮がありましたが、昨今の老後資金2000万円問題によって世間では将来を不安視する人は大勢いたことでしょう。

また、今の高齢者の姿は我々の将来の姿と言っても過言ではありません。では、現在の高齢者はどのような生活をしているのか。ここでは内閣府のデータを基に、高齢者の平均所得、貯蓄、収入源について触れていきたいと思います。

高齢者の平均所得は318万円

内閣府(令和元年版高齢社会白書より)が高齢者世帯の所得状況の調査結果を公表しています。ここで言う、高齢者世帯とは65歳以上の者で構成するか、もしくは18歳未満の未婚者が加わった世帯を指します。

全体のグラフを見ると、200~250万円未満の高齢者世帯が多いのが分かります。高齢者世帯の平均所得は318.6万円です。世帯収入から社会保険料や税金などを除いた分(可処分所得)で見てみると、中央値は258万円までに減額します。一方、総数(1世帯当たりの平均所得金額)は560.2万円、中央値は442万円となっています。現役世帯より平均所得が低くなるのは当然ですが、318.6万円はけして低い所得額ではないと思います。

では、高齢者の主な収入源は何なのかを次で見ていきたいと思います。

多くの高齢者は年金が主な収入源

高齢者世帯で100%公的年金・恩給を受給している世帯は51.1%。次に値の大きい80~100%未満の世帯を合わせると62.3%となり、全世帯のおよそ6割の世帯が公的年金・恩給が主な収入源なのが分かります。

ただ、高齢者でも現役の人もおり、公的年金・恩給以外の収入をもらっている人も当然います。公的年金・恩給以外の収入をもらっている割合については【稼働所得:25.4%】、【財産所得:8.0%】となっています。

補足として、稼働所得とは雇用所得、農耕所得などの勤労によって得られる収入のことを指します。財産所得とは、家賃収入、株式配当などの財産や資産によって生まれた利益収入のことを指します。

※出典:内閣府

年金に対する考え方とは

上記では、高齢者世帯の半数以上が公的年金・恩給が主な収入源になっていたのが分かりましたが、年金をもらっている高齢者はどう思っているのか。

金融広報中央委員会が行った家計の金融行動に関する世論調査(単身・2人以上世帯・令和元年版)で、現在の年金についての考え方を問うた結果が下記になります。

年金受給をしていても単身世帯で言えば、61%の人が『日常生活費程度も賄うのが難しい』と回答しており、2人以上の世帯も約5割の人が賄うのが難しいと答えています。では、難しいと感じている年金はどのくらいもらっているのか。

平成31年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例では、国民年金(1人分・満額)の月額平均は65,008円、厚生年金の月額平均額は221,504円となっています。

ここでいう厚生年金とは、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8 万円)で40 年間就業且つ、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準での計算式で算出しています。

これらはあくまで平均ですので、平均より下回っている人は当然います。私の感想としては満額もらっている場合だと、医療費にかけるお金がそこまでなく、贅沢さえしなければ「賄うのが難しい」とはならない額かなと思いました。ただ、介護費や医療費などの出費が多い人であれば、普段の生活費に上乗せされてしまうので「厳しい」と答えるかもしれませんね。

引用:厚労省:「平成31 年度の年金額改定について」より

貯蓄はいくら持っているのか?

内閣府は、各年齢別1世帯あたりの世帯(2人以上)の現在の貯蓄・負債状況の調査を行っています。調査結果は下記の通りです。

グラフを見る限り、年齢が上がるにつれて平均貯蓄額が増え、負債が減少しているのが分かります。特に50~59歳と70歳以上を比べると1.4倍の貯蓄額となっています。

あくまで平均ではありますが、これだけを見ると『高齢者はお金を持っている』という印象を持たれるのも分からなくもないでしょう。

60歳以上のシニア・高齢者を対象に貯蓄をする目的について調査を行ったところ、【万が一の備えのため:47.5%】、【貯蓄はない:22.7%】、【普段の生活を維持するため:17.8%】と続いており、「貯蓄はない」を除き、生活に必要な貯蓄をしている人は6割もいることがこの調査をして分かりました。

まとめ

ここでは高齢者の平均所得、貯蓄、収入源についてお伝えしました。

本記事のとおり高齢者の平均所得は316万円で、半数の高齢者世帯は年金・恩給に依存しているのが現状です。しかし、100%公的年金・恩給をもらっている割合は年々低下してきており、平成26年時点では56.7%だのたのが平成29年で52.2%、平成30年で51.1%と僅か4年で5.6%も低下しています。減少している背景には、年金だけでは生活が厳しくなってきたことや、将来のために働けるうちは働くという高齢者が増えてきたことが挙げられます。

恐らくこの現象は今後も続くと予想され、経済面での苦しさなどを訴えている現在の高齢者の姿は、我々の未来と思っても過言ではありません。老後の生活が困窮しないためにも、早いうちに将来のことを考えて備えておくことが大切です。