高齢者のリハビリに最適なEMS 5選

高齢になるにつれ、筋力は徐々に低下していきます。もし、筋力が低下していくとベッドからの起き上がりや立ち上がり、歩行といった日常生活に不可欠な動きができなくなっていきます。そのような状態にならないためにも、運動および筋力トレーニングを日々行い、筋力の低下を防ぐことが重要になります。ただ、いざ運動しようにも「急に体を動かすのが不安」、「関節の痛みなどで運動ができない」などといった悩みや不安を抱えている方もいるはずです。そうした方におすすめしたいのが、近年高齢者の間で注目されてきているEMSによる筋力トレーニングです。ここでは、EMSの仕組みとおすすめのEMSの商品を紹介したいと思います。

EMSとは?

EMSとは、Electric Msucle Stimulationの頭文字を取った略で、神経筋電気刺激療法のことを指し、特殊な機器から流れてくる電気刺激で筋委縮の予防や筋力の増強などを目的に行う療法です。

少し難しい内容なのでこれらを簡単に説明すると、電気刺激で強制的に筋肉を動かし、筋力UPしてくれる機械がEMSになります。

EMSは、医療現場では脳血管疾患などの後遺症で麻痺になり運動が困難な人たちへのリハビリ治療として用いられていますが、医療現場だけではなく私たちの身近なところでも使用されています。主にディケアやディサービス、トレーニングジムなど体を動かす施設で取り入れているところが多い傾向にあります。

EMSは機器を装着するだけで、実際に運動をしていなくても運動をしている時と似たような効果を発揮することができるのが最大のメリットです。そのため、運動があまりできない高齢者には適している運動方法と言えます。

なぜ高齢者は運動が必要なのか

よく政府やメディアなどで「高齢者は定期的な運動が必要」、「散歩や体操はした方がいい」などと運動を促していますが、なぜそこまでして高齢者に運動を強いると思いますか?それは若いころと違い、運動をしないとあらゆる面で危険だからです。ここでは高齢者の運動の必要性についてお伝えします。

転倒事故を防ぐために必要

平成30年の厚生労働省人口動態調査における高齢者の不慮の事故が3万1,692人に上り、不慮の事故の中でも転倒転落による死亡が多いことが分かっています。

人口10万人当たりの死亡者数(人) 転倒・転落
平成19年 平成28年
前期高齢者 65~69歳 6.3 4.5
70~74歳 9.7 6.6
後期高齢者 75~79歳 15.9 12.9
80~84歳 26.7 25.1
85~89歳 51.2 50.9
90歳~ 111.8 123.3

※引用:消費者庁より

ここで注目してもらいたいのは、前期高齢者と後期高齢者の境になる75歳から急激に転倒転落事故による死亡が増えている点です。

こうした転倒転落事故の大きな原因は、筋力の低下や関節可動域が狭くなっていることが考えられます。

例えば、足の筋力が低下すると、今まで気にせず跨げていた段差に躓いて転倒。筋力低下によりバランスを崩しやすくなっての転倒や転落。足の関節可動域が狭くなることで小幅での歩行になり、地面に着く足がつま先からになり、つっかえて転倒などです。

そして一度、転倒転落などで骨折をしてしまうと、そのまま寝たきりになる高齢者は多くいます。寝たきりがきっかけで体が弱り、亡くなってしまう方もいます。

ただ、筋力トレーニングを日々行い、筋力低下を防いでいれば転倒転落を未然に防ぐことができます。こうした観点から、日々の運動は非常に重要になります。

健康寿命を伸ばすために必要

健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と2000年にWHOにより定義されています。

WHOが健康寿命を提唱して以降、世界各国では健康を維持し、健康的に生活できる期間をどのようにして伸ばしていくかの関心が高まっています。近年日本でも、健康食品や運動器具の販売CMなどよく目にすると思います。

健康寿命を伸ばす意味は、要介護にならず死ぬ寸前まで楽しく過ごすことだと思います。つまり、それは誰もが羨むピンピンコロリのことを指します。

もし要介護になれば、体が思うように動かず日常生活を送る上でとても苦労しますが、日常動作以外にも負担はのしかかってきます。それは金銭面です。介護になれば、ほぼ確実に介護費用や医療費用がかかります。要介護度が高ければ高い程それらの費用はかさむため、資産に余裕がない人は非常に辛い思いをします。

