「認知症保険」とは?認知症保険に加入すべきか

最近何かと耳にすることが多くなってきた「認知症保険」。認知症保険というのは、簡単に説明すると、加入した保険会社から認知症を発症した際に、一時金が受け取れるというものです。本記事内でも紹介をしていますが、ある会社では一括で100万円を給付する会社もあります。

月々の医療費も安くはないので、一時金がもらえるのは有難いと思います。そんな認知症保険ですが、一体どういったシステムなのか、ここでの記事で深掘りしていきたいと思います。

認知症保険とは何か

まず、認知症保険の先駆けとなったのは、2016年3月に太陽生命「ひまわり認知症治療保険」が発売しました。そして、その1か月に朝日生命「あんしん介護 認知症保険」。さらに2017年7月にはメットライフ生命から「終身認知症診断一時金特約」が発売されました。

認知症にかかる高齢者は年々増え続けているだけあって、生命保険会社からの認知症保険の販売の反響がとても大きく、2017年5月時点で太陽生命から出されている認知症保険が、わずか1年ほどで契約件数が20万件を超えています。

わが国の認知症罹患者数

わが国の高齢化率は急速に増え続けており、2018年4月に総務省は、65歳以上の高齢者の人口が3515万2000人と公表。また、それに伴い日本の高齢化率が「27.7%」となりました。

また、それに付随して認知症患者も増え続けており、65歳以上の高齢者が認知症に罹患している人数が、2012年時点で462万人と厚生労働省は公表しています。

しかし、今後もますます増え続けると予想されており、2025年には「約700万人」になると言われています。ちなみに、この約700万人というのは、高齢者の5人に1人が認知症ということになります。

認知症にかかる医療費は高い

認知症を患うと、認知症の進行や症状を抑える薬などを処方してもらうために、定期的に病院に通わなければなりません。そういった医療費を、月々払うとなるとかなりの額になっていきます。

2015年の慶応義塾大学が公表した「認知症の社会的費用を推計」 によると、月々の平均認知症外来治療費は「3万9,600円」かかると言われています。

ちなみに、1割負担の高齢者の方に照らし合わせると・・・

● 月々・・・「約4,000円」
● 1年間・・・「4万8,000円」
● 3年間・・・「14万4,000円」
● 10年間・・・「40万8,000円」

月々の値段だけを見ると大したことはありませんが、認知症以外にも持病を持っている方であれば、さらに医療費がかかります。また、それに加えて生活費なども加算されますので、限られた年金額でやりくりしている方ですと、手痛い出費かもしれません。

それぞれの会社の認知症保険の比較

当然ですが、民間の保険なので各会社の保険内容には違いがあります。そのため、どの保険内容が自身に適しているか見極める必要があります。簡単ではありますが、上述でも紹介した「太陽生命」「朝日生命」「メットライフ生命」の3社を比較してみたいと思います。

太陽生命の認知症保険

太陽生命は、器質性の認知症を発症し、その状態が180日継続したときに「認知症治療給付金」が支払われます。

保障の対象となる認知症例

● アルツハイマー型認知症
● 脳血管性認知症
● パーキンソン病の認知症
● クロイツフェルト・ヤコブ病の認知症 など

その他にも、女性特有の病気や7大生活習慣病などによる入院や手術、放射線治療にかかる費用を保障してくれます。

対応している主な病気

● がん(悪性新生物)
● 熱中症
● 慢性関節リウマチ
● 脳血管疾患
● 高血圧性疾患
● 腎疾患
● 老人性白内障
● 子宮筋腫
● 胆石症
● 乳腺症
● 甲状腺機能亢進症
● 心・血管疾患
● 糖尿病
● 肝疾患
● 脊椎障害
● 鉄欠乏性貧血

太陽生命は「引受基準緩和型」なので、持病などがある方も入りやすい保険となっています。認知症治療給付金額については「100万円・200万円・300万円」です。(契約後1年間は半額)

朝日生命の認知症保険

朝日生命の認知症保険は、「一時金タイプ」と「年金タイプ」の2種類に給付内容が分かれています。どちらか一方、もしくは両方選ぶことができます。また、朝日生命は負担の大きい認知症に特化しており、認知症介護に発生する追加の費用負担に備えることができるのが、最大の特長です。

ただし、標準体の保険タイプ(健康な人向け)なので、希望すれば誰でも加入ができるわけではありません。

認知症介護終身年金保険の給付条件

認知症介護年金 ● 第1回認知症介護年金
・認知症に該当している。
・要介護認定で「要介護1」以上と認定されている。
● 第2回以後の認知症介護年金
・第1回認知症介護年金の支払日の毎年の応当日に「第1回認知症介護年金の支払事由」に該当している。
死亡給付金 ● 下記の条件を満たした場合に給付
・保険期間が終身の場合で、保険料払込期間満了後の保険期間中に死亡。
・認知症介護年金支払期間中に死亡。

※支払金額:認知症介護 年金額 (年額:60万円)

認知症介護一時金保険

認知症介護一時金 ・認知症に該当している
・公的介護保険制度に基づく要介護1以上と認定されている
死亡給付金 ・保険期間が終身の場合で、保険料払込期間満了後の保険期間中に死亡

メットライフ生命の認知症保険

メットライフ生命の認知症保険は、健康な人向けの保険に「認知症一時金」という特約をつけることで、認知症になったときに受け取れます。また、メットライフ生命の特約は、認知症と判断された時点で給付を受けられるのが最大の特長となっています。ただし、180日間保障されない期間もあるため、注意が必要です。

つまり、加入して181日目以後に、初めて認知症と診断が確定された時点で、認知症診断一時金「一括:100万円」が受け取れることができます。

認知症保険加入後の注意点

まず、やらなければならないのが親族などへの「報告」です。認知症保険に加入した後に、誰にも報告しないで認知症になってしまった場合、保険会社に給付金の申請が適切に出来なくなるからです。

そのため、予め親族やケアマネジャー、法定代理人などに「認知症保険」に加入したことを伝えて下さい。また、それと同時に必要書類の場所も伝えて下さい。