認知症介護というのは、いかにストレスを溜めないことが大事となります。私も認知症介護をしていた時は、なるべくストレスを溜めないよう色々と工夫し介護をしていました。何故なら、何も考えずに闇雲に介護をしていると知らぬ間に心身が蝕まれ、介護疲れといった最悪なケースになるからです。ここでの記事では、認知症介護でストレスを溜めないようにする方法5選をお伝えしたいと思います。
目次
ストレスを溜めない方法とは
介護と聞くと、オムツ交換や食事介助、入浴介助などといった身体介護(肉体的な介護)を連想すると思います。しかし、介護で大変なのは、身体介護より感情を使う場面での介護が一番大変です。
例えば【トイレの失敗・暴言暴力・介護拒否・もの忘れ・同じ言葉を繰り返す・帰宅願望】などの【対応】がとても苦労します。何故なら、こういった介護は身体介護ではなく、心で行うからです。
こういった関わりが介護者の精神を徐々に疲弊させていきます。肉体の疲弊は、休めば回復しますが、心(精神)の疲弊は体を休めても簡単に回復しません。
そのため、いかに心に負担をかけずに介護をしていくかが重要となります。次にお伝えするのは、私が実際に行っていたストレスの軽減方法を紹介します。
介護を100%で行わない
まず【手を抜いてやる】。家族が認知症になると、熱心に介護をして支えたくなるところですが、いつ終わるか分からない介護を常に全力でやるのは至難の業です。私の経験上、常に全力でやっていると介護疲れの原因になるので絶対にお勧めしません。
手を抜くについてですが、例えば、何か失敗しても目くじらを立てて突っかかるのではなく「おっ、またやってるね~」くらいの気持ちで接したり、入浴介助やオムツ交換(定時があれば)もキッチリ時間や曜日で決めるのではなく、手が空いたら行う程度での気持ちが良いと思います。
苦労を溜め込まない
認知症介護というのは、苦労がつきものです。しかし、その苦労を1人で抱え込むことは絶対にしてはいけません。1人で抱え込むと、視野が狭くなり、余裕のない生活になります。
そうならないためにも【大変だった事・ムカついたこと・介護で疑問に思ったこと】など誰かに相談してください。
相談する相手が周りにいなければ、介護の懇親会などに出席すると良いでしょう。懇親会は、地域包括支援センターなどが主催で行っていることがありますので、問い合わせてみてください。
他者と比べない
よくありがちなのが「あの人より若いのに・・・」「あの人より後に発症しているのに、症状が進行している」といったような不毛な考えはしないことです。他者と比べても全く意味がないのでやめましょう。
ショートステイを使っていく
いわゆる【お泊りサービス】です。週1回、月1回でも良いので、宿泊ができる介護施設に預けて自分だけの時間を作り、リフレッシュをしてください。これは、政府も推奨していますし、何より自分の生活を【介護三昧】にしてはいけません。
宿泊期間については、1泊2日だけではなく、2泊3日、3泊4日など、基本的には連続30日までなら利用ができます。ただ、各々の限度額や予算があると思いますので、ケアマネジャーなどと相談の上、検討してください。
介護のゴールを決めておく
介護を始める前に【どこまで介護をやるか】を決めておくと良いでしょう。終わりのない介護こそ、大変なものはありません。マラソンに例えると「距離は未定」と言われて走るようなものです。
介護もそれに似たようなところがあるので「これまでだったら介護が出来る」というゴールを予め決めておくと良いでしょう。ゴールがあれば、介護のモチベーションが続きやすく気持ちが楽になります。
● ゴール設定の例
・オムツになったら、施設を探す。
・介護度が上がったら、施設を探す。
・1人でご飯が食べられなくなったら、施設を探す。
・介護者の事を忘れたら、施設を探す。
・介護資金が○○万円になったら、施設を探す。
など
介護施設の検討
最後の砦は、やはり【介護施設】です。しかし、介護施設への入居(入所)を考える上で、肉体的・精神的・金銭的にギリギリな状態で探すのはよくありません。説明するまでもないですが、大切な家族を施設に入居させるのですから、じっくり見学をするなどして条件に合う施設を選ぶことが大切です。
探すタイミング(情報収集)としては、介護生活に慣れてきたくらいから徐々に始めておくと良いでしょう。
補足として、今では条件(予算・地域・施設の形態など)を伝えれば、介護施設を専門的に斡旋してくれる業者があります。
まとめ
まず、認知症介護を行う上で最も重要なのは全力でやらないことです。例えばですが、ピンと張った糸(やる気)があるとします。しかし、ピンと張った糸では、衝撃を上手く吸収し受け流すことができません。その衝撃を介護に例えるなら【ストレス・寝不足・体調不良・金銭面】といったところでしょう。認知症介護は、これらの衝撃が常に介護者に降り注いできます。ですが、その糸に弛みがあれば衝撃を吸収しダメージを軽減することできます。つまり余裕を持って行うことが、介護を続けるカギになるのです。
最後になりますが、家族間で行う介護は仕事ではありませんので、気楽にやること(常識の範囲内で)が大切だと思っています。