高齢者のキャッシュレス決済の普及

高齢者のキャッシュレス決済の普及

ここ最近、高齢者の間でキャッシュレス決済(電子マネーなど)が広がっているのはご存知でしょうか。高齢者は「現金主義」というイメージの逆の動きとなっています。それを裏付けるかのようなデータもあり、70歳以上の電子マネー平均利用額が直近5年間で「87%」も増えており、伸び率にすると全世代の平均伸び率の「58%」を上回っています。ちなみに、かく言う私の祖母(86歳)も、電子マネーを使用しています。では、なぜ急激に高齢者のキャッシュレス決済が増えたのか紐解いていく行きたいと思います。

キャッシュレス決済が増えた理由

今では色んな種類のキャッシュレス決済があります。「クレジットカード」「交通系電子マネー(Suicaなど)」「商業系電子マネー(ナナコカードなど)」「スマートフォン決算」。こういったサービスが、現在高齢者の間で普及し始めています。では、何故最近になって普及し始めているのか。その理由について紹介したいと思います。

子どもが親に勧める

キャッシュレス決済が増えている理由については、子ども世代が、親(高齢者)に勧めているという背景があります。キャッシュレス決済をしていない高齢者の場合だと、買い物などをする際は、必ず一度は銀行に行き、現金を引き出す必要があります。しかし、高齢者の多くは、何度も行くのが大変(面倒)なので、一度に多くの現金を引き出す傾向にあります。

ちなみに、私が在宅支援をしていた時のことですが、仕事上利用者の金銭事情についても把握をしなければならない時があり、1回の引き出す額が「10万前後」「年金全て」という高齢者の方は結構いました。理由はやはり「何度も行くのが大変」というのが圧倒的でした。

そういった苦労を知っている子どもが、親にキャッシュレス決済を勧める傾向にあります。また、最近では高齢者を狙った詐欺事件も多発しているので、そういった詐欺事件からも守る意味でも勧めているといいます。

例えば、電子マネーなら何万円かを入れておけば、当分は銀行に引き出すことはないですし、手持ち額も少なければ、詐欺にあっても被害は最小限で済みます。

この後にお話しますが、会計時にお金を出す手間が省けるという理由でも、キャッシュレス決済を勧める子どもも多いようです。

安全性が認知された

「安全性」という部分ですが、クレジットカードなどの口座から引き落としされるキャッシュレス決済であれば、基本的には事前に「使える上限金額」を設定することができます。そのため、万が一使いすぎた場合でも上限金額を超えていれば、それ以上の取引が出来なくなります。

チャージ式電子マネーに至っては、チャージ金がなければそれ以上の取引は出来ないので、使い過ぎの防止ができます(オートチャージ機能なしの場合)。万が一、カードなど紛失盗難などした場合でも、電話やwebなどからそのカードを利用停止させることもできます。

例えばですが、「ナナコカード(チャージ式)」に至っては、紛失盗難をしても、利用停止後に再発行をしてもらう際に、新しいカードに旧カードの残高を引継ぐことが出来るので、現金を持ち歩くより断然安全性は高いといえるでしょう。

利便性が認知された

次に「利便性」という部分ですが、高齢者の方でこのような声が多く聞かれます。

● 現金を出すのが大変。特に荷物がある時。
● 年をとると手先が衰えるので、お金を出すのが大変
● 面倒臭くて、お札をよく出すけど、小銭が増えるのが嫌だ。

こういった声がある中、キャッシュレス決済では、上記のようなことは一切ありません。高齢者にキャッシュレス決済が受けたのは、上記のような煩わしさがないからかもしれません。

◇ 全世帯の平均利用に並ぶ

実際に、家計消費状況調査のデータでも、キャッシュレス決済の利用は向上傾向にあります。

世帯主70歳以上の高齢者で、2012年時点では「年:8,688円」と全世帯平均の約8割程度の利用額でしたが、2017年には「1万6,216円」にまで増え、全世帯の平均に並びました。さらに、80歳以上になると「1万7,492円」と全世代で最多だったことが分かっています。

高齢者のキャッシュレス決済の普及について、決済サービスコンサルティング株式会社の「宮居 雅宣」代表は、「高齢者は、一度キャッシュレス決済を使うと定着しやすいのが特徴」と指摘しています。

また、キャッシュレス決済が増えることで、小売店がより詳細な顧客データを獲得することができ、高齢層を狙ったサービスなどが展開しやすくなると語っています。

医療機関でも利用が可能に

今では、医療機関や薬局でもキャッシュレス決済が可能となっています。高齢になると、週に何度も医療機関に行く人はたくさんいます(複数の病院に通っている人など)。そうなると、予め現金をそれなりに用意しておかなければなりません。また、足りなくなれば銀行に現金を引き出しに行くという手間も出てきます。

しかし、キャッシュレス決済であれば、そういった手間は一切ないので重宝している高齢者はたくさんいるのです。

キャッシュレス決済の特典

ポイント特典

例に出すと「Tポイント」や「楽天ポイント」、「WAONポイント」などですね。お買い物をすれば、何%かのポイントが付与されます。よくあるのが、1ポイント1円として利用ができるシステム。

そのポイントは加盟店舗で支払いができるので、お得になります。私の祖母も、ポイントに引かれ電子マネーにしたと言っていました。

割引特典

イトーヨーカ堂では、60歳以上限定で「シニアナナコカード」という特殊なカードが手に入ります。そのカードを、月15.25日に開催されるイベントで使うと、ほとんどの商品が5%割引になるサービスです(2019年2月時点)。

イオンでも「G・Gデー」というものがあり、イベント中にイオンクレジットカードで決済をすると「5%割引」の恩恵が受けられる特典があります。

散歩帰りにお店に行ける

店舗によって朝早くから開店するところもあり、ポケットにカードだけを入れて散歩し、帰りに店に立ち寄って買い物をする高齢者も最近は増えてきています。散歩をするのに財布があると邪魔ですので、そういった利便性も高齢者にキャッシュレス決済が受けたといえます。

普及していないキャッシュレス決済もある

キャッシュレス決済が高齢者に普及しているのは間違いないのですが、全てのキャッシュレス決済が普及している訳ではありません。その普及していないキャッシュレス決済というのが「スマートフォン決済(以下、スマホ決済)」です。

スマホ決済も、他の電子マネーカードと同様の使い方なのですが、2018年6月に楽天インサイト調査で、60代でスマホ決済を使った人が、男女ともに「1割未満」という結果でした。

ちなみに、利用率が一番多い世代「20代~30代」でも3割程度という結果で、あまり普及していないように思えます。
※補足:クレジットカードの利用率については、「20代~60代」全ての世代でほぼ「8割」の利用率です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
あなたの身近にいる高齢者はキャッシュレス決済をしているでしょうか。記事の通り、確実にキャッシュレス決済は広がりつつありますが、正直まだまだ、海外に比べてキャッシュレス決済の利用率は遅れています。キャッシュレス決済は、現金より安全性や利便性があり、そして、ポイントなどといった付加価値も得やすくお得な点が多いような気がします。もちろん、使い方によっては不利益が被る事があるかもしれませんので、利用する際はしっかりと利用方法を確認した上で行う必要があります。今後さらに高齢者世代にキャッシュレス決済が広まることで、日本の決済サービスのあり方が変えていくかもしれません。