健康状態が悪くなるということは、体だけではなく日常生活そのものが成り立たなくなることなので、体が動くうちに定期的に運動を行い、健康寿命を伸ばしていくことが重要になります。

EMSが高齢者におすすめな理由

なぜ、高齢者にEMSがおすすめなのか。高齢になると関節の痛みや体力の問題ですぐには運動ができない人もいると思います。また、普段運動をしていない方が急に運動を行うと関節の痛みが酷くなったり、筋組織を傷つけケガをしてしまうこともよくあります。

そうした問題を解決してくれるのがEMSです。では、どのような点でおすすめなのかをお伝えします。

関節など体に負担のない筋力トレーニングができる

EMSを鍛えたい部位に装着すれば、直接筋肉に電気刺激が与えられるため関節や骨などに負担をかけることなく筋力トレーニングができます。そのため、EMSは自力で運動ができない方や、運動に不安がある方におすすめです。

さらに、体への負担軽減だけではなく、EMSの機器は自動で筋肉に刺激を送るのでテレビを観ながらでも運動効果を得ることができます。

EMSは、ながらで筋力トレーニングができるので運動が苦手な人にも適しています。

基礎代謝を効率よく上げられる

基礎代謝とは、心臓や呼吸、体温維持など人が生きていくために最低限必要とするエネルギーのことを指します。つまり、運動をしようがしまいが自動的に消費されるエネルギー量のことです。

基礎代謝は、運動など何もしなければ10代前半を境に徐々に落ちていきます。厚生労働省が2015年に策定している日本人の食事摂取基準によりますと、70歳以上の男性基礎代謝量は1日1230kcal、女性1030kcalが基礎代謝量の目安となっています。

目安より基礎代謝が高い人は、摂取した栄養素をうまく利用できている体で、低い人は摂取した栄養素を消費しづらい体、つまり不健康の体ということになります。ただ、高齢者の多くは目安より下回りやすい傾向にあります。

それは仕事やスポーツなどに勤しむ若者とは違い、高齢者の多くは活動する機会は少なくなるので一日の運動量は少なくなります。また、病気やケガなどで思うように動けない人もいます。1日の運動量が少なくなると筋力が次第に低下していきます。それが基礎代謝が低くなる原因です。

基礎代謝が低下していくと徐々に血流が悪くなり、低体温や冷え性になっていきます。また、高齢者の方に多い糖尿病も基礎代謝の低下が原因の1つで起こると言われており、本来であれば代謝によって消費される糖が、基礎代謝の低下により十分に消費されず、気づかぬうちに蓄積され発症するというケースです。糖尿病予防に運動を推奨されるのは、こうした理由でもあります。

では、基礎代謝を上げるにはどうしたら良いのか。答えは簡単です。運動や筋力トレーニングで筋力をつけて基礎代謝を上げて下さい。ただ、何らかの事情で運動ができないという人もいるでしょう。

そんな時に便利なのがEMSです。EMSを上手く活用することで、最小限の負荷で基礎代謝を上げることができます。

寝たきり高齢者の運動を代行

不運にも、病気やケガなどで寝たきりになってしまった高齢者の方もいると思います。寝たきりの状態になれば、1日の運動量はほぼないに等しいため筋力は著しく低下していきます。

筋力が低下すると、体の調子は悪くなり精神に異常をきたす方も多くいます。そんな時に、体が動かせなくても寝ながら筋力トレーニングができるのがEMSです。自発的に体が動かせない人でも、筋肉に直接電気刺激を与えることで、強制的に筋肉の収縮を促すため、寝ながらでも運動効果が得ることができます。

ただ、寝たきりの原因はさまざまですので、誰でも使えるわけではありません。必ず主治医に相談し、承諾を得てから使用してください。

自宅でいつでも手軽にできる

EMSは、場所を選ばずいつでも手軽にできます。「外出してまで運動はしたくない」という方、歩行が不安定で1人では外に出られない方。そうした人におすすめしたいのがEMSです。

EMSは鍛えたい部位に装着するだけで、すぐに筋力トレーニングができるため、手間がなく安全にできます。また、天候や気温にも左右されないので、いつでもどこでもできます。

EMSを受けられない方

EMSは効率よく運動量を上げられる優れものですが、誰でも使えるわけではありません。

ペースメーカーを付けている方、施術部分に皮膚疾患や傷、金属などがある方。熱がある方。血圧異常のある方。悪性腫瘍がある方。心臓疾患および心臓に障害がある方。骨粗鬆症など骨折しやすい方。多発性硬化症、てんかん症状などがある方など。

これらは一部の例ですが、既往歴がある高齢者の方はEMSを使用する前に、必ず主治医に相談してください。

おすすめのEMSを紹介

EMSといっても、鍛えたい部位によって機器の形状が異なります。主に、全身を鍛えることができるパッドタイプ。腹筋を集中的に鍛える腹筋タイプ。足を集中的に鍛えるフットタイプの3種類があります。購入する前に、どこの筋肉を鍛えたいかを明確にして購入されると良いでしょう。

ヤーマンダンシングEMS

ヤーマンダンシングEMSは、4極パッドタイプのEMSです。4つのモードから刺激が選べるので、自身に合った刺激でトレーニングすることができます。

また、このヤーマンダンシングEMSは、スマートフォンやミュージックプレイヤーなどと繋がるBluetooth内蔵なので、トレーニングしながら同時に音楽を聞けるのも魅力の一つです。

コアリフトEX Corelift EX

コアリフトEXは、東急スポーツオアシスが業務用のEMSを元に開発された家庭用EMSで、家庭用では4極パッドが主流に対し、こちらのEMSは家庭用最大級の8極パッドになっています。8極パッドは、エステやフィットネスクラブの業務用機器レベルです。

また、パッドの大きさも従来の小パッドよりも1.8倍大きくなっているので、大きな筋肉にも電気刺激を効率よく行き渡らせられます。

コアリフトEXの機能は、基本的な運動の引き締めを行いたい人用のシェイプモード。本格的な筋力トレーニングを行いたい人用のトレーニングモード。実際に運動しながら筋力トレーニングをしたい上級者用のコアリフトモードの3種類が備わっています。

マクセルEMS運動器もてケアPRO4極タイプ

マクセルEMS運動器もてケアPROは、4極タイプの腹部専用のEMSです。こちらの商品は充電式のコードレスなので、ながらトレーニングができます。

一般的に売られているEMSより比較的安く、1万円以内で購入できるので、EMSをお試し程度に始める方にはおすすめです。

マクセル EMS運動器 もてケアPRO 4極タイプ MXES-R400PR

MTGエムティージーシックスパッドアブズフィット2

MTGエムティージーシックスパッドアブズフィット2は、腹筋を集中的に鍛えるタイプのEMSです。運動医学会を牽引する京都大学名誉教授の森谷敏夫氏が筋肉を効率的にトレーニングできる周波数は20ヘルツであることを見出し、そのノウハウをSIXPADに採用したのがMTGエムティージーシックスパッドアブズフィット2です。値段は他のEMSより割高ですが、価格に見合った腹筋トレーニングを行うことができます。

補足として、20ヘルツのどこが凄いかと言うと、例えば60ヘルツだと1秒間に送る電気刺激は60回となり、筋肉が刺激に耐えられなくなりすぐに疲労してしまいます。しかし、20ヘルツだと強い刺激ではないため、適度にトレーニングができます。「それなら、シックパッドでなくても低い周波数のEMSを買えば良いのでは?」と考える方もいると思いますが、低い周波数を出すとピリピリとした痛みが生じてしまいトレーニングどころではないという研究結果が出ています。そのため、シックスパッド以外の低い周波数のEMSはおすすめしません。

こちらのシックスパッドは独自の技術により、弱い周波数でもピリピリとした痛みを感じない独自の波形の開発に成功し、機器に採用されています。

値段は高いですが、効果は実感できますので、これからEMSを始めたいという方にはおすすめです。

エムティージー MTG シックスパッド SIXPAD アブズフィット 2 Abs Fit 2 SP-AF2212F-R

シックスパッド フットフィット

シックスパッドフットフィットは、足専用に鍛えるフットタイプのEMSです。主に鍛えることができる部位は、第二の心臓ともいわれている脹脛、つま先を持ち上げる時などに使う前脛、歩行時の負担軽減やバランスを保つ役割を持つ足裏の3点です。

シックスパッドフットフィットは、生活をする上で重要な下肢筋力を座ったまま足を乗せるだけなので、運動が苦手な方や1人では思うように歩けない方などには特におすすめです。

電気刺激は、上記で説明した20ヘルツの周波数なので無理なく続けることができます。使用頻度も1日1回で良いので、筋力や体力に自信がない方でも継続して使うことができます。

ぜひ、この機会に足の筋力の強化をしてみてはどうでしょうか。