高齢者の同居孤独死が増加 同居者がいても死ぬ訳とは

孤独死という言葉はニュースなどで耳にしたことがあると思いますが、今【同居孤独死】という孤独死が問題となっています。同居孤独死とは、家族などと同居している人がいるにもかかわらず自宅内で孤立状態で死亡する状態を指します。東京都福祉保健局の2016年調査によりますと、家族が同居しているにかかわらず孤立状態で死亡(異常死)した65歳以上の高齢者は2044人(男:1,103人、女:941人)で、1人暮らしの孤独死が3,121人(男:2,018人、女:1,103人)に迫る勢いとなっています。では、なぜ同居孤独死が起きるのか、ここでの記事で解き明かしていきたいと思います。

孤独死と同居孤独死の違い

まず、同居孤独死について語る前に、孤独死と同居孤独死の違いについて説明したいと思います。

孤独死とは

孤独死は、1人暮らしをしている人が誰にも看取られることなく、自宅で亡くなることを言います。ただし、1人暮らしでも【他殺や自殺】といった死については、孤独死にはなりません。あくまで、病気や老衰などで死亡した場合に限ります。

同居孤独死とは

冒頭でも軽く触れましたが、家族などと同居しているのにもかかわらず、自宅内で看取られず亡くなることを言います。ポイントは、誰かと住んでいるかになります。

同居孤独死が起きる原因とは

「誰かと住んでいるのに、孤独死なんてするの?」と疑問に思う人もいると思います。ここからは、同居孤独死が起こる原因について解説していきたいと思います。

日中は独居(1人暮らし)

いわゆる【日中独居】と言われているもので、この日中独居が同居孤独死を招く恐れがあるのです。
日中独居というのは、同居する家族が日中に仕事や趣味などで出かけ、自宅には高齢者だけが居る状態なので、容態の変化に対応できず同居孤独死が起きてしまいます。また、日中独居を無くすために、介護保険サービスを導入という考えもありますが、介護施設のように必ずしも直ぐに駆けつけられる訳ではないので、根本的な解決にはなりません。

家族が認知症

同居家族が認知症のため、適切な対応ができず死亡してしまうといったケースがあります。昨年末、神戸市でこんな事件がありました。

2018年夏、兵庫県神戸市内の集合住宅で、認知症の妻を介護していた高齢の夫が室内で死亡しているのが見つかりました。
発見された一室のベランダには洗濯物が干しっぱなしになっていたため、それを不審に思った近所の人が通報し発覚。
発見時には夫は病死で死後1週間ほど経過していた状態でした。
また、認知症の妻は、室内にごみが散乱した状態で暮らしていたということです。

このケースは認知症の妻は死亡していませんが、発見が遅れれば死亡していた可能性は十分にあります。また、神戸市では2018年までの15年間で、同居孤独死と判断された人数が152人だったと兵庫県監察医務室が公表しています。

8050問題の世帯

ニュースなどで耳にしたことはあると思いますが【8050問題】の世帯も危険です。

よくある事例では、引きこもりの子どもが要介護の親を見ていた(実際は見ていないこともある)が、子どもが自身の判断だけで介護をして、適切に医療機関に行かさなかったことにより、親が死亡するケースです。また、引きこもりの子どもほど外部との接触を拒む傾向にあるため、同居孤独死のリスクを大きく上げます。

同居孤独死の対策はあるのか

正直、第三者が対策することは難しいのが現状です。ただ、この問題を知り【アンテナを立てておく(情報をキャッチする姿勢)】ことは大事だと考えます。

同居家族がいる世帯だと、外部からの通報や自ら相談に行かなければ、地域の高齢者をサポートする地域包括支援センターなどの公的機関と関わることは少ない傾向にあります。ですが、あなたが同居孤独死についての問題を知り、意識することで地域の中で同居孤独死をしそうな世帯をたまたま見つけることが出来るかもしれません。地域全体でこういった考えを持ってば、高齢者が住みやすい環境になると私は思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
同居孤独死問題は、これからますます増加すると言われています。冒頭でもお伝えしましたが、同居孤独死の件数は孤独死の件数に迫る勢いがあります。このような問題は、自治体と地域に住む人たちが協力し合って初めて解決していくものです。この問題について知らなかった人は、この記事で知ることができたと思いますので、地域に住む高齢者を助けてもらえたらと思います。