最近、認知症の予防になるとテレビなどでも話題の「えごま油」。なぜ、えごま油が認知症の予防になるのか。その秘密は「α‐リノレン酸」という栄養素が豊富に含まれていることに大きく関係しています。では、えごま油に含まれているα‐リノレン酸という栄養素とは、一体どういった役割をするのか。ここでの記事では、えごま油についてひも解いていくいきたいと思います。
目次
えごま油とは
まず、「えごま」とは、一年草のシソ科植物です。そのため、下記の画像の通り、大葉(青シソ)とよく似た葉を持っています。
えごま油は、画像のえごまの種子を絞り、抽出された油をもとに作ります。
えごまの原産地は「インド」や「中国雲南省」のいずれの高地であり、ここから韓国、日本へと渡ってきたといわれています。ちなみに、日本でえごまが本格的に油として使われるようになったのは、平安時代初期で、主に灯明油に用いられていたということです。
えごま油の効能、効果
えごま油には、「α‐リノレン酸」という呼ばれる脂肪酸が「50~60%」含まれています。この脂肪酸は、青魚の魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と同じオメガ3脂肪酸で、必須脂肪酸の1つです。
DHAやEPAと聞くと、青魚に多く含まれていることで有名ですが、えごま油にも豊富に含まれているというのには驚きですよね。また、これらは人間の体内で作ることができないので、外部から摂取するしか方法がありません。
えごま油は認知症予防になる
最近では、認知症の予防になると注目を集めているえごま油ですが、その理由については、先ほど紹介した「α‐リノレン酸(オメガ3脂肪酸)」が多く関係しています。
α‐リノレン酸は、いわゆる脳の栄養素とも呼ばれており、体内に入るとDHAやEPAに変化します。また、DHAやEPAには、体内の血流を良くする効果があります。
さらに、近年では疫学的研究によって、脳の⾎流の低下が認知症発症の原因の⼀つであることが分かってきています。そのため、「α‐リノレン酸」を積極的に摂るということは、脳の血流が向上するので脳の神経細胞が活発に働きます。その結果、認知症の予防になると考えられています。
えごま油の効能、効果は他にもある
えごま油は、認知症の予防に期待されていますが、実は他にもまだあります。
健康予防 | 美容効果 |
● 認知症の予防 ● 糖尿病の予防 ● ガン(乳がん、大腸がん、肝がんなど)の予防 ● 肝機能の向上 ● 高血圧の予防 ● 動脈硬化(血管の若返り)の予防 ● 脳卒中の予防 ● 心疾患の予防 ● うつ病の予防 ● コレステロールの減少 |
● 美肌 ● アンチエイジング(老化予防) ● 腸内環境を整える ● ダイエット |
えごま油の摂取方法とは
いくら体に良いと言っても、「どのくらい?」「どのように?」摂取すれば良いか分かりませんよね。次は、それらについて紹介したいと思います。
摂取量の目安
摂取量の目安は、1日小さじ1杯(4~5g)が良いとされています。これは筆者の私が推奨しているのではなく、厚生労働省が推奨する摂取の目安量を基準にしています。
また、えごま油のα-リノレン酸含有量を60%として換算しています。詳しくは、こちらを参照下さい。(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4g.pdf)
● α-リノレン酸(g/日)摂取目標量(性及び年齢階級別)
年齢 | 男性 | 女性 |
50~69歳 | 1.32 | 1.14 |
70歳以上 | 1.06 | 0.96 |
えごま油の摂り方
絶対ダメではないですが「空腹時」の摂取は控えた方がよいです。いくら体に良いと言われていても、えごま油は「あぶら(油)」ですので、何かと一緒に摂取した方がよいです。
また、「えごま油さえ摂っておけば大丈夫」という考えも危険です。3食バランスのとれた食事に加えて、えごま油を摂取することが大事です。
ちなみに、えごま油と相性の良い食材が、脳の神経細胞同士のつながりを強める「大豆類」や「卵」などといったタンパク質です。これらと、一緒に摂るとより効果を発揮します。
朝なら「納豆ご飯」や「卵」などにかけるだけで簡単に摂れるので、是非やってみて下さい。
えごま油の選び方
えごま油と調べていただければ、直ぐに分かりますが、日本には色んなえごま油が出回っています。中には、品質の悪いえごま油もあるので、注意が必要です。
◇ 国民生活センターも動く
実は、国民生活センターに、えごま油について多くの問い合わせがあったようで、中でも「色が濃い」や「変な臭いがする」「産地の表記がおかしい」などといった内容のものが多かったことから、同センターは、えごま油について調査を行っています。
調査の結果が、こちらのホームページになりますので、気になる方は参照ください。(国民生活センター)
酸化がしやすい
えごま油は、酸化しやすい特徴を持っています。たとえ、未開封でも「光を通す透明な瓶」や「温度変化が激しい場所」に保管しておくと酸化が進んでいきます。
そのため、開封をしたら最後。開封をすると酸化がより進みますので、できるだけ早く消費してください。また、大瓶の購入やセットで購入したほうがお得かもしれませんが、短期間で使い切る自信のない方は、小瓶や1本ずつ買うことをお勧めします。
◇ 保存期間は??
えごま油を出しているメーカーにもよりますが、未開封の場合は「約半年から1年」、開封済みの場合は「2~3ヶ月程」が目安とされています。
◇ 酸化しているか判断がつかない!
という方もいると思います。基本的に、「生臭いにおい」や「いつもと風味が違う」「いつもより色が濃い」と感じたら酸化が進んでいると思ってください。
高温に弱い
えごま油に含まれている「α‐リノレン酸」は、熱に弱いため、焙煎してしまうと破壊されてしまいます。そのため、非加熱搾油(生搾り)をされている「えごま油」を選んでください。せっかく、一番欲しい栄養素が破壊されていては意味がないですからね。
また、業者の保管方法や輸送ルートなど、どのように取り扱っているのかが分からないので、少しでも品質低下のリスクを避けるために「遮光瓶」や「箱に詰めされている物」がお勧めです。そして、出来れば「国産」を買いましょう。
補足ですが、購入をしたら冷蔵庫に保管すると、光や熱から守ることができますよ。
えごま油の選び方のまとめ
上述で説明した通りですが、えごま油は「酸化がしやすい」「熱に弱い」「光に弱い」ナイーブな油です。
そのため、少しでもいい状態でえごま油のエキスを得るためには、それらから守る工夫がされているえごま油を選ぶと良いと思います。ざっくりですが、下記にまとめました。
● 遮光瓶(赤ワインのような瓶)
● 箱に入って売られている
● 国産(原材料から全て)
これらを参考にしていただき、最高のえごま油に出会えることを願っています。