2018年8月24日に厚生労働省は、2016年度介護保険事業状況の報告を発表しました。この介護保険事業状況報告というのは、介護保険制度の開始より介護保険事業の実態把握をするために行われています。
その資料やデータなどを基に今後の介護保険制度のあり方や運営を円滑にするのを目的としています。ここでの記事では、先月8月に発表された介護給付費やそれにまつわる内容についてお伝えしたいと思います。
介護給付費とは
介護給付費というのは、一言でいうと「介護保険の認定者に提供する介護保険サービスの費用」のことをいいます。例えば、自己負担割合が1割負担の方であれば、残りの9割が介護給付費です。この介護給付費の出どころは、半分は「保険料」、もう半分が「公費(税金)」で賄っています。
介護保険サービスには、「居宅介護サービス」「施設介護サービス」「地域密着型サービス」と大きく分けられています。また要支援者が居宅介護サービスを受けた時に支給される「予防給付」というものあります。
介護給付費が10兆円間近
2016年度の介護保険事業状況報告書によると、利用者の自己負担を除いた介護給付費は「1兆2,290億円」と過去最高の額となっており、前年度と比較すると「1,314億円」多くなっています。2000年度に介護保険制度が開始となり、当時と現在を比べたら約3倍近くも膨らんでいます。
介護給付費が過去最高更新
介護給付費が増える原因
介護給付費というのは、介護保険サービスを利用することで増えていきます。それはつまり、介護保険サービスを受ける高齢者の増加が主な原因です。まず高齢者の数についてですが、18年度4月時点で全国に約3,515万人いることが分かっています。前年度3月時点では約3,440万人でしたので、およそ100万人程増えたことになります。
しかし介護保険サービスを利用するためには、要介護・要支援認定が必要です。その認定を受けた数を見てみると、17年度3月末時点では「632万人」で、前年度から11.6万人増加していることが分かりました。
・ 17年度(3月時点)・・・約 3,440万人
・ 18年度(4月時点)・・・約 3,515万人
● 認定者数
・ 16年度・・・約 621万人
・ 17年度(3月末時点)・・・約 632万人
介護保険サービス利用者数
高齢者がどんなに多くても、介護保険サービスを利用しなければ、介護給付費は増えません。16年度の1ヶ月平均受給者数については「約 560万人」で、前年度より39万人多いことが分かっています。上述で説明した通り、介護保険サービスには3つの種類がありますので、その内訳について下記にまとめました。
● 居宅介護(介護予防)サービスの利用者数・・・390.9万人
● 地域密着型(介護予防)サービスの利用者数・・・77.0万人
● 施設サービスの利用者数・・・92.3万人
ちなみに、1人当たりの年間介護費用について年代別に厚生労働省から発表されています。
・65~69歳・・・3.5万円
・75~79歳・・・17.1万円
・85~89歳・・・79.9万円
・90歳以上・・・153.9万円
当然のことですが、年を追うごとに体が不自由になっていくので、介護費用は比例して高くなっていきます。しかし今後団塊の世代が、さらに高齢になると介護給付費がますます増えていくことは、火を見るよりも明らかです。そのためには、どのように介護保険制度を守り続けていくかがこの国の今の課題となっています。