平成30年4月13日に総務省は、平成29年10月1日現在の推計人口を公表しました。総人口は前年比で22万7000人減少し、1億2670万6000人となりました。そして、わが国の総人口は7年連続減少しています。
しかしそんな中、65歳以上の高齢者の人口が、初めて3500万人を超え、3515万2000人となりました。また現在の高齢化率については27.7%と過去最高となっており、わが国の高齢化率がますます進んでいることが分かります。
何故総人口が減少し、高齢者の人口は増えたのか
「総人口が減っているのなら、総人口とともに高齢者の人口も減っているはず」と思いたくなりますよね。しかしそうとも限らないのが、このわが国の高齢化問題なのです。
まず人口が増加する要因としては、皆さん誰しもが分かるように「子どもを産む」ことです。(他にも外国人が日本へ帰化する等の方法もあります)
しかし、現在日本の出生率は1.0%台(平成28年で1.44%)となっています。そのため、最低でも2人以上は子どもを産まないと人口が増えませんので、今のままでは総人口が増加しないのは当然のことです。また補足ではありますが、総務省から「0~14歳年少の人口」は1559万2000人と発表されており、統計を開始してから過去最低の人口数となっています。
次に本題の「何故総人口が減少し、高齢者の人口は増えたのか」についてですが・・・さまざまな要因はありますが、私が考え得る理由について簡単にまとめてみました。
①64歳の人口が、これから生まれてくる子どもより多かったため。
②減少の理由については、高齢になれば死亡する確率が高くなります。しかしそれも64歳の人口の方が多く、他の若い世代での死亡数と加味して総人口が減少し、高齢者人口が増加していると考えられます。
後期高齢者の人口は??
総務省は平成30年3月20日に公表した平成30年3月1日現在の人口推計では、後期高齢者である75歳以上の人口は1770万人となり、これは高齢者人口のほぼ半数が75歳以上ということになっています。
今後の高齢化問題について
2025年には団塊の世代が75歳となるため、一層後期高齢者の数が増加します。後期高齢者の人口が増えるということは、様々な問題が生じてきます。例えば、医療費や介護費、年金などを含む社会保障費の増大、高齢者による交通事故の増加、孤独死、介護難民など挙げればキリがないです。
現在の福祉の考え方は「施設から在宅へ」とシフトしています。簡潔に説明しますと、施設で介護をするのではなく、自宅で介護を行っていくということです。しかし現在ですら介護を提供する側の人員不足や介護費にかかるお金が高すぎて、満足に介護サービスの利用が出来ない等といった問題があります。これが更に後期高齢者が増えるということは、このような問題がますます増加していき、高齢者が在宅で住むということが出来なくなります。
こういった問題を解決するために、わが国では2025年に向けて「新オレンジプラン」「地域包括ケアシステムの構築」「人員確保による介護職員の処遇改善」等さまざまな対策を打ち出し、徐々に進めています。しかし残念ながら、そういった対策に対する課題や問題がまだまだ多く、そしてすべての現場に浸透しているわけではありません。
私たちにできることとは
このような現状の中、私たちは指をくわえて見ているだけなのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。まず私たちは、この問題について他人事と捉えるのではなく、興味関心を持つことです。
そして地域の人たちが、高齢者の方を理解し見守っていくことが、私たちが唯一出来ることなのではないでしょうか。「見守りなんてしたことない」「そんな難しいことは出来ない」という方・・・「○○さん宅の郵便受け最近溜まっているな~」など気にして見てみたり、道中のすれ違いに「おはようございます」などの挨拶をしたりと、そういった行為や一声で救われる高齢者もいます。
そして、どのようにすれば安心して暮らしていけるのかを、高齢者と一緒に考えていくことが一番大切だと私は思います。