昨今、高齢ドライバーによる重大事故が相次いでいること受け、高齢者による運転免許証の自主返納が増加しています。その背景には、2019年4月17日東京・池袋で起きた高齢ドライバーによる暴走事故が大きく影響しており、都内だけでも事故翌週の自主返納数が1,200人以上に上り、前の週より2割以上増えました。そして今、運転免許証の自主返納をした高齢者の新たな足としてシニアカーが注目されています。ここでの記事では、最近注目を集め始めたシニアカーについて深掘りしていきたいと思います。
目次
シニアカーとは
シニアカーとは、ハンドル操作(スクーターのような)ができる三輪もしくは四輪電動カートです。駆動方式は、後二輪直接駆動方式となっています。また、セニアカーという名称の物もありますが、セニアカーは自動車会社スズキが商標登録し、製造・販売しているシニアカーのことです。呼び名が違うだけで、変わりはありません。
電動車いすとの違いは?
電動車いすは、電動モーターが搭載されています。車いすの後ろに小型バッテリーがあり、バッテリーの電力がなくなっても交換さえすれば、直ぐに走ることができます。車輪については、普通の車いす同様、大小4個の車輪がついています。操作については、手元にあるスティック型のレバーで操作し、前進・後進・左右への旋回ができます。また、必要に応じて折りたたむこともできます。
一見するとシニアカーと電動車いすは似ています。下記に、シニアカーと電動車いすの性能を比較しましたので、ご覧ください。
シニアカー (A社製品) |
電動車いす (B社製品) |
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本体サイズ (長さ×幅×高さ) |
119×59×104 折りたたみ不可 |
通常時:100×66×86 折りたたみ時:32×66×75 |
車両重量 | 112kg | 26.2kg/24.2kg(バッテリーなし) |
耐荷重 | 100kg | 115kg |
連続走行距離 | 約25km | 約15km/1充電 |
充電時間 | 約2~12時間 | 約4~5時間 |
操舵 | ハンドル | ジョイスティック |
最高速度 |
6km/h (時速6キロ以内と定められている) |
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メリット | ・安定感に優れている。 ・操作が比較的簡単。 |
・小回りが利く(回転・旋回ができる)。 ・片手の指先だけでも全方向の操作ができる。 ・片麻痺の人でも操作が可能。 ・折りたためるため、場所をとらない。 ・バッテリーがなくなっても、新しい交換バッテリーに取り替えることで直ぐに復帰できる。 |
デメリット | ・小回りが利かない。 ・折りたためないため、保管場所の確保が必要。 ・細い歩道だと走れない。 ・途中でバッテリーが切れると重くなる。 ・内蔵バッテリーなので、電源が切れたら再充電しなければ、稼働できない。 |
・段差や急な坂では不安定になる。 ・レバー操作がシビアなため慣れるまで時間がかかる。 ・途中でバッテリーが切れると重くなる。 |
※車種によって異なる
走行ルール
シニアカーは、ハンドル操作で大きさもあるため、一見すると軽車両などの種類に思われがちですが、道路交通法上では歩行者と同じ扱いです。なので、原則歩道を走行します。
歩道がなく路側帯がある道路の場合では、右側の路側帯を走行します。歩道も路側帯もない道路では、右側の道路を走行します。
逆走および左側走行は、大変危険ですので走行してはいけません。
補足として、運転免許証のような資格証等は必要ありません。電動車いすも同様です。
店内や電車などでも利用できるのか
結論から言うと、利用可能です。しかし、それらの裁量については各施設・鉄道各社に任されています。そのため、利用する前には各施設や鉄道各社に直接問い合わせることをお勧めします。また、恐らく寸法や小回りの範囲など聞かれると思うので、答えられるようにしておくと良いでしょう。
介護保険で借りられる
シニアカーは、介護保険サービスでレンタルができます。もし、レンタルする場合は介護保険の新規申請が必要です。新規申請を経て、介護認定が下り、要介護2以上の認定が下ればレンタルができます。
もし、要介護1以下が出た場合でも、主治医等から「移動が困難なため車いす等の補助具が必要」などの所見をもらうことが出来れば、要介護1以下の軽度者でも例外給付としてレンタルが可能になります。
レンタルの料金は?
シニアカーを取り扱っている会社にもよりますが、1割負担だと月2,000~3,000円で定期メンテナンス付きでレンタルすることが出来ます。ちなみに、購入だと約10万~30万円くらいです。
レンタルと購入、どっちが得?
使用頻度や環境、状況などによって変わるため、一概には答えられません。ただ、高齢者は若い人と違い、病気やケガをするリスクが高く、重篤化もしやすいため、1か月、3か月、半年単位で状態が変化することはザラにあります。
そんな中、数十万円もするシニアカーを購入した後に体の状態が悪くなり、乗れなくなれば無駄な買い物になる可能性はあります。
ですが、本来の介護保険の利用目的は「便利そうだから」などといった私利私欲のためだけで利用することはできません。明確な理由(目的)が必要です。
シニアカーの乗り方問題
昨今、高齢ドライバーによる重大事故が相次ぎ、シニアカーへ乗り換えする高齢者が増えています。しかし、車からシニアカーに乗り換えた高齢者による危険走行が相次いでいます。
運転免許証を返納し、これからシニアカーへ乗り換えを検討している人へ一言。
「車は危険なので、シニアカーへ乗り換える」ではなく、「なぜ、車を手放したのか」をよく考えてください。
シニアカーは、車のようにスピードはでませんが、車体は大きく重量もあるため、人にぶつかれば重大事故に繋がる可能性があります。
さらに、認知力が低下して車を手放したという方であれば、車に乗っていると錯覚して車道を走ってしまう可能性もあります。
購入やレンタルを考えている人および家族はその辺をよく理解して選択してください。
高齢者の新たな足、シニアカー 危険走行が相次ぐ
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここでの記事では、シニアカーの特長などを説明させていただきました。シニアカーは、大人の早歩き位の速さで、座りながら進むことが出来るので大変便利です。しかし、シニアカーも車同様に、使用方法を間違えると重大事故に繋がるため十分注意して走行しなければなりません。その点をよく理解した上で、購入もしくはレンタルをしてください